2011年4月20日

森本由貴子展 2kw58ギャラリー

どうも!ゲイブロです!今日は投稿ブログをご紹介します!

morimoto (2).jpg森本由貴子さん(美術学科08卒)の銅版画の個展が4月4日から16日まで行なわれました。

morimoto (3).jpg動物と人間の姿を合成したようなあるいは動物の被り物をした身体で表現されています。作家の言葉から作品の重要な要素は「かわいらしさ」であると話して頂きました。

morimoto (1).jpgこのキーワードは奈良美智氏の作品の要素「かわいい」という概念が、若手アーティストにも浸透してきたことだと思います。では彼女の描く「かわいらしさ」とは何なのでしょうか。作品の多くは擬人化された動物の姿や、人間が動物のお面やコスチュームをつけて登場しています。なぜ人間を動物化するのかの私の質問には、人間は身に着けた装飾品やヘアースタイルでその時代の特性や「かわいらしさ」の記号が成立してしまうのを避けるためと、動物にはファッションという概念がなく、より普遍的に「かわいらしさ」を求められるというような話に聞こえました。つまり、誰かにより作られた「かわいらしさ」には森本さんは拒否しています。

morimoto.jpg私は、この作品の中には「かわいらしさ」の中にイノセント(清潔、無垢など)が内包されているような気がしました。動物のようなイノセント的「かわいらしさ」が大きなテーマのような気がしています。

作品の多くは、登場人物が正面をしっかり見据えていたり、擬人化されたイメージが額縁の似姿と向かい合ったりしています。これは肖像画と考えられます。ヨーロッパ絵画には正面性の強い肖像画はあまりありませんが、私にはそう見えます。このイノセント的「かわいらしさ」は、肖像画(鏡)としての作品に観者自らの心身を投影することで森本さんの云う「かわいらしさ」が見いだされるのかもしれません。
 

morimoto (4).jpg
卒業後、銅版画のような作業工程があるものはなかなか自宅でできるものではありません。彼女も卒業後多くのアーティストと同じ工房で作業を続けているということです。学生の皆さんも卒業後制作を続けていくことを考えている人も多いと思います。できるだけ画廊廻りをしていろいろ相談できる先輩を見つけておくことも必要ではないでしょうか。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室