2011年5月21日

「空間を感じる生活の道具展」

「空間を感じる生活の道具展」ー通信教育部インテリアデザイン演習2の第2回作品展が5月1日から5月5日に行われました。

 

kukan004.jpgインテリアデザイン演習は、建築学科のカリキュラムということもあり、まず空間をイメージして、そこで生活をするために必要な道具として照明・家具をデザインするというプログラムを行っています。

kukan001.jpg3日間のスクーリングで、コンセプト–試作–製作(照明は実作、家具は1/5模型)–コンセプトボードと、かなりタイトなスケジュールです。

kukan000.jpgコンセプトをたて、いざ手を動かしてみると思うように形作ることが出来ません。何とか空間のイメージを伝えるために、皆、部分やディテールにその思いを込めて形を操作します。モノづくりとは、様々な制約の中で格闘することです。そこには建築デザインの実践の要素が集約されている様に感じます。

 

kukan002.jpgこの作品展を見て、「私も作ってみたい」という感想を聞きました。
モノづくりの格闘の後に奥深さを感じさせられ、洗練されたデザインにたどりついた作品には作ってみたいと感じさせる、そんな作品が並ぶ展覧会になりました。

kukan003.jpg会場がほたるまちキャンパスということもあり、通りすがりで3FまでEVで上がって来られる方にも随分見ていただきました。どうもありがとうございました。(細田みぎわ)

  

出展者
建部 弘子
小林 弘昌
大島 功
齋藤 希
村尾 由以
井上 真一
直江 健次
依田 ユリ子
関 達則
宮下 泰典
 
担当教員
川田秀子
細田みぎわ

投稿:細田みぎわ先生(デザイン学科、建築学科)


2011年5月20日

宮高奈美 写真展 Wonder Drug   ニコンサロン bis大阪

宮高奈美さん(写真学科10年卒)4月28日から5月4日まで行われました。

作家コメントから

miyataka003.jpg 時代とともに過剰化していくファッションモードや身体行為。私はそれらを遊戯化することで、普段の日常感覚を変容させ、困惑の世界へと導こうと試みています。

 テーマは、現在の我々にとって衣装モードとは何か?ということへの問い掛けをきっかけに、現在という時代の特性を考えようとするものです。
 
 言うまでもないことですが、古くから衣装と人の生活は切り離せない関係にありました。はじめは肉体の保護機能ありましたが、やがて社会の制度として機能してきたと言ってよいのではないでしょうか。身分制度、職業、性別、年齢など社会的立場の違いを表すものとしての要素が大きく占めるようになってきました。

しかし、今や衣装モードは個性を外に発信する個人的な自己表現の割合が大きくなっているようです。そしてこの現象はこの過剰な消費時代にあって、ますます過激になってゆくように見受けられます。
私は特種な衣装と遊戯化したポーズのモデル撮影をすることで、現代の状況を表現したいと試みています。

miyataka001.jpg 宮高さんの写真作品は、ほぼ数枚の作品をカラフルに設えたフレームにより囲まれています。作家コメントでも特種な衣装とあったように、それはポップなデザインと色彩で構成されており、モード写真と類似しているようでもありました。しかし商品化目的のモード写真とは異なり、ポップな衣装でありながら写されたモデルの背景は日常的な場所でイメージが一致していません。背景には工事現場らしい場所、フェリー乗船場所、公園などが使われています。

miyataka002.jpg工事現場での撮影では、後ろを向いた女性が、積み上げた土の平行面に対しモデルは垂直に立つのではなく、体全体が傾いた不安定なポーズで撮影されています。同フレーム内の作品ではモデルが土管に上半身だけ入り滑稽なポーズで写されています。

 

miyataka004.jpgフェリー乗船場所を写した作品では、モデルは街路灯と同じ色彩の衣装を身につけ、出産まじかなお腹を披露しています。
 

 

miyataka000.jpg松の木の前で撮影された作品では、モデルはブリッチしその股間からは性器をイメージする松が写されています。彼女の言う遊戯化したポーズとは、その場所に無関係にある物に対しモデルの体がどのように絡むことができるか、それにより自己が支配しようとする身体のカタチから自己が規定できない身体のカタチへと、彼女はそのような身体を探求しているようです。  

 

今の彼女たちは自分以外の物たちに一生懸命自らを合わせていく作業を行っているのかも知れません。それが彼女たちの生きている感覚なのかも知れないと感じました。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力芸術計画学科研究室
 

 


2011年5月19日

入江泰吉と水門会写真展  奈良市美術館

irie002.jpg 入江泰吉氏(1905年―1992年)は奈良の風景などの写真を撮り高い評価を受けた写真家で1960年浪速短期大学(現大阪芸術大学短期大学部)教授に就任しています。水門会は入江先生を 慕って集まった人たちにより生まれたもので、今回この展覧会が5月3日から8日まで行われました。井上博道氏、今駒清則氏、高畠節二氏、藤井宏氏、藤井博信氏など、元教授や現教授、卒業生が参加されていました。

