西天満のGallery wks.で、6月2日(月)?6月14日(土)「安井源太×北村章」展が開催されていました。 1983年生まれの安井源太さんは、2005年に本学・美術学科を卒業後、フラワー・アレンジメントの講師等をしながら、創作活動を続けていらっしゃいます。2歳年下の北村章さんは、2007年に本学・美術学科を卒業後、大学院 芸術研究科に入学、現在、芸術制作 絵画専攻の2年生です。お二人の出会いは、学内「SAGAシンポジウム アーツ アンド エイプス展」での壁画制作に参加した際のことで、二人で一緒にジャングルの場面を担当することになったのだそうです。 二人の作風は、一見正反対のように見えます。安井源太さんは、星座をテーマにした繊細でしなやかな、外へ外へと広がりを見せる画風。一方、北村章さんは、溢れる色彩のタッチで、迫力のある画面を枠(額)に閉じ込めた作品ですが、原始的な絵画を目指しているという点で共通しているのだと思います。
Gallery wks.のオーナー片山和彦さんもお二人の絵画に対する真摯な姿勢と情熱、そして、生活を考えた上での地に足の着いた創作活動であること等を熱く語ってくださいました。すっかり、お二人を見込んでくださっているのだなあとこちらもとても嬉しくなりました。
安井源太さんは、或る時、鳥取の夜の海で、突然雲の切れ間から現われた北斗七星に感動し、それ以来、星をモチーフに描くことが多いそうです。 「夜空、七つの星が、空に巨大な絵を描きながら、登って行くのを見た。星は私の心を分解し、闇の中に誘い込む。私の絵は、そのような場への扉です。 夜の闇の中に、大きな力がうごめいているのを感じる。永遠に繰り返して行く作業。体で描き込む私と北村の空間は、ひたすらに在り続けることを求める。」
安井源太さんは、ご自分の絵画を一つずつ丁寧に解説してくださいました。自分の絵を語れるというのは、とても必要なことだと思いますが、さすがですねと話したところ、最初から語れるわけではないけれど、展覧会で展示をしている中で、色々な方々と話をしているうちに見えてくるものもあるので、だんだん語れるようになってくるとおっしゃっていました。とてもきれいな色調ですねと話したところ、やはり、色にはかなりこだわっているとのことでした。
Libra (1940X970 mm mixed media)
Purple River (1940X1120 mm oil on canvas)
安井源太さんに学生時代に印象に残っていることなどをお聞きしました。 「映像学科の方々とかかわって、アニメーションの背景をたくさん描いたことがとても勉強になりました。学生時代には、絵に関する自分の好きなことは一生懸命やったけれども、もっと好きなこと以外の勉強もたくさんやっておけば良かったと思っています。」また、「小さい頃から絵を描くのが好きだったので、芸大には小学校の時から行きたいと思っていました。」という嬉しいお話も聞くことができました。 Taurus (910X727 mm mixed media)
at the sea (2273X1455 mm oil on canvas)
展示をするにあたり、二人の個性がぶつからず、同じ空間に共存できるようにとかなりの時間を掛けて展示の配置等を考えられたそうです。その苦労の甲斐があって、とても自然で心地よい空間になっていました。もし、間に椅子などあったら、くつろいで、長居してしまいそうな、癒しも感じる見飽きない絵画たちです。また行きましたというリピーターの方がいらっしゃるのもうなずけます。 The Dark Sea (1940X970 mm mixed media)
北村章さんの今回のテーマは「旅」です。 「旅は楽しい。いろんな感動がある。モンマルトルの静かな朝や、法隆寺でであった神木・・・。その感動を呼び起こしたい。残しておきたい。誰かに伝えたい。だから私は絵を描いている。」木屑を練って立体的に描かれた絵画は、額も作品の一部です。ちなみに非常に重たいそうです。
Mont-Saint-Michel (800X1100mm mixed media) 「感想をお書きください」のノートには皆さんビッシリ感想を書かれていて、人気の高さがうかがえます。
Montmartre一部 (800X1100 mm mixed media) a sacred tree (1800X1500 mm mixed media)
北村章さんは、自分でまだまだこれからだと思っているので、ほめられるよりも率直な感想を聞きたいとおっしゃっていました。とても謙虚で前向きな方だと思いました。その素直さで、きっと色々なことを吸収して成長して行かれるだろうなあとこれからがとても楽しみです。そこで、敢えて言わせてもらえば、迫力のあるものを立体的に描いているので、迫力のある画面になっているのはある意味当然の部分もあるので、またこれから、描写力に一層磨きをかけてもらって、絵画そのもののバワーも見せて欲しいと思います。 Komoku-ten (1800X1800 mm mixed media)
北村章さんに後輩の皆さんへのメッセージをお聞きしました。 「芸大のキャンパスでも時折、ボーっと座っているような学生さんたちを見掛けることがありますが、学生時代はあっという間に過ぎるので、時間を無駄にしないで欲しいですね。学科に直接関係のない音楽でも恋愛でも何でも良いから、熱中できるものを見つけて、悔いのない4年間を過ごして欲しいと思います。」
今回、お二人との出会いはとても嬉しいものでした。頑張っている人たちの作品には、とても魅力を感じて元気をもらう気がします。また、次の機会に期待がつのるばかりです。
本学芸術計画学科講師の渡辺直人先生は、授業の一環として学生さんたちをたくさん引率して来てくださったそうです。今回の写真は、渡辺先生にご提供いただきました。
次回(7月28日?8月9日)Gallery wks.では、本学大学院生岡村基展「日常から妄想へ…」とのことで、また、楽しみです。皆さんも是非、展覧会に足を運んで本物の作品に接してください。
Photo by渡辺直人/大阪芸術大学 芸術計画学科 講師 http://d.hatena.ne.jp/wnwks/20080607/p1
安井源太 ブログ http://blog.livedoor.jp/gentayasui/
●安井源太×北村章 展 6月2日(月)?6月14日(土)11:00?19:00(展覧会は終了しています) 日曜休廊/土曜・最終日は17:00まで Gallery wks. http://www.sky.sannet.ne.jp/works/
投稿者:図書館事務室
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