富山県砺波市美術館で、「至高の精神展13 高慶敬子 蓮暦」2月4日から3月4日まで、当美術館学芸員杉本積さん(芸術計画学科94卒/院修士修了)の企画展が行なわれました。
富山県在住のアーティストを杉本さんが紹介していく企画で、今回13回を迎えました。今回のアーティストは高慶敬子さんです。高慶さんの作品は、洋紙に墨を2度程均質に塗った後、イメージの蓮を色鉛筆と水彩で仕上げていくものです。
展覧会のタイトルは蓮暦とあり、蓮の生長から枯れるまでのすがたを描いた時間軸のある作品となっています。
均質に塗られた背景の水墨の硬質感と蓮の線、そしてその内に表れたハイライト部分や淡く彩色された蓮の花や葉の裏の色彩の表現により、非常に不思議ではありますが落ち着いた印象を感受することができます。
作品は水墨を使用することから水墨画のようですが、杉本さんはこの作品をドローイング作品としています。
現代アートでは、ドローイングは絵画を完成させるための下書きという考え方ではなく、絵画と同じ完成作品として扱います。
現代の若者が衝動的に身の回りにあるペンと紙片を利用し、落書きするように描き出すドローイング作品は多いのですが、計算された画面構成や着色、そしてどこか分からない背景(シュールレアリズムの画家、イヴ・タンギーの作品を思い浮かべます)などの要素があり、極限まで削り取られた線描をもってドローイング作品と呼ぶことに新鮮な驚きを感じました。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室