2009年1月24日

アンサンブルの夕べ

昨日、河内長野市のラブリーホールで行われたコンサート『アンサンブルの夕べ』に行ってきました。昨年末12月27コンサートと同じようにロビーを使ったコンサートです。会場に用意されたおよそ100席は、ほぼ満席。
「アンサンブルの夕べ」  ラブリーホール
ロビーコンサートは地域の若手音楽家の発表の場として、よく考えられた企画でコスト面、集客面でホールコンサートが難しい場合でも低コストで開催することができます。しかも見る側にとっては低料金でかつ非常に近い距離で楽しむことができるというメリットがあります。そして全面ガラス張りのロビーを利用するのでホール事業を市民の方にアピールすることになります。
「アンサンブルの夕べ」  ラブリーホール
コンサートのスタートは河野正孝先生による挨拶と曲の紹介です。「木管五重奏、私は実はあまり好きではなく、なんか眠くなってくるでしょ、前回に引き続き眠くなった方は寝ていただいて結構です。」ジョークを交えたトークで笑いが起こり、会場はリラックスしたムードになりました。
「・・・私は聴くなら前回の(コンサートの時の)ような八重奏ぐらいがいいんですが、五重奏は演奏する立場で楽しんでいます。では・・・」
アンサンブル ラブリーホール コンサート
木管五重奏の代表的な作曲家F.ダンツィの変ロ長調の演奏が始まりました。1月16ブログで取材した練習のときに練習されていた曲でした。その曲が1曲目だったので、練習風景を思い出すと緊張してきました。ホルンの見せ場、オーボエとクラリネットの掛け合いの部分などがうまく演奏されるかどうかと。聞いたところ当日も昼間からコンサート直前まで河野先生の厳しいご指導があったそうです。弦楽四重奏と並び称されるだけあって5種類の楽器の音色がうまく構成された素敵なアンサンブルでした。
アンサンブル ラブリーホール
次はピアノの北谷千智さんを加えての演奏“ニッポンの歌、心の歌”から「六つの日本民謡」でした。演奏前に先生から「クイズというわけではないが・・・」とコメントがあり敢えて演奏される曲名は紹介されませんでした。トライしてみましたが、メロディはわかるのに曲名となるとわからないものが多かったです。「ねんねんころり」「ずいずいずっころばし」「とうりゃんせ」・・・。全問正解ならず・・・。続いて演奏された「三つの春」は演奏終了直前に6人全員で「春が来た!」と声をそろえて叫ぶ部分が用意されていて、そのちょっと変わった構成に正直驚きました。演奏途中で声を出すのって絶対難しいはずです。

次は声楽の西田智香子さんを加えて、ソプラノとピアノとフルートの演奏でした。河野先生は室内楽のコンサートなどでも歌を入れるのが好きなのだそうです。「・・・楽器の音はどこまでいっても楽器の音。そこに人の声が入ると演奏が一気に華やかになります。声は一番美しい音の楽器です。・・・」
アンアンブル フルート ソプラノ
歌の翼幻想曲」「落葉松」の2曲の演奏でした。演奏前に西田ご自身から曲の解説があり「・・・メンデルスゾーンは裕福な家庭に育ったそうで、作られた曲の中には悲壮感などをほとんど感じないものが多い・・・」など、楽曲の背景を知ると聴き方が変わってきます。「落葉松」は日本語の歌詞なのでその切ない情景がイメージしやすかったです。こういう教養になるような感じが、心の豊かさというのでしょうか?
落葉松 フルート ピアノ 歌の翼

休憩を挟みソプラノ・クラリネット・ピアノの編成でF.シューベルトの「岩上の牧人」の演奏でした。のどかな自然の風景と羊飼いの少年の孤独感や春の喜びが描かれた曲だそうです。
岩上の牧人 クラリネット ソプラノ ピアノ
クラリネット演奏がソプラノと呼応しながら進む部分があり、このクラリネットは“やまびこ”の表現なのだとか。「・・・高原の澄んだ空気をお楽しみください・・・」。行ったことはないけれどイメージしてみます。ハイジが山に来る前のペーターがそこに・・・。

