2011年8月2日

中田憲男個展   ギャラリーH.O.T

nakata003.jpg6月27日から7月9日まで中田憲男さん(美術学科02卒)の個展が行われました。中田さんの作品は、陰影の少ない海の表情と精密な一定の幅の波頭を表す白線の筆遣いが、日本画を想起させますが油画です。

 

nakata000.jpg静かな海そのものを描いた作品は、画面横に横切る無数の白線の集合するところと拡散するところに面積の違いを見ることができ、その状態から静かな海からリズミカルな運動を感じることができます。

 

nakata001.jpg一般的に静かな海というイメージから、その白線は緩やかな曲線で描くということになりそうですが、中田さんの線は直線に近く、その連続としてうねる海面を表現しています。短い直線の角度を微妙に変化させながら線の連なりとしていくことで、その海は硬質な質感が醸し出されています。静かな海と感じながらこの硬質感により私たちの情緒感が突き放なされ、海と同様に観者の感情が表面を漂うこととなりました。

 

展示構成として、決して大きくない作品ですが横に長い作品の水平線を視線として数点並べられていることで、ギャラリー全体に響く水平線のパノラマ的空間が出現していました。

 

nakata002.jpg報告 

加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室

 


2011年7月27日

タイテツヤ個展  Oギャラリーeyes

 タイテツヤさん(大阪芸術大学美術学科96卒)の個展が6月27日から7月2日まで行なわれました。

 

taitetuya002.jpg 結婚式を行なっている2人を中央に描き、彼らが持つ漏斗からは契約の徴の虹が現れ、その2人を祝うかのようにひまわりが彼らの方を向いて咲いています。しかし、その背景には大樹を挟み目隠しした天使と擬人化された犬と太陽が描かれています。ブランコの天使が目隠しをしている事は先が見えない不安の徴だととれます。そして擬人化された犬たちは涙を流しながらお祝いの歌を歌っているのでしょうか。この涙はうれし涙ではありませんし擬人化された太陽も不機嫌そうです。作品の色調は多様な色彩を使用しながらもにぶく抑えられ、画面からは憂鬱感が伝わってきます。

 
taitetuya003.jpg 今回の作品には、擬人化されたパンダと思われるもの(黒白の配置が一部現実とは異なりますが)と、道化師(鼻の頭が丸く赤い人物)と思われるイメージが登場しています。パンダの印象は可愛らしさでしょう。そのイメージを取り払うように憂鬱そうな表情や酷く悲しい様子が描かれています。

また、道化師に関しても2
作品に登場している事から、アーティストにとって、このキャラクター達は重要な役割があると感じられます。

 
taitetuya000.jpg イラストレーション的絵画表現が私たち観者にとって親しみやすさを感じ、作品に近づくことが出来ますが、しかしその度ごとにアーティストのコンセプトその深淵に導かれてしまいます。その深淵は快楽的な事象には深い悲しみが両義的な事として存在すると私に訴えかけてくるようでした。

 

taitetuya001.jpg

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室
 


2011年7月25日

2011年度キャラクター造形学科グループ展

2011年度キャラクター造形学科
グループ展が7月29日から開催!

guru-putenn000.jpg『プレゼンテーション』の授業の一環として、毎年行われているキャラクター造形学科
三、四回生によるグループ展が今年も7月29日から順次開催されます。
暑気を吹っ飛ばす学生たちの力作を是非見に来て下さい。

●『3時のおやつ展』7月29日(金)から8月3日(水)
スペースふうら 12時から18時30分(最終日17時まで)
大阪市東成区深江北3-4-11 06-6972-5121

●『+-Plus-展』8月2日(火)から7日(日)
チェリーズギャラリー 12時から20時(最終日18時)
大阪市西区土佐堀1-1-5敬明ビルB1 06-6445-7033

 

guru-putenn002.jpg●『ヴァンダリズム』『華美装飾』8月2日(火)から7日(日)※同時開催
ギガンティアルーム2F 12時から18時(最終日11時から14時)
大阪市中央区西心斎橋1-6-26 090-6968-4216

●『puresious』8月3日から8日(月)
光陽堂画廊 未定
大阪市天王寺区上本町7-3-2 06-6771-5053

●『MYTHOLOGY』8月9日(火)から14日(日)
Y.Art-Gallery 11時から19時(最終日17時)
大阪市北区堂山町15-17ACT3-1F 06-6311-5380

●『AYAKI魅せるファッション展』8月19日(金)から24日(水)
ギャラリーキットハウス 10時から19時(最終日17時)
大阪市住吉区長居東3-13-7 06-6693-0656

 

guru-putenn003.jpg●『都海の奥でびっくり魚展』8月23日(火)から26日(土)
Kクリエーション 10時から17時
岸和田市箕土路1-11-5 072-443-3110

●『Tie Time』8月25日(木)から30日(火)
スペースふうら 12時から18時30分(最終日17時まで)
大阪市東成区深江北3-4-11 06-6972-5121

