2009年3月7日

サイコフィクション

映像学科の卒業制作展「DAIGEI FILM AWARD 2009 in HEP!に昨日行ってきました。受付で聞いてみると、あいにくの雨と金曜日ということもあってお客さんは少なめ、とのことでしたが、満席とはいかないまでもたくさんの来場者がありました。
DAIGEI FILM AWARD 2009 in HEP! 映像学科 SMG
17時を過ぎてからHEP FIVEに到着したので記録映像『愛と、生きる』の途中から入場。
その後上映された『狐が横切るお釈迦様』、『VILTICE』と2つの作品を観ました。いずれの作品も完成度が高く感心するばかり。

さて、お目当ては1日目のプログラムの特別企画、スクリーミング・マッド・ジョージ先生の特別講義です。講義までの約10分の休憩中、スクリーンにはミュージックビデオがダイジェストで上映されていました。マッド・ジョージ先生の手掛けた特殊美術が用いられた作品の数々にしばし圧倒。先生の世界的な活躍が良くわかりました。
DAIGEI FILM AWARD 2009 in HEP! 映像学科 SMG
ステージの司会者が現れました。顔はゾンビの特殊メイクが施されています。続いて顔から足が突き出た人物、そうマッド・ジョージ先生の登場です。のっけから度肝をぬいた演出です。ステージには他にも先生が制作されたマスクと型取りされたマスクの原型などが用意されていました。その特殊美術の制作物と先生がニューヨークで活躍されていた頃の映像を紹介しながらこれまでの活動とお仕事が紹介されました。
映像学科 スクリーミング・マッド・ジョージ 特別講義 DFA
もともとニューヨークの美術大学で油絵を専攻されていたそうで、大学在学中に『ハウリング』という特殊メイクの映画に衝撃をうけたそうです。それからご自身が絵画で表現したかった世界観を映像で表現したい、そう思われたのがこの世界に入ったキッカケなのだそうです。あの『ポルターガイストII』の白骨化していくゾンビの映像など製作現場のエピソードを数多くお話いただきました。失礼な言い方ですが、こんな先生から学べるなんてホント値打ちがあります。
映像学科 スクリーミング・マッド・ジョージ DFA
特殊美術のお仕事もどんどん進化しているのが良くわかりました。肌に直接塗ってもよいシリコンだとかさまざまな材料の質が非常に良くなっていて、昔に比べると随分やりやすくなっているそうです。CGの合成技術も進化しているので、表現は飛躍的に多彩になっています。

スクリーミング・マッド・ジョージ先生は大阪芸術大学で授業をご担当されるようになってもう4年。2年前は70人ものクラスで特殊美術を指導されていたそうで、その大所帯では思うような授業の進度が見込めなかったそうです。次の2年生は30人程度の人数に限定し、より細かなところまで指導できるような体制を計画されているそうです。
映像学科 スクリーミング・マッド・ジョージ DFA
舞台上ではライブで特殊メイクの実演が始まりました。サルの顔に変身するためのアプライアンス(マスクの部分的なパーツ)を取り付け、皮膚の色とアプライアンスの色の境目を馴染ませるメイクを施していきます。背景には先生が担当されている「特殊映像美術2」の授業風景の映像が流れており、先生は授業の解説もしながら、特殊メイクのコツも話しながら、サルの顔を完成させていきます。
映像学科 スクリーミング・マッド・ジョージ DFA
ビューティーメイクとは正反対のメイクだと説明がありました。表面を均質化するのではなく、緑や青の色を混ぜながら肌のランダム性と透明感を点描で表現していく要領です。
映像学科 スクリーミング・マッド・ジョージ DFA
次には大学の特殊映像美術の授業で使われているパペットが登場です。パペットの種類には大きさや動かし方によって様々な機構のものがあり空気の圧力を使うものや油圧もの、モーターの種類もいろいろあるそうです。これはロッドパペットといわれ、パペットの各部位から伸びる竿を何人ものスタッフで操り動かす人形です。眼球の動きと瞬き、口の開閉はそれぞれ別のリモコンで操作します。

特殊美術の世界を学んでいくにはパペットを使うのが最も合理的だと先生はおっしゃっていました。造形、型取り、動きこの3つを経験することが特殊美術には必須だからです。そしてブルースクリーンの前で撮影し、映像を合成して作品に仕上げていくという工程です。今後はアニメーションのクラスとの連動も考えているのだとか。
個人的には美術学科の彫刻コースの方とコラボしたらもっと面白くなるんじゃないかと思いました。

最後は先生の最新作「BOY IN THE BOX」の予告編が上映され、今後スクリーミング・マッド・ジョージ先生が確立していきと考えられている「サイコフィクション」というジャンルのお話がありました。「サイコミステリー」でもなく、単なる「ホラー」でもない新しいジャンルです。精神分析学的な人間の内面だけを描いたシュール。コメディタッチでしたが、スゴイ映像でした。

SMGFX.JAPANスクリーミング・マッド・ジョージ オフィシャルウェブサイト
http://smgfx-jp.com/

DAIGEI FILM AWARD 2009 in HEP!
 200936日(金)→8日(日)
 会場: HEP HALL(大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 8F
 12時開演→20時終演(予定)
 上映スケジュールは公式HPからどうぞ!
 http://www.daigei-eizou.com/award-2009/dfa2009hep/
 ↑「上映作品ロケ地ガイドツアー」のコンテンツが追加されました。

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