大阪市天王寺区にある「SoHo Art Gallery Cafe」にて3月10日からはじまった個展「田村早絵作品展 ?まめくらげ?」に行ってきました。会場にはアクリルガッシュで手描きしたイラストレーション、銅版画、シルクスクリーンプリントで制作された作品がおよそ20点展示されていました。
田村早絵さんはデザイン学科の出身で、卒業後、副手さんとしてデザイン学科の研究室に勤務されています。早いもので3年前からの勤務もいよいよ最後。退職後は東京で制作活動を続けていかれるのだそうです。学部生としての4年間を数えると7年。大学を去る前にと、今回の初個展が企画されたのだとか。ギャラリーに伺ったときにはちょうど、芸大の職員さん、デザイン学科の先生、もうすぐ卒業する4年生の方、別のギャラリーのオーナーなど個展を観に来ていた方が多く、作品数が多いこともあってか結構賑わっていました。
田村さんは男性のスーツ姿に魅力を感じるそうで、個展のDMに使われている作品のイラストレーションにもスーツ姿のキャラクターが登場しています。イメージとしてはペットボトルぐらいのサイズの小さなサラリーマンを描いているのだそうです。顔は無表情ですが、計算機に乗ってあくせくしている様子や毛糸に絡まって途方にくれている様子、赤いキノコに座ってボーっとしてる様子など、彼の日常と非日常を描いたイラストからはなんともいえない哀愁が感じられます。
絵のタッチせいからか、ほのぼのとして愛らしさのある作品でした。田村さんはこのシリーズの中で『ゆめごこち』と『ひとやすみ』が気に入っているそうです。
また、今回の個展のために初めて挑戦した銅版画の作品もありました。腐食液などは使わずドライポイントのみで、銅版へのインクの残し方に随分苦労しながらの制作だったそうです。『釣り人』という作品では、仕上がったプリントに水彩で色を入れ、更にその上から孔版(シルクスクリーン)で明るい色で星などの空の表情を加え、とても雰囲気のある作品に仕上がっていました。
そしてお得意のシルクスクリーンの作品の数々。会場にあるポートフォリオからわかるのですが、もともと動物を擬人化するイラストレーション作品を多く制作されていたのでこれまでいろいろな種類の動物達を観察されてきたのだと思います。特にシマウマやキリンなどの草食の動物が好きだということでした。今回、テキスタイルデザインを意識して作られた作品には額装された平面作品の他、布地にプリントした作品を使って作られたブックカバーやぬいぐるみなどもありました。
その中に楽しい試み見つけることができました。お気に入りのシマウマの縞模様は木目を、エリマキトカゲの模様は葉脈をスキャナして、羊の模様は羊雲の写真を利用してと、自然のなかにあるものをデザインに生かしています。
ちょっとシャレが聞いていたり、表情がその動物にピッタリだったり。この発想は面白い!じゃぁ、カエルだったら?ハリネズミだったら?フラミンゴは?と考えてしまいます。是非是非、ヴァリエーションを増やしてほしいなと思いました。
こんな発想も、まずは自然を観察するところからですよね。大阪芸大は周りが自然に囲まれていますので、学内外問わず自然観察の宝庫です。四季を自然から感じることができるので、デザインを勉強する人たちにとっても少し田舎である環境の方がアイデアも広がっていいですよね。
この春、卒業して東京に行かれる方も多いと思います。それぞれの方がどんなところにお住まいになるのかはわかりませんが、都会の生活に行き詰ったら自然を感じる場所に行ってください。そして大阪芸大を思い出して気持ちをリセットしてくださいね。皆、がんばれー!
●「田村早絵 作品展 ?まめくらげ?」 2009年3月10日(火)→15日(日) 12:00→19:00(最終日のみ17:00まで) 会場:SoHo Art Gallery Café 大阪市天王寺区生玉町10-20 (最寄り駅:地下鉄谷町線「谷町九丁目」) http://web.mac.com/celio_barreto/iWeb/SoHo/Welcome.html
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