●『CONNECT WORLD』8月26日(金)から31日(水)
ギャラリーキットハウス 10時から19時(最終日17時)
大阪市住吉区長居東3-13-7 06-6693-0656

●『侵☆パラ展-侵略☆パラダイス展』9月1日(木)から6日(火)
スペースふうら 12時から18時30分(最終日17時まで)
大阪市東成区深江北3-4-11 06-6972-5121

 

guru-putenn001.jpg●『石の卵』9月1日(木)-から6日(火)
ギャラリーうえまち 10時から18時(最終日16時30分)
大阪市天王寺区東高津5-16 06-6768-1400

●『(仮)フラワ-展』9月6日(火)から11日(日)
ギャラリーパライソ 12時から20時(最終日17時)
大阪市中央区西心斎橋2-10-27森ビル3F 
06-6213-8053

●『胎道巡り展』9月7日(水)から12日(月)
ギャラリーうえまち 10時から18時(最終日16時30分)
大阪市天王寺区東高津5-16 06-6768-1400

●『RGB展』9月9日(金)から14日(水)
ギャラリーキットハウス 10時から19時(最終日17時)

※写真は昨年のものです。
大阪市住吉区長居東3-13-7 06-6693-0656

投稿:林 日出夫先生(キャラクター造形学科)
 


2011年7月23日

SOURA-SAISAI Oギャラリーeyes

 西村みはるさん(美術学科専攻科修了98)前川奈緒美さん(美術学科専攻科修了9
8)の2人展が行なわれました。この展覧会の企画主旨をギャラリーHPより引用させ
て頂きます。
 
 SOURAとは「捜羅」という語をローマ字表記したもの。過去から現在において培われ  
 てきた感覚を通じて、画面上でそれぞれの価値を捜羅する(徹底的に探し求める)こと 
 を主題とし、特定の形象やイメージを描こうとするのではなく、描くという行為その
 ものから生成される空間により画面を構築している作家へ出品を依頼しました。サブ
 タイトルであるSAISAI(再々)は、本展がシリーズ三回目の開催であるという事と、 
 2005年に開催された二回目の展覧会での出品者が再び本展に参加することから、そ
 の後の作品の展開と、これまで継続されてきた画面上での行為から、どのようにアク
 チュアルな問題と向き合っているのかを問います。

 
ogyarari004.jpgogyarari003.jpg 西村さんの作品は強烈な単色の色彩により構成されており、筆の痕跡とは異なる様子
で絵画が作られています。瞬間的イメージを捉えようとする素早い動きを感ずるととも
に絵画中央部分を余白にするなど、空間の作り方に日本の間の美意識が感じ取れます。

ogyarari000.jpgogyarari001.jpg 前川さんの作品は画面にぎこちなく筆を引きずるように線を残し、その後上下左右からその痕跡を消すように絵具を重ね、またその上から筆の痕跡を描くという重層的表面を作っています。表面は透過し複数の層を通して筆致が連動し合うような画面を制作しています。筆を支配する事から脱し、支配されない身体とともに生まれる絵画のようでした。

 

ogyarari002.jpg報告 加藤隆明 教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室
 
 


2011年7月20日

DAYLIGHT 中西學+菅原一剛 二人展 番画廊

banngarou 004.jpg 中西学さん(大阪芸術大学美術学科82卒)と菅原一剛さん(大阪芸術大学写真学科85卒)のブループ展が6月20日から25日まで行なわれました。
 今回の趣旨は媒体が異なる2人による共通のテーマDAYLIGHT(日光、昼光)での発表です。会場は中西さんの平面作品と菅原さんの写真作品で構成してありました。

 
banngarou 001.jpgbanngarou 000.jpg 中西さんの作品はマーブリング技法で制作された平面を再構成し、その上に透明な樹脂をひき、作品と樹脂の間に光に反応する物質が鏤めてあります。渦巻くイメージは銀河を彷彿とさせます。ビックバンから膨張する宇宙が次に縮小を始め、無限の銀河が一カ所に集まり出すような雰囲気で、物質同士がひしめき合いノイズが空間に充満しているようでした。
 

banngarou 002.jpgbanngarou 003.jpg 菅原さん写真作品は乾湿という古典技法により制作されています。森の中に差し込む光が捕らえられているのでしょうが、その光は画面全体に淡く映し出されています。風景全体が白昼夢のように現実感が失っています。近年PC等により作品を変容させるものが一般化してきています。現代において古典技法による写真制作の試みとは、何を意味していくのでしょうか。
 
 中西さんの作品には、エネルギッシュな生命力に溢れる光を感じる事ができ、菅原さんの光は写真において現実の光を捕らえつつも、作品は非現実の世界に促されるような印象を持ちました。

 写真や絵画では「光」というのは普遍的テーマの一つだと思います。現代の「光」はどのように表現されるのでしょうか。その「光」に何を見いだせば良いのでしょうか。今回の展覧会のテーマから、観者もアーティストも多くの事を考える事ができると思います。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室