2011年6月19日

特別講義 映画『マイ・バック・ページ』

5月25日(水)、本学映像学科卒業生の山下敦弘監督、最新作映画『マイ・バック・ページ』の上映会が本校の映画館にて行われました。

 

mybackpage00.jpg特別試写会は午後に2回行われ、第1回目の本編上映後には映像学科長の大森先生、映像学科教授の西岡先生、監督の山下氏、脚本家の向井氏と、現代の日本映画界を代表する面々による特別講義が行われました。

 

mybackpage01.jpg特別講義では、脚本を執筆する上で苦労したというキャラクター造形や、ラストシーンへのストーリー展開、学生運動以降に生まれた山下・向井両名がどのように物語と向き合ったのかというプロセスなどをお話いただきました。

(以下、敬称略)
山下:「原作を映画として展開する上での情報収集の際に、梅山(松山ケンイチ)というキャラクターが凄く面白いと思い、沢田・梅山2人の話にしようと考えました」
大森:「自分たちが生まれる以前の話・人物像を監督と脚本家でよく作り上げているなと関心しました」
向井:「僕たちは学生運動以降に生まれているので時代背景も含め、いくら資料を読んでも理解は出来ても共感は出来ないんです。だからストーリーを作るうえで何か普遍的なテーマを見つけなくてはいけないと思った。“青春の終わり・挫折“を描けば、僕たちと同世代や今の若者にも響く作品を作れると思ったんです」

 

mybackpage02.jpg?学生質問:画作りでは独特の長回しに定評のある山下監督。今作では画作りの方法を今までと変えたということですが
山下:「今回は画コンテを切らずに近藤くん(同じく映像学科卒業の近藤龍人カメラマン)に、一種自由に撮ってもらうという感じでした。今までは、眺めているような長回しが多かったんですが、今回は全体的に役に寄り添っていくカメラワークになっています」
大森:「今作の画作りで感じた事は、近藤カメラマンの力が大きいということ」
西岡:「自衛官が殺されるシーンで、死体が刺された位置で死ぬんじゃなく少し動き出した後に力尽きて、ジーっと血が広がるというショットは映画的だなぁと思いましたね」

mybackpage03.jpg《第2回目の上映前には山下監督、向井脚本家に舞台挨拶していただき、たっぷりとお話いただきました》

?学生質問:どのような学生生活でしたか

山下:「何かをしなければ・・という思いが凄くあって、近くにあった8ミリカメラで映画撮ろう!という感じでした。“何かをしなければ・・”という思いは沢田・梅山というキャラクターからも滲み出ていると思います」

 舞台挨拶では、お2人が学生時代に参加した撮影現場の今だからこそ笑えるエピソードなど、貴重なお話もしていただきました。

?MC:最後に一言お願いします
向井:「僕が大学に入って一番大きかったのは、やはりフィルムで映画を創るということでした。自分たち主体で製作を行うのは大変だと思いますが、頑張って下さい!」
山下:「友だちに是非観て下さいと伝えて下さい(笑)」

 映画『マイ・バック・ページ』は全国の映画館にて5/28(土)より公開中です。

投稿:映像学科 小森茉季