昨日、放送学科の「現代マスコミ論」という授業にお邪魔してきました。昨日は前期最後の授業でした。この授業はマスメディア各界でご活躍の方々に毎週講師としてお越しいただいて、毎回、教科書では学ぶことのできないタイムリーなお話を聞くことができます。
『ソーシャルプロデューサーの時代 –ABC新社屋誕生秘話など–』と題し、朝日放送から小関道幸氏に講演いただきました。小関氏は朝日放送で報道、編成のお仕事をされ、現在はプロデューサーのお仕事をされておられ「サンデープロジェクト」などの番組を手掛けられた方です。
「おはようございます!」から授業は始まりました。さすが放送業界の方です。 小関先生は朝日放送の新社屋建設の仕掛け人です。50年以上の歴史を刻んだ朝日放送の建替えにあたり、「場所を替えずに建替え」という選択、「大阪の玄関口に移転」という選択があったそうですが、そのどちらでもない選択をされました。「中之島」に目をつけたわけです。その計画は大阪の本当の魅力を十二分に汲み、今後の大阪の未来に期待するプロジェクトでした。 「商都、大阪」「文化都市、大阪」の他、大阪は「水の都」とも呼ばれてきました。小関さんの計画は「新しい時代の川の風景」の中に「カルチャーフロント」をつくろうというものでした。「最近の放送局は「街づくり」もやるんですよ!」という言葉が印象的でした。
朝日放送の新社屋は「デジタル時代の創造工場」という構想のもと、完成記念イベントとして3つのプロジェクトが計画されました。(1)中之島演劇祭、(2)中之島音楽特区、(3)ショートフィルム・フェスティバル。ショートフィルム・フェスティバルは小関さんが2年前に立ち上げた「子供未来プロジェクト」が基になっているそうです。本学映像学科長の大森一樹先生も参加しているイベントです。
また、朝日放送の新社屋東側にできた「堂島リバーフォーラム」にオープンした「大阪芸術大学ほたるまちキャンパス」についても講義の中で紹介していただきました。ちなみに今月23日まで大阪芸術大学の所蔵品展を「ほたるまちキャンパス」で開催中です。
小関さんは学生達に「今、関西に根を張って活動しているDNAを最後の切り札として持っておいてほしい。大阪人の気質として『本音』でものが言えるだったり、しんどいことも面白がってつくっていくことだったり、いいものがあります。これから『文化の首都づくり』をそんな大阪で実現したい」。そして「ソーシャルプロデューサー」という仕事は「時代をどう捕まえて、どのような情報を発信していくのか」を考えて実現していくことだとおっしゃっていました。
映像資料として「NHKスペシャル 沸騰都市」、テレメンタリー2007グランプリ作品「二重被爆」を紹介していただきました。 「沸騰都市」は、現在バングラディシュのダッカという都市の現状と経済発展の裏側に眼を向けたドキュメンタリーです。この番組の企画をされた原丈人さんの「国富論」という著書を紹介いただき、ソーシャルプロデューサーとして持つべき視点についてお話いただきました。今後の日本はアジアの人々とどう繋がっていくかが重要な課題である、というまとめでした。 また「二重被爆」は記録映画にもなったドキュメンタリー作品で、広島・長崎の2都市の両方で被爆された方を取材しています。「われわれの仕事は『人の生きざま』を見つめ、そこから現代社会に問題提起していくことだ。その人がどう戦っているのか、どう戦ってきたのか、そしてどう負けたのかなども含め見つめることから始まる。これがわれわれの仕事の原点であり、立ち位置です。」そんな風にお話されていました。「われわれは人生を預かって、人生を伝えている」という言葉がグッときました。
こうして社会人になってから聴く大学の講義は本当に勉強になるなぁ、と感じます。普通ならお話を聴くことができないような方から、さらに「週変わり」で、新鮮で深みのある講義が聞ける。在校生の皆さん、すっごい贅沢な環境だってことわかってるかなぁ?
大阪芸術大学ホームページ 大阪芸術大学ブログトップへ
|