2016年1月6日

橋川昇平(F08) 奈良・町家の芸術祭はならぁと 10/24-11/3

今回のはならぁととは「歴史と未来、まちと芸術が交差する」をテーマに5つの開催エリアで行われた地域アートイベントで、橋川氏は古民家形式を残した今井まちや館で作品を発表した。

「虚構器官」と題された作品は「テクノロジーによって変化する人の在り方と関係」をテーマとしている。展示は江戸時代中頃の雰囲気を残し、入口から裏庭へと続く土間と天井に高く交差する梁が魅力的な空間を作っている場所でおこなわれた。

―この作品ではヒトの生理的反応と境界をテーマとし、指先から測定した脈拍を映像に変換しています。映像は二つの画面に分かれて、一つはセンサーの一部として機能しており、センサーの正面にゆっくり変化する色面を映しています。そしてもう一つはコンピュータによる計算結果を出力する画面です。センサーが脈を検知するとセンサー正面の映像の色が出力側の映像に反映されます。作品は脈の間隔も計測しており、鑑賞者がセンサーで脈を取っている間、もっとも脈の長かったときの色が映像の中に残り続けます。脈が長い状態とはその人がリラックスしている状態です。この作品は鑑賞者の生理的反応から鑑賞者にとって心地よい色の映像を自動で生成していくものです。 出力側の映像は見た目には三角形の集合となっていますが、内部では190個の点の位置を計算しています。点の位置は重力を模したアルゴリズムによって制御され予測は困難です。そして点が近づくことによって点の間に線や三角形が形作られ、鑑賞者は計算結果であるその図形だけを見ます。この点の位置は今井町の地図から町並みを解析して作られており、この映像は今井町でのみ成立します。また、スクリーンは建物の中央を区切る境界として設置しており、境界の向こうから鑑賞者に向かって脈動と繋がり続ける形を投影します。―
橋川氏による作品解説文の一部引用

橋川氏は二コラ・ブリオーの「関係性の美学」の理論に着目しながら町興しアートに対し新たな軸を見つけようとしている。私が読み解くに橋川氏は美術理論や社会的共同体などで集う町興しアートに対し「生きる身体の反応と場の関係」を提示しているように思える。また、アートイベントに対し好意的人々と同時に無関心や敵対する感情すら作品に関係させようとしているように思えた。

機材
・mac mini
・脈拍センサー……市販のキット(A.P.shield)改造
・arduino uno……マイクロコンピューター (センサーからのデータをmac miniに転送)
・triplehead2go……映像分配器
・プロジェクター3台
・スピーカー
・各種ケーブル制作環境
・openFrameworks・Arduino IDE

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室