2016年9月27日

「美術デザイナーって知ってますか?」

9月21日(水)、デザイン学科卒業生の坪田幸之さんと映像学科卒業生の楠川浩之さんを招いて、特別講義が開かれました。

IMG_0750
坪田さんのお名前に、見覚えのある方も多いのではないでしょうか?
実は坪田さん、今年5月にラジオ番組「大阪芸大スカイキャンパス」のゲストとして出演されています。
バラエティ番組「さんまのまんま」や「芸能人格付けチェック」、テレビドラマ「LIAR GAME」、「ハチミツとクローバー」、「失恋ショコラティエ」など、数々のテレビ番組の美術セットを手がけられている方なんですよ!

IMG_0740
楠川さんは坪田さんの後輩で、同様に数多くのテレビドラマなどの美術デザインに関わられています!
また、グラフィック系を得意とされていて、ドラマの中に使われているグラフィックデザインやイラストなどもたくさん描かれているそうです!!

講義のテーマは「こんなに幅広い美術デザイナーの仕事」。

IMG_0745
冒頭での「美術デザイナーって知ってる?」という問いに、ほとんどの学生は知らない様子。
美術デザイナーとは、テレビ番組の大道具や小道具、装飾、役者のメイクや持ち道具に至るまで、美術に関する全てのデザインを手がける仕事です。

IMG_0753
講義では、坪田さんが実際に手がけられた番組を実例として挙げ、美術デザイナーの仕事が紹介されました!

まずは、2014年に大ヒットした”月9″ドラマ「失恋ショコラティエ」。
主人公・小動爽太松本潤)は、高校時代から憧れていたサエコ石原さとみ)を振り向かせたい一心で修行を積んで、一流のショコラティエになり、爽太のチョコレート店「ショコラ・ヴィ」を中心にした舞台で、さまざまな恋愛模様が交差するストーリーです。
この「ショコラ・ヴィ」の店内は大きなシャンデリアが印象的で、チョコレート色をベースにした店作りがとっても可愛くて、さらにはガラスから差し込む光が不思議なくらい美しく感じるんです。

坪田さんは、「このドラマでは、主人公の松本潤さんに神々しさをもたらすセット作りを意識した」と話されます。
ドラマのセットですから、本物のショコラティエの店舗を作っても意味がないのだそう。
あえて斜めにステンドグラスを付け、そこから差し込む光が主人公を美しく照らすような効果も演出したそうです。

IMG_0758
続いて紹介されたのは、2007年にシーズン1、2009年にシーズン2、そして2010年には劇場版も公開された「LIAR GAME」という作品。
主人公・神崎直戸田恵梨香)が、1億円という大金をかけたゲーム「ライアーゲーム」に強制的に参加させられることになってしまい、さまざまな騙し合いのゲームを展開していくストーリーです。
このドラマでは、ネオンのような鮮やかな色合いの装飾が目立ち、幻想的で不気味な世界が広がっているのが特徴的。

ドラマでは普段絶対に使わない色使いをわざと使った」のだそうです。
実は原作の漫画では、廃墟の図書館や学校のような背景しか描かれていないので、同じストーリーをベースにしているのに、全く世界観が違うんです。
原作やト書き(※)から想像できる世界を、さらに超えるセットを作る」のが、美術デザイナーの仕事をする上で意識されていることだそうです。
(※ト書き…脚本の中で、台詞<セリフ>の間に俳優の動き・出入り、照明・音楽・効果などの演出を説明したり指定したりした文章)

この他にも、イベントの美術デザインの事例として「居酒屋えぐざいる」のセットなども紹介されました。
私たちが普段何気なく見ているもののあちこちに、美術デザイナーのこだわりが詰まっており、無意識の内にその世界観に誘われているのだと気づかされました!

IMG_0730
お二人は、学生たちに向けて「学生の間は、色んなものに興味を持って、自分に何ができるか見つけてほしい」と話されました。
美術デザイナーは、何かしらの強みを持っていなければ務まらない仕事なのだそうです。
グラフィックが得意な人もいれば、立体造形が得意な人、イラストを描く力に長けた人など、十人十色。
「必ずしもこの能力が必要」という訳ではなく、「自分の得意分野をどのように生かすか」が大切だそうです。
そして、興味あるものを見つけたら、「じゃあそれってどんな仕事に繋がるのか?」を考えて欲しいと伝えられました。

“将来、なんとでもなる”と思っている学生のみなさん、なんとかなりません!強みを見つけて、それを磨く努力をしてください!
そんなメッセージが強く心に響く、大変熱い講義でした!
坪田さん、楠川さん、ありがとうございました。

投稿:島田(企画広報部事務室)