最後は今回のメインの曲でオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、ピアノによる「ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調作品16」の演奏でした。シンフォニー(交響曲)の部分がたくさん登場する作品で、ベートーベンの初期の作品でための若々しさが感じられるのだそうです。
アンサンブル ラブリーホール 

最後は全員で「春よこい」の演奏で締めくくられました。
小回りの効いた構成でアンサンブルの編成がクルクルと変わり飽きさせないのと、多くの人が暖かい春を待つこの季節のために選ばれた楽曲の数々。音楽企画の面白さを感じることができるコンサートでした。この様子は後日、OUA-TVでも放送される予定です。

出演者の皆様、河内長野文化振興財団・ラブリーホールの皆様、取材ご協力ありがとうございました。


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2009年1月23日

plywood chair

12月のキャンドルナイトに引き続き、大阪美術専門学校よりお知らせします。
今週いっぱい総合デザイン学科ライフデザイン専攻2年生が作品展示を行っています。場所は美専の展示ギャラリー、正面エントランスロビーから地下へのびていく段差が特徴的で、天井の高いゆったりとしたスペースです。
plywood chair
中庭が見渡せて一方がガラス張りなのでとても明るく開放感があります。こんな曇りの日でも作品たちを美しく照らしてくれます。

plywood chair 大阪美術専門学校
plywood chair 大阪美術専門学校 「plywood chair」展
この作品展は毎年行っているもので、ずっと気になっていたのです。どんな仕組みで出来上がったものなのか、ライフデザイン専攻の山岡俊雄先生に聞いてみました。

『今回の展示はライフクリエイティブIの授業内で行っている習作展です。内容は厚み12ミリの合板を使用し接着剤や釘などは使用せず組むという事だけで椅子を制作するものです。前期はアイデアから実際の大きさや形状を図面上で検証するところまでを行い、後期は実際に工作機械を使い具現化する作業をしました。この課題の目的は、ライフデザインでの作品の中では比較的大きいものの為、頭で想像したものと実際に出来たものとのギャップが大きいというところでスケール感を養ってもらいたい事、そして組み立てるだけで椅子を制作するため構造体が意匠にならなければならないところの造形センスを身に付けてもらいたいところです。結果的には、この課題で家具デザインの面白さや難しさが伝われば良いと思っています。』

plywood chair 大阪美術専門学校
奥田有加さんの作品は、背骨のラインに沿うような座面で、包み込まれるような座り心地です。前からだけでなく後ろや横、いろんなアングルから異なる表情を楽しめます。

plywood chair 大阪美術専門学校
福本麻衣さんの作品は、コロコロ揺れる椅子がコンセプト。リビングでTVを見ながらゆーらゆら。板と板の間に雑誌やモノを挟んでみる、椅子としても物入れとしても使えます。

plywood chair 大阪美術専門学校
永山太一さんの作品は、いろんな体勢で座ることをコンセプトにした椅子。ここではお見せできませんが、いろんなポーズを図解してあります。

plywood chair 大阪美術専門学校
吉田匡希さんのデザインは、ひと休みできるように低座で、鳥の巣を揺りかごのようにしたもの。ポイントは座面とアームの一体化です。

plywood chair 大阪美術専門学校
太田由衣さんは、駅のホームにある椅子をもっとデザイン性のあるものにしたいと考えました。前後に一人ずつ座るようになっていて、いくつも連なると背もたれの曲線美がポイントになります。

plywood chair 大阪美術専門学校
佐藤智美さんの椅子は「stylish」をテーマに、どの角度から見ても「流れ」を感じられるデザインです。座ってみると背もたれからおしりのフィット感があり、十分にくつろげる角度になっていて、見た目以上の強度があるそうです。

すっ、すごいですね。釘や接着剤が何にも使われてないなんて想像もしませんでした。木を組み合わせるだけで人間一人の体重を支えるなんて・・・

plywood chair 大阪美術専門学校
この展示作品には実際に座っていいものもありますよ。
残りの会期が短いですが、JR美章園より徒歩3分と近いので是非見に来てください。