 

irie001.jpg 入江泰吉氏は、奈良大和路の風景や風俗、仏像など数多くの作品を残されています。水門会の方々の作品にも、入江泰吉氏の教えが引継がれながらも、一人一人独自の世界観を作り出されておられるようでした。
 

  irie000.jpg入江氏は仏像の撮影時の対象を照らす灯り、その灯りの位置により多様な表情が生まれる仏像に畏怖の念を感じたということです。

irie003.jpg現在の美術館等では、一定の安定した光で作品を鑑賞するのが一般的ですが、それ以外に、自然光や揺らめく灯りによる作品の鑑賞体験も魅力的かも知れません。造形芸術の歴史では最初にラスコー壁が紹介されています。

irie004.jpg写真で記録されたその壁画は一
定の明るさで映し出されています。しかし壁画制作当時は、揺れ動く松明の灯りで壁画を体験していました。灯りが揺れ動くたび描かれた動物たちには生命が宿った様に感じたでしょう。
 

 

123000.jpg藤井博信さん(写真学科85卒)は現在奈良新聞編集部写真記者として活躍されています。
 

  学生の皆さんが奈良県内でアートイベントを行う場合是非連絡頂きたいとのことです。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室
 


2011年5月18日

アーティストトーク  YOD Gallery

artist004.jpg美術館やギャラリー、野外アート展では,アートに関心や親しみを持って頂くため多様なイベントを関連企画として行なっています。アーティストによる講演や対談、近年ではワークショップや公開制作などがあります。今回、YOD Galleryのディレクター山中俊広さん(大学院芸術文化研究科01年修了)のアーティストトークの企画を紹介します。

artist000.jpg4月9日から5月7日までの期間行なわれている新野洋展の関連イベント、トークイベント「生態学から語る“いきもの”」が4月16日に行なわれました。今回のイベント企画の 魅力は、参加ゲストがアート関係者ではなく生物学の専門家が作品を語る事にありました。新野さんの作品を見て頂くと理解出来ると思いますが、精巧に作られた昆虫を基本にしてその上に植物イメージを合成させています。

artist001.jpg一見するとそのような昆虫もどこかで見たようなというデジャブ感覚に襲われますが、完全なオリジナル昆虫作品です。この創造された昆虫を生態学の視点から、ゲストである山中みのりさん(あくあぴあ芥川学芸員)が語るという試みです。生態学とは生物と環境の相互関係を研究する学問です。

 

artist002.jpg  トークショウでは、まず科学系の方らしく昆虫の定義から説明があり、作品がその範疇に入るところとそこから逸脱するところのお話がありました.新野さん自身は昆虫には大変詳しく、制作において本物の昆虫を丹念に観察しておられるようです。

artist003.jpg生態学からの視点では昆虫に混合された植物のデザインから、この創造された昆虫の環境生態のお話が展開されました。例えば、ひっつき虫のようなデザインがある昆虫は、人の衣服に引っかかりより遠くの場所に生存の可能性を求めている様子がみえる、というような内容です。

 私は、このトークショウにより昆虫作品に物語など背景が生まれたと感じました。とても興味あるトークショウで、参加者の中には理科系の方もおられたようです。

 

新野洋展「いきとし“いきもの”」
4月9日(土)から5月7日(土)日曜・月曜休廊 
11時から19時開廊
会場:YOD Gallery
大阪市北区西天満4-9-15
06-6364-0775
HYPERLINK   http://www.yodgallery.com/"http://www.yodgallery.com/

報告 加藤隆明 教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室

 


2011年5月2日

Painting+2011 キュービックギャラリー

350img000.jpg4月18日から5月2日までPainting+2011展が行なわれました。今回の企画展のコンセプトをギャラリーオーナーである今林幹生さん(芸術計画学科86卒)の文章を引用させて頂きます。

 

painting001.jpgCUBIC GALLERYは、この4月で開廊16周年を迎えます。
阪神大震災後・サリン事件で、ちまたが騒々しい年に始まりました。

 

painting002.jpg今年のざわめきは、あの時と、とても似ているようで、
あえて、16周年展としてギャラリーの常連作家と新人作家に集まってもらい、次への一歩を踏み込むべく、新たな気持ちで展示したいと思っています。

 

painting003.jpg参加作家
車サエ 藤見知佳 玉利タマリ 天岸藍子 長井奈津子
福山敬之 高木義隆 藤本裕紀 荒川望 柚口康二 
松尾藤代 浅野真一 田中洋喜  か ぱ

painting004.jpg 今林さんは卒業後、大手画廊に就職をしました。その中でイサムノグチ展など数多くの経験を積み独立しキュービックギャラリーを設立しました。現在では,本大学の卒業生も数多くアーティストとしてアート界に輩出しています。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室

 

キュービックギャラリー    http://cubicgall.exblog.jp/