写真学科3回生展が上野雛子、大橋輝葉、加藤大、喜田聡、小酒井自由、高田鴻平、東内万里、平本美帆の8名により行われた。
私、あなた、家族、社会など10代最後の不安感と気分をテーマにしているのは上野と大橋と思える。2人とも身近な日常を切り取り組写真で表現している。大橋の作品は祖母だろうか中庭での日常の風景をカーテン越しに撮影している。その風景からたどたどしい家族との距離を感じさせる。上野は、モチーフとの距離が淡々とし一定の距離を感じ、私と外部に透明で厚みのある壁を感じさせる。
垂直と水平に構築された組写真作品、そのタイトルは「自由人」とある。小酒井自由と名づけられた彼の名前、そして自身の探求ともいえる作品である。テトリス的な展示方法に興味が湧く。
加藤大は1回生からアスリート達の撮影を続けてきた。今回の作品はアスリートと各競技場(場所の特殊性)との関係を写し出す美しく興味深い作品であった。
東内万里の作品は身近な風景をブレの技法により非日常的な風景を作っている。色彩の鮮やかさとブレの表情により抽象世界を垣間見せてくれる。
喜田聡の作品はモノクロームで撮影された風景で色彩の喪失によりどこか幻想的で非現実的世界を作り出す。
平本美帆の作品は「Good Bye Teens」のタイトル通り年代による不安感が垣間見える。両手で隠された顔には金網デザインの模様。捕らわれと先が見えない不安感が表れている。
高田鴻平の作品は海外で撮影された作品だか、写された人たちの多くはカメラを直視し微笑んでいる。撮影者は旅行者であり他者である。その関係の薄い双方の視線がレンズを通し平等に結びつく。そこには写される人たちにより見えないはずの撮影者の存在が明確になると感じた。
報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室