●plywood chair
 平成21117日(土)→24日(土)
 9001700
 場所:大阪美術専門学校 展示ギャラリー

投稿者:大阪美術専門学校事務局

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2009年1月6日

シェル美術賞展2008 京都展

本日から始まったシェル美術賞展2008<京都展>に行ってきました。京都に近づくにつれ少しずつ肌寒くなっていきましたが、スッキリ晴れた京都はとても気持ちよかったです。地下鉄・東山駅を出て白川に沿って平安神宮へ。
平安神宮 大鳥居 京都市美術館 表参道 神宮道
神宮道の大鳥居をくぐって左手の京都市美術館・別館に向かいます。
京都市美術館 別館
シェル美術賞は美術作家の登竜門と評されています。今回の展覧会では応募作品1,700点から厳選された受賞・入賞作品44点が展示されています。これまで
ブログでも紹介してきましたが、本学の出身者4名の作品が見れるということでとても楽しみにしていました。
シェル美術賞2008 京都展
>11月11ブログシェル美術賞2008
>>>12月6ブログシェル美術賞2008続報

若手作家の作品展などを評するときによく「瑞々しい」という言葉が使われることがありますが、これまで自分ではそのニュアンスが良くわかりませんでした。でも今回の展覧会を拝見しまして「“瑞々しい”っていうのはこういうことなのかな」と思えるような感じがありました。
シェル美術賞2008 京都展 京都市美術館
『遠回りではない。ただ遠かっただけ・・・』。作家の方々のコメントを読んでいくと「これまで紆余曲折あったんだなぁ」と思わせるものなどがありました。それぞれの作家の思いや作品に込められた意図などを感じながら鑑賞すると不思議と親近感がわいてきます。作品の方向性や表現方法もまったく違う44点は見応えがあります。
シェル美術賞2008 京都展

中井康之審査員賞」の渡邉順子さんの作品「」と「蔵屋美香審査員賞」を受賞されている岡田大さんの作品「名前のある馬」が並んで展示されていました。
シェル美術賞2008 京都展

これまでブログで2度取り上げてきましたシェル美術賞展2008ですが、絶対実物をご覧になられることをオススメします。シェル美術ホームページや作品集で作品を確認することはできますが、小さく収められた写真ではわからなかったディティールや質感、作品の大きさから伝わる迫力など新たな発見がありました。
シェル美術賞2008 京都展
上の写真右側の作品『いまも宇宙のすみずみにいたるまでかすかな残響となって響きわたっている』(笠見康大さんの作品)は作品集で見るのと全く違います。本当に美しい作品でした。どんな風に描けば油彩でこんな表現ができるのかととても関心しました。
その左隣、『ウゴメクヨル』(サガキケイタさんの作品)も同様で写真では作品のコンセプトが全く伝わりません。この作品は遠めで見て、そして20cmほどの至近距離で見て、と両方で見なければ醍醐味を味わえません。

会期が短いのでお早めに!
ホームページから入場引換券(無料)がダウンロードできるようになっています。是非ご確認を!
シェル美術賞2008(京都展)、入場引換券(無料)のダウンロードはこちら»

●シェル美術賞展2008 <京都展>
  200916日(火)→111日(日) [会期中無休]
  9001700 [入場は1630まで]
  京都市美術館・別館 (TEL.075-462-4671

  [京都市左京区岡崎最勝寺町13 (京都会館敷地内の北側)]

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2008年12月22日

クリスマス・ポップスコンサート at 堂島リバーフォーラム

関西屈指の文化拠点である大阪中之島。
この中之島エリアで毎年行われる「OSAKA光のルネサンス」
連携イベントとして開催されている「大阪芸術大学クリスマス・ポップスコンサート」
今回は、場所を堂島リバーフォーラムに移して開催されました。
堂島リバーフォラム
この堂島リバーフォーラム3階には、大阪芸術大学ほたるまちキャンパスがあり、
芸術の情報発信基地として各種アートイベントや展覧会などが開催されています。

