2013年6月19日

刀川昇平展(美術学科06卒)ーrevivalー ギャラリー白 3/11-16

水たまりを想像させる形(木洩れ日から見える木々の形もイメージしている)画面が、壁面に配置され床には自然木に着色した立体が置かれていた。ギャラリー空間と作品のバランスにより、静かな風景の中にいるような気分になる。

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空間の静謐感は画面の制作方法にある。水たまりのような形はベニヤ板で制作しその上に珪藻土(けいそうど)で表面を作っている。そこに着色しているため砂が色彩を吸い込み色彩が基底の素材と交差し安定した関係を生んでいる。イメージは水面に浮かぶ木葉と枝を表している。イメージは輪郭線や状態を表すような線を重視し、面としてとらえることしていない。

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詳細に描かれた木葉と抽象化された線との比較が魅力的でもある。水面に浮かぶ状態、木葉の端が水面に隠れそれ以外は水に浮かぶ。
水面前後の境界の表現の方法を見る。視点は木葉の表面に合い、そこは詳細に描かれている。木葉の周辺は水に浸され水滴が描かれている。水滴は平坦に描かれ現実性を失っている。周辺を見るとぼかしたようなイメージが描かれている。水の屈折のためか焦点が合っていないせいか、その効果で水面からの距離を感じさせる。

 

DSCF3340.JPG画面には複数の抽象的な線が描かれている。これらの線は画面の外に伸びほかの作品と結びつけようとしている。注意すべきは白い線である。何を表象するかわからない線であるがこの線は枝の部分はその上に、葉の部分はその下を通過する。これは具体的な表象物ではなく画面の空間を特異化するための表現方法のように思える。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室