美術館やギャラリー、野外アート展では,アートに関心や親しみを持って頂くため多様なイベントを関連企画として行なっています。アーティストによる講演や対談、近年ではワークショップや公開制作などがあります。今回、YOD Galleryのディレクター山中俊広さん(大学院芸術文化研究科01年修了)のアーティストトークの企画を紹介します。
4月9日から5月7日までの期間行なわれている新野洋展の関連イベント、トークイベント「生態学から語る“いきもの”」が4月16日に行なわれました。今回のイベント企画の 魅力は、参加ゲストがアート関係者ではなく生物学の専門家が作品を語る事にありました。新野さんの作品を見て頂くと理解出来ると思いますが、精巧に作られた昆虫を基本にしてその上に植物イメージを合成させています。
一見するとそのような昆虫もどこかで見たようなというデジャブ感覚に襲われますが、完全なオリジナル昆虫作品です。この創造された昆虫を生態学の視点から、ゲストである山中みのりさん(あくあぴあ芥川学芸員)が語るという試みです。生態学とは生物と環境の相互関係を研究する学問です。
トークショウでは、まず科学系の方らしく昆虫の定義から説明があり、作品がその範疇に入るところとそこから逸脱するところのお話がありました.新野さん自身は昆虫には大変詳しく、制作において本物の昆虫を丹念に観察しておられるようです。
生態学からの視点では昆虫に混合された植物のデザインから、この創造された昆虫の環境生態のお話が展開されました。例えば、ひっつき虫のようなデザインがある昆虫は、人の衣服に引っかかりより遠くの場所に生存の可能性を求めている様子がみえる、というような内容です。
私は、このトークショウにより昆虫作品に物語など背景が生まれたと感じました。とても興味あるトークショウで、参加者の中には理科系の方もおられたようです。
新野洋展「いきとし“いきもの”」
4月9日(土)から5月7日(土)日曜・月曜休廊
11時から19時開廊
会場:YOD Gallery
大阪市北区西天満4-9-15
06-6364-0775
HYPERLINK http://www.yodgallery.com/"http://www.yodgallery.com/
報告 加藤隆明 教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室