コンサート当日は、小雨がちらつくあいにくの天気でしたが、気温が下がらず、
12月とは思えない暖かさでした。
堂島川の水上バス 
堂島川
会場前の堂島川には、水上バスが行き来し、水の都を感じさせます。
堂島リバーフォーラム
厚い雲に覆われた空から、小雨がちらほら降っていました。
堂島リバーフォーラム ホール 
堂島リバーフォーラム
今回で5回目となるクリスマス・ポップスコンサート。
回を重ねるごとに完成度が増していくように思います。
学年の枠を超え、競演する学生たち、ひとりひとりの個性が会場いっぱいに輝いていました。

音楽学科ポピュラー音楽コースでは、今年度だけでも
キャンパス見学会でのキャンパスコンサート【5月・7月・9月】
六都コンサート(博多・広島・高松・神戸・大阪・名古屋)【8月】
JAZZ&POPS【11月】
クリスマス・ポップスコンサート【12月】
などなど、数多くのステージをこなします。
学生たちは実際に舞台(ステージ)に立って表現できる機会に恵まれています。
会場でしか感じることができない雰囲気をお伝えするのはとてもむずかしいのですが、
頭のてっぺんからつま先まで、全身で音楽を感じることができました。
ライブならではのこの感覚!お伝えできないのが本当に残念です。

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2008年12月14日

小橋陽介 展

肥後橋駅から徒歩5分、靭公園のそばにあるギャラリー「Gallery Den」で開催中の「小橋陽介 展」に行ってきました。
小橋陽介 Gallery Den ギャラリーデン 
小橋陽介さんは2003年に大阪芸術大学を卒業され、展覧会「VOCA2006」や水戸芸術館現代美術ギャラリーでの個展など活躍されている現代アートの作家さんです。

今回の個展に出品しているのは13作品。しかもほぼすべての作品が自らの裸身を描いています。その色彩感覚と観る人の心を解放させる自由な構成はすごいインパクトです。
小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン
小橋陽介さんは大学3年生のときからずっと人物を描いているのだそうです。なんだかそれがしっくりくるのだとか。わたしの勝手な推測ですがその「しっくりくる感じ」、ちょっとわかるような気がします。私の場合、ブログの写真を撮るときにはできるだけ人が写るように撮ろうと思っています。
小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン
小橋陽介さんの作品は、裸身の自らが鳥や蝶などの空を飛ぶ生き物や樹木や花・野菜などと自由に戯れている天真爛漫な明るい世界と、宇宙や森の奥、自分の影のような闇の世界との対比がとても印象に残ります。その中に小橋さんの哲学を感じます。イメージの中で解き放たれている小橋さんが見ている世界をそのままキャンバスにぶつけ、さらけ出したような作品です。
小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン
「細かく繊細な描写」や「理論的な構成」、そんなことは超越したかのようにも思える作風はユニークで面白い。単に「面白い」というより興味深いです。小橋陽介さんは「不思議な感性」と評されることもあるようですが、本当は誰もが持ち合わせている「非論理的なもの」や「理性的でないもの」を堂堂と表現してくれている作家さんのような気がします。
小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン
世界にはヌーディストビーチなるものが本当にあるらしいです。白い砂、青い空や海。生まれたままの姿で自然の中にとけ込んでいく。そんな解放感を求める気持ちは誰にもあるのでは?と思います。小橋陽介さんの作品は現実社会の規制から解放された自由な精神を素直にストレートに描き出していると思います。ラフさやポップな色使いも肩の力を抜いてくれます。絵画など造形表現の楽しさや魅力というのはこんな感覚のことをいうのではないかなと思いました。
小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン
ギャラリーに伺ったとき小橋さんは東京に戻られていておられませんでしたが、「裸」の小橋さんにお会いできたような気がしています。個展の最終日(20日)には在廊されるそうです。

小橋陽介 展 Gallery Den ギャラリーデン 
●小橋陽介 展
  2008.12.8(月)→12.20(土)
  
月曜→金曜:12:00 – 19:00  土曜:17:00まで
  日曜休廊
  Gallery Den(ギャラリーデン)

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