2011年6月4日

古川松平展 Oギャラリー eyes

furukawa001.jpg古川松平さん(美術学科研究課程04修了)の個展が5月9日から14日まで行なわれました。
 

furukawa002.jpg古川さんの作品は明るく淡い色彩と激しく動く筆致により構成されており、画面にはどこかで経験したようなイメージをコラージュ技法のように描いています。

furukawa003.jpg 作品を体験すると、非常にもどかしさが募るような感覚に襲われます。例えば教室の授業風景を描いている作品は、中央部分に白っぽいもやのようなかかり、画面の中央にあるものが見えなくなっています。黒板であろうかと思える緑の色彩が大きく印象深いものになっています。見たいものが見えず、視野の周辺に気持ちが傾くと云う、注視したいのにできないというもどかしさが生まれてきます。またこの作品には上下に走る一定の長さのものが描かれています。この不可解な存在は、観者に画面に奥行きを与える事を邪魔しイメージをより平坦なものに感じさせます。

furukawa000.jpg また、校庭の端らしき所から校舎を描いた作品は、観者の背後から、強い夕日をあびた校舎が周りの風景にとけ込む様に描かれています。この希薄な存在感の建物近く、画面正面左方向に不思議な物体が描かれています。段ボールの箱のようなものです。聞けばこれはイメージの内の本人の場所、まなざしの現在点だと云う事です。私たちが見ている古川さんの記憶のイメージには、古川さん自身が登場し彼が見ている世界を私たちはその背後から経験しているのです。記憶にあるイメージには時々自分が登場している事があります。その時見えている自分がいる風景は誰のまなざしなのでしょうか。不思議な体験のできる作品であったと思います。

 

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Oギャラリー eyes    

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報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室