2016年6月2日

所蔵品展 「音と映像メディアの変遷―テクノロジーとアートの接点・オーディオ資料室所蔵品大公開―」開催中!!

現在、大阪芸術大学芸術情報センター1階展示ホールにて、所蔵品展 「音と映像メディアの変遷―テクノロジーとアートの接点・オーディオ資料室所蔵品大公開―」を開催しています!

ポスターデザイン:小林真由美(デザイン学科4年)さん

音と映像メディアの変遷ポスター(B4)

毎年1回、蓄音機をはじめ映像機器も含めた所蔵品展を行っている大阪芸術大学博物館ですが、今回の展示は15回目の開催となります。
テクノロジーの進歩とともに発達したオーディオ・ヴィジュアルメディアの変遷をたどることで、人々の生活の中に新たなメディアとして浸透していった全貌を理解していただける展示内容です!

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まずは、蓄音機の変遷をたどってみましょう♪
蓄音機の開発に貢献した人物には、主に2人の発明家の名前が挙げられます。

1人は、トーマス・アルバ・エジソンで、1877年に円筒式蓄音機フォノグラフを発明して、声の録音と再生に成功しました。
エジソンは、円筒に錫箔(すずはく…メッキなどに使われる金属を薄く伸ばしたもの)を巻き付けたものを手で回転させ、録音針を押し当てて錫箔にできる溝の深さの変化で音を記録しました。
そして、この溝を再び針でたどって、音を再生させる仕組みを作ったそうです。

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そしてもう1人は、エミール・ベルリナー
ベルリナーは、1887年に円盤レコードを使う蓄音機グラモフォンを発明した人物です。
左右に揺れる溝を記録する方式で、亜鉛盤に薄く塗った蝋を録音針で削って、酸性の液に浸し盤を腐食させて録音溝を作る方法で、音を記録しました。

エジソンはビジネス用の口述記録や電話の通話記録など、実用的な録音再生機として、録音状況を変えずに最初から最後まで同じ音質で録音できる円筒を選んで開発を進めました。
一方、ベルリナーは音楽を再生して楽しむ娯楽のための再生機として、取り扱いが楽で大量生産しやすい円盤を選びました。
この違いが、レコードの形として現れたのだそうです。

所蔵品展では、時代に沿って形が変わっていく蓄音機を見ることができます!!

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こちらは、1906~1908年に製造されていた「ビクターⅡタイプM」という蓄音機。
花柄のホーンが華やかでとても目を引きますね。

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左の蓄音機は、1910年頃、日本で最初に製造された「ユーホン」です。
一見、蓋のないテーブルに見えますが、トーンアームとクランクをホーンの開口部に、ターンテーブルをキャビネットの底面に収納するポータブル型として作られているそうです。

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開発初期の蓄音機は、機械部分がむき出しになっているものが多いのですが、次第に機械を仕舞える棚のような形に変化していきます。
これは、家庭の中で蓄音機が普及したことで、他の家具と色合いや質感を似せ、部屋の中に自然に設置できるように設計されたからだそうです。

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蓄音機に続く娯楽として登場したのが、ラジオ
世界で最初の公式なラジオ放送と言われているのは、1920年のアメリカ大統領選挙の速報放送だそうです。
日本では、1925年に試験放送を始め、翌年1926年に国内のラジオ放送が本格的に始まりました。

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こちらは、1924年製の「モデル10C」というラジオ!
一枚板の上に部品が取り付けられた”ブレッド・ボード・ラジオ”と呼ばれた形式のラジオらしいです。
なんだかすごい装置ですよね!!

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ラジオの普及に伴って、ラジオを内蔵した蓄音機が販売されたり、蓄音機をラジオのスピーカーとして使えるようなアタッチメントが発売されるなど、娯楽の手段も広がっていきました!

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続いて、テレビの登場です!
日本で最初にテレビの製造を行ったのはシャープで、1951年に試作品を完成させました。
そして、写真の「TV7-17T」という機種は、1953年のテレビ放送開始と同時に販売されたもの。
12、14、17インチのサイズ展開で、このテレビは当時の中では最も大きい白黒17インチブラウン管テレビです!
私たちが当たり前のように視聴しているテレビですが、まだ放送開始から60年余りしか経っていないんですね!

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展示されているのは、ホームエンターテインメント機器だけではありません。
奥には、プロフェッショナル放送機器の所蔵品が展示されていました!!

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こちらは、1957年製の「ST-14TI」という機種で、6.3mm幅のテープを使う放送業務用の真空管式フルトラック・モノラルテープレコーダー。
本学6号館建設の際、NHKで使われていたものを、音楽学科の電子音楽スタジオに移設した機材だそうです。
当時の実習で、学生たちも触れていたらしいですよ!

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ピンクで可愛いこのデッキは、1969年製「DN-336R-T」で、1970年に開催された大阪万国博覧会のおまつり広場で活躍した巨大ロボットの中に搭載されていた現物なんですって!
1インチ幅のテープを使った6チャンネルマルチトラックテープレコーダーです。
派手な色は、イベントに使われていたからなんですね。

他にも、ラジオ局で使われていたテープレコーダーや、テレビ局で使われていたビデオカメラ、マイクなど…今では貴重になってしまった機器たちが展示されていました。
全てを解説することができませんので、展示ホールで直接ご覧くださいね。

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さらに、「中川一夫ライカコレクション」も展示されています!
ライカとは、ドイツのエルンスト・ライツ社が製造するカメラのこと。
中川さんはライカ研究者で、生涯かけてライカとその関連資料を収集され、このコレクションは2006年にご遺族より本学に寄贈されました。

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カメラ本体やレンズのみならず、アタッチメントやアクセサリー、店頭用広告ボードや、写真を引き伸ばして現像するための引伸機なども展示されています。

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みなさん、ステレオ写真ってご存知ですか?
平面(2次元)の写真で立体(3次元)として見える写真のことで、19世紀に写真が実用化された頃から存在していて、20世紀初め頃には世界各地の風景を撮影したステレオ写真が出版されていました。
現在では、事故現場の状況を記録するために活用されています。

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人が物を見る時に、右眼と左眼で見える像にズレがあり、そのズレを脳が認識して立体として見ています。
ステレオ写真はその原理を応用して、少しずれた位置で撮影した2枚の写真で構成されています。
専用のカメラか、もしくは2台のカメラを取り付けて使うアタッチメント、1台のカメラで撮影するためのレンズが必要なのですが、ライカにもステレオ写真撮影用のアタッチメントがあります。

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ステレオ写真撮影用交換レンズ「ステマー」で撮影したこちらの写真は、専用のステレオビューワーで見ると立体画像として浮かび上がるのだそうです!
さらに、ステレオビューワーを使わなくても「裸眼立体視」という方法を使えば、立体画像として見ることができるのですが、みなさんはできるでしょうか?
訓練すればできるようになるみたいなので、ぜひ展示ホールで挑戦してみてくださいね!!

裸眼立体視
平行法
右側の画像を右眼、左側の画像を左眼だけで見て、焦点を合わせないように画像を見ているとぼやけてきますが、そのままぼやけた状態を続けると中央に立体画像が浮かび上がります。
交差法
右側の画像を左眼、左側の画像を右眼だけで見て、より眼の状態で画像までの距離の中間で視点が交差するようにすると、横に並んだ3枚の画像が見え、中央の画像が立体に見えます。

所蔵品展の内容を少しでも楽しんでいただけたでしょうか?
私は仕事を忘れて、展示されている所蔵品を見るのに没頭してしまいました。
みなさんもぜひ、実際に見てみてくださいね!!

投稿:島田(企画広報部事務室)