現在、芸術情報センター1階展示ホールでは、音楽学科主催の展覧会「雅楽の世界 新調!左方襲装束と『延喜式』における色彩復原の試み」を開催しています。
「雅楽」は、日本の古典音楽の一つです。
楽器のみによる合奏を「管絃」、舞を伴うものを「舞楽」と呼びます。
さらに、中国・ベトナム・インド・ペルシャなどの音楽が起源の「唐楽」による舞楽を「左方」、朝鮮・渤海(現中国の東北地方)の音楽が起源の「高麗楽」による舞楽を「右方」と呼ぶそうです。
大阪芸術大学では、1993年、左方と右方の襲装束(かさねしょうぞく)1領ずつをはじめ、雅楽器を備品として揃えました。
舞楽の演目の一つ「振鉾」は、左右の舞人ひとりずつが鉾を持ち、これから舞楽が行われる舞台の上を清めるという意味があるそうです。
そのため式典のオープニングに最適な演目とされ、1994年の入学式にて初めて舞われて以降、本学の入学式と卒業式のオープニングは雅楽が定番となりました。
雅楽に始まる式典、他の大学ではなかなか見ることができない演出かと思います!
今回新調されたのは、左方襲装束2領。
会場に入ってまず目に飛び込んでくる、緋色をした衣装です。
1996年の2代目に続くこと、25年ぶりの新調だそうです。
近年生産されている襲装束は、模様がプリントであったりと、つくりが簡略化されているものが多いそうなのですが、こちらは正絹の精好紗に、5色の糸で刺繍が施されています。
とても希少なものだそうです。
舞楽では、曲によって用いられる装束が決まっており、襲装束はそのなかでも最もポピュラーなもので、多くの曲に共通して用いられています。
1領はパーツごとに、もう1領はマネキンに着せた状態で展示され、とてもわかりやすく紹介されていました。
また、装束類だけでなく、楽器や書物類なども展示されています。
さらに、工芸学科テキスタイル・染織コースの協力で、天然染料の復原も試みられています。
今回は、蓼藍・紅花・蘇芳・刈安・山梔子・黄檗・茜・紫根を染色しています。
どれも全て、植物が原料で、花びらや、樹木の芯材が使われていました。
みなさんも、雅楽の世界を覗きに、ぜひ足を運んでみてください!
「雅楽の世界 新調!左方襲装束と『延喜式』における色彩復原の試み」
会期:2021年11月16日(火)~22日(月)
時間:10時~18時(最終日は17時まで)
場所:芸術情報センター1階展示ホール
★配信イベント
天王寺方楽家 岡昌但伝授譜による江戸時代の復原舞楽
左舞「甘州」
日時:11月20日(土)11時30分~
投稿:島田(学生課)