※講演会の様子は写真撮影がNGだったため撮影しておりません。
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安藤忠雄先生の講演会レポートです。 講演会開始30分前の13時にはもう既に芸術劇場から延びる人の列が10号館の真ん中あたりまで達していました。その時点で並んでいる人は全員立ち見決定なのですが、さらに学生も先生も続々と集まってきました。9号館方面、21号館方面からまだまだ人が途絶える様子はなく、安藤忠雄先生のスゴサをこんな部分でも感じました。 会場の芸術劇場は、当初予定になかった4階席、5階のテラス部分まで利用しなければならないほどで、会場に入れなかった学生がロビーにあふれていました。 はじめて、生で安藤先生のお話を拝聴できました。大阪のイントネーションがやさしく、親しみやすかったのは私だけではないはずです。さりげない毒舌や温かみのある辛口で、小さな笑いを絶やさない、とてもためになる講演会でした。 |
「グラフィックデザイン、建築、など皆さんは自分の学んでいる分野に壁をつくっていないか?もっともっと境界を越えて活動していかなければならない」。越えていくことであらたな可能性を見出していかなければいけない。講演会はそんなメッセージからスタートしました。 たくさんのお話を聞きました。印象に残っているものいくつか紹介します。 ・ 大学には進学せず、京大に進んだ友人に頼んで4年間分の教科書を買った。友人たちが4年間で学ぶものを自分は1年で学んでやろうと思って、朝から朝まで建築を独学で勉強しまくった。読み終えたとき自分で「卒業した」と思った。 ・ 東京大学で教鞭をとることになった経緯。皆に反対されたが、「自分も一緒に勉強したい」そう思ったので引き受けることにした。 ・ 自分の事務所に一匹の犬が転がり込んできたときのこと。その犬を事務所で飼うことになったこと。その犬の名が「コルビジェ」だということ。本当は「丹下健三」と名付けたかったこと。 ・ 日本人は個性がないと言われるが、建物を建てるときだけ個性を主張したがる。乱立するビル群でおかしなことになっている大阪の都心部。もっと調和のとれた都市にしていかなければならないこと。大阪市へのビル群の屋上緑化計画の提案の話。 ・ サントリーミュージアムの計画時の話。サントリーの会長から設計を依頼されるまでのやり取り。サントリーミュージアムの前の海で本当はシャチを飼いたいと思っていること。 ・ 大阪市中央公会堂の内部空間に卵形のホールを挿入しようという提案の話。大阪市にはいやな顔をされたが、その後、提案を見た3つのクライアントからお仕事の依頼があったこと。 ・ ベネッセ・アートサイト直島の計画の話。たくさんのアーティストとのふれあいや活動の話。 ・ 東京都で進行中の計画「海の森」の話。 などなど、盛りだくさんで約1時間の講演はあっという間に過ぎていきました。 私が一番印象に残ったのが、アメリカの実業家・教育者の「サムエル・ウルマン」という「青春」という詩の紹介の部分でした。安藤先生は詩の気になった部分に水色のマーカーを引いておられました。 「青春とは人生のある時期ではなく心の持ち方を言う。(中略)年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いる。」 先生の「安藤忠雄らしさ」を支えるもの。理想を持ち、それに向かって前進し、常に何かにチャレンジし続けている姿勢そのものがエネルギーになっているんだと思いました。 講演のはじめに「最近はどこに行っても若い人に元気がない。今日はそんな元気のない若者に元気になってもらえるような話も用意して来ました」と仰っていました。もちろん元気になるようなたくさんのお話をしていただきましたが、きっとチャレンジし続けるご自身の姿を若者に見せつけて、元気にしてやろうとお考えだったのかなぁ、と。 講演をお聞きになった皆さん。どうです?触発されましたか? 2007関西文化の日 近つ飛鳥風土記の丘梅植樹基金 |