2015年3月26日から29日まで「人々をつむぎ、つなぎ、ついでゆく、インスタレーション キクスル」アーティスト中島崇氏によりグランフロント大阪北館ナレッジキャピタル内巨大吹き抜け空間に作品が設置された。Gallery OUT of PLACEがアートマネジメントとして関わっており同ギャラリー勤務の津嘉山氏(芸術計画学科卒)がその企画運営に携わった。
作品はイベント会場上部に網に包まれた巨大な球体達が釣り下げられ 、網の下部からは球体の一部が顔を覗かせている。網の表面にはカラフルな紐で大小いろいろな円が作られており、たどたどしい線で構成された円とエロティックな光沢の表面を持つ大小の球体とのコントラストが魅力的だ。またこの作品の制作には数多くの人たちが参加しており参加型のパブリック・アート作品である。
津嘉山氏の話を聞く―今回のインスタレーション 『キクスル』は、作品が設置される会場となるのが巨大複合施設ということもあり、アートスペースやギャラリー空間で実施する際とはアーティストを取り巻く状況、それらに纏わる調整も複雑な場合がありました。このマネジメントは開催されたフェスティバルのシンボルアートを担う作品として手がけました。ギャラリー取り扱いである中島崇が、個人と公共をコンセプトにプリミティブでダイナミックな空間芸術を展開してきたことからオファーを受けてスタートしたものです。
中島は扱う素材やメディアを限定せずに毎回空間や場所と向き合う中で作品を構成する材料を選んでいきますが、不特定多数の人が日々行き来するパブリックな環境では、予算や条件を含めクリアすべき課題も多く、そのことが作家の目的や作品の完成度を左右しないよう、プロセスから気づきを共有していくことに重きを置いていきます。
クライアントの立場や見解を理解することや、受け入れざるを得ないことも少なくないのですが、その際に状況を乗り越える為にも作家と信頼関係を築き、クライアントとの関係を大切に考えながら、作品や作家の存在から成るものを、舞台装置やディスプレイにならないように終始意識を持ち続けます。
またクライアントにもその意識持っていただけるように、双方に対して臨機応変な働きかけができるようさまざまな視点を持つように私は心がけています。現代アートと呼ばれるものがニーズを超え、日常に存在する機会が今後も増えていくように“あいだ”の立ち位置で出来る事を考えていくこと、いわば作品とみなさまの接点がどのように導かれ創出されていくか、そのことに関わり続けていく意義を再考する機会となりました。―
報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室