今月13日のブログでも紹介しましたが、学内では大学院作品展が続いています。それぞれの分野ごとに3日ほどの短い展示期間でめまぐるしく作品が入れ替わっています。今日からは博士課程[前期]造形系(絵画・彫刻)の作品が展示されており芸術情報センターは新たな盛り上がりを見せています。展示ホールにも作品が展示されていますが、アートホールにも。
そして、今、実験ドームがスゴイことになっています。
もうそこはトゥームレイダースの最終ステージに迷い込んだような空間です。ここに展示されている舞台美術のような作品は芸術制作専攻(絵画)の北村章さんの修了制作作品です。実験ドームはもともと独特な雰囲気で音響も外とは違う場所なので、北村章さんの作品がこの空間の独自性と融合して、また新たな価値を生み出しています。
『アンコール』と名付けられた作品は、北村さんご自身がカンボジアで感じてきたパワーを表現した作品だそうです。学内で展示された作品でここまで大きな作品を見たことはありません。はじめから実験ドームでの展示を想定して作品を計画されたそうで、天井にまで届きそうな高さ、作品の拡がりは場所に対して絶妙のバランスです。
作品は大きくなればなるほど、ディティールまで十分に手をかけることができなくて荒くなったり、ただ大きいだけで作品全体が幼稚なものになるケースがありますが、北村さんの作品は全く違います。アンコールの文化、歴史や民族、カンボジアの自然、光と影、古代遺跡の神秘的な雰囲気などこの空間全体で表現されています。
会場にはこの作品の躯体制作に協力いただいた楢木正信さんが来られていました。作品の規模と「実質3ヶ月」という制作期間を聞いて本当に完成するのかと大変心配されていたそうです。北村さんも「社長(楢木)に木を切ってもらっておいて、(作品が)できなかったでは大変失礼だと思い徹夜してでも完成させるように頑張りました。最後はやはり徹夜でした。・・・」と笑っていました。
実験ドームの独特の暗さの中でこれだけ巨大な作品となると写真を撮るのも苦労します。見学に来ていた方は床に寝転がって、ブレないように身を固くしてシャッターを押していました。私のカメラで目いっぱい広角にしてもフレームに収まりませんでした。
サントリーミュージアムにも展示される予定ですが、その時は少し規模を縮小するのだとか。フルスペックで見れるのは今だけです。是非、実物を見に行ってください。繰り返しますが、この展示「たった3日間」だけというのは本当にもったいない・・・。たくさんの方に見て頂きたい。だからどこかでアンコール!
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