2018年1月18日

日常のドラマを撮る~「ドキュメント72時間」の制作現場~

今日は、先月放送学科の学生を対象に行われた、大阪芸術大学とNHK大阪放送局 共同開催の「NHK大学セミナー」の模様をご紹介します!!

お越しいただいたのは、NHKの番組「ドキュメント72時間」のディレクターを務められている森あかりさん。
森さんは、2004年にNHKに入局され、「クローズアップ現代」や「おやすみ日本眠いいね!」「ジドリ」といった番組の企画制作を行って来られました。
そして、2013年に「ドキュメント72時間」シリーズ立ち上げに参加。
現在はデスクとして、毎週の放送に関わられています!!


今回のセミナーでは、「ドキュメント72時間」について紹介され、ドキュメンタリーの制作秘話や心構えなどが、学生たちに伝えられました。


この「ドキュメント72時間」という番組は、人々が行き交う街角にカメラを据え、3日間の偶然の出会いを記録するというもの。
有名人ではなく、ごく普通の人々の姿を映し、その人生にあるドラマや社会のリアルを、25分という番組の中で伝えています。

森さんは番組を制作する中で、「自分は先入観を持って取材をしている」ということを痛感されたそう。
インタビューをする相手を選ぶ時、最初は「あの人は怖そうだから、やめておこう」と考えられることもあったと話されました。
しかし、実際に話を聞いてみると、想像がひっくり返ることも多々あって、想定とは違う意外な出口にたどり着くことがあるのだそうです。
私たちが期待・想像したものと、取材したものがズレていくことこそ、リアル」と、森さん。
森さんが現場で発見したことを、視聴者が追体験できるような編集を心がけているそうです!

ドキュメンタリーは本来、「実在の出来事を、虚飾を交えることなく記録したもの」を指します。
でも、どうしてもつくり手の人間性というのが出てしまうもの。
番組が伝えたいものが取材前から決まっていて、意図して撮影しているのでは…と、視聴者に思われることも少なくありません。
そんなドキュメンタリー番組を、どう企画し、取材、編集していくのか。どうリアルを伝えるのか。
とても考えさせられるセミナーとなりました!

森さん、素敵なお話をありがとうございました。

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2018年1月16日

「写真表現基礎実習」で津田直先生 特別講義

今日のブログは、写真学科客員教授 津田直先生の授業をご紹介します!!


津田先生は写真学科の卒業生でもいらっしゃり、現在は写真家としてご活躍。
2001年よりランドスケープの写真作品を発表し、自然を捉える視点のユニークさと写真と時間の関係という古くて新しいテーマへの真摯な取り組みで、21世紀の新たな風景表現の潮流を切り開く新進の写真作家として注目されています!!


授業が始まってまず、「僕も同じ教室で授業を受けていたので、この教室に入ると、入学した時のことを思い出す」と話された津田先生。
「学生1人ひとりの吸収できる速度が違うから、無理をしないで、自分のペースを守ることを大切にしてほしい。写真学科だからって、写真のことをやらなければいけないということはない。そういうことをまず、学生のみんなに話したかった」と続けられました。


そして、津田先生が手がけられた写真作品について紹介されました。
先生は学生の頃から、ある”癖”があったそうなのです。
その癖とは、2枚組にして写真を撮ること。
2枚の写真を並べると、コマとコマが繋がったような1つの世界観が表現されます。
しかし、実際にはずっと離れた土地で撮っている場合もあるのだそう。
それなのに、まるで2つが繋がった場所に感じられるのは、とても不思議で魅了されます!

 

写真は、時間を切り取って生まれるもの。
でも、先生は「写真の中でも時間は流れていてほしい」と話されます。
そういった先生の思いが作品に表れているのですね。

 

津田先生のお話の中で、私が特に印象的だったのは「誰かの話を聞かないのはもったいない」ということ。
自分の中にある価値観だけでは、どうしても限界があるので、授業を聞かないのは価値観を深める機会を自ら失っているというお話でした。
それと同時に、「僕の話はあくまで僕の考えだから、それぞれに合ったところだけを吸収してくれたらいい」ともおっしゃっていました。
過去に同じ教室で授業を受けていた卒業生としてのアドバイスとも受け取れるお話は、学生たちの心に強く響いたことと思います!

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2018年1月9日

きゅんくん特別講義「クリエイターひとり立ち」

みなさん、突然ですが「きゅんくん」をご存知ですか?
きゅんくんは、ロボティクス・ファッション・クリエイター兼メカ・エンジニアで、”ロボット+ファッション“をテーマにした作品を発表されており、今大注目の新鋭クリエイターなんです!

昨年は、そんなきゅんくんが大阪芸術大学にお越しになり、アートサイエンス学科の学生たちに向けた特別講義を行っていただきました!!


きゅんくんは現在23歳で、学生たちとほぼ同世代!
子どもの頃から「鉄腕アトム」などのロボットが好きで、中学生の頃に電子工作を始めたそうです。
(ちなみに「きゅんくん」は中学時代に付いたあだ名らしいです!)
高校生の時には被服部に所属し、すでにこの時からテクノロジーを使った服をつくっていたのだとか。


そして、2014年に「PARADISE LOST」というロボット服を発表しました。
着用すると、ロボットアームが2本背中から生えたようなデザインの作品です。
しかし、ハーネスが重さに耐えられずに身体からズレたり、強度もなくて、反省点も多かったと話されました。

続いて同年に「THE 2nd PROCESS to UNION」を発表。
ここでは前回の失敗を改善し、「まだ腕を2本も制御できない」と考えて腕は1本になったそう。

2015年には、きゅんくんの代表作とも言える「METCALF(メカフ)」を制作されました!
“メカ+服=メカフ”なのだそうです!
この時には、腕も2本制御できるようになったそうです。


きゅんくんは、
「人型ロボットだと人間のような振る舞いを期待させてしまうけれど、今のロボット技術はまだその域ではない。
だから、そういう期待をさせない姿のロボットをつくっています。
また、機械を身につけることが自然な世の中になればと思い、あえてメカ的なロボットをファッションにしてアプローチしようと思いました。」
と話されました。

さらに講義の後半には、学生たちが実際にメカフを着用し、操作もさせてもらえることに!

 

想像以上に自然な着用感に、感動する学生たち!!
「意外と軽いです!」と口にし、きゅんくんの作品に魅了されている様子でした!!

 

「納得がいかなくても、まずは作品を発表することが大事」だと学生たちに伝えられたきゅんくん。
彼女のターニングポイントも、大学2年生の時に、アメリカのテキサス州で行われたイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」で作品を発表したことだったそうです。

いつもの授業では、歳の離れた大先輩から話を聞くことが多い学生たちですが、同世代の方からの話は親近感を持ちやすく、吸収できることも多かったのではないかと思います!
きゅんくん、ありがとうございました!!

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年12月13日

映画=旅行!? 山賀博之先生 特別講義

今日は、先月行われた山賀博之先生による特別講義の模様をご紹介します!!

山賀先生は、映像計画学科(現:映像学科)ご出身で、現在は映像学科客員教授を務められています!
また株式会社ガイナックス代表取締役社長でもいらっしゃり、「新世紀エヴァンゲリオン」のプロデューサーをはじめ、「超時空要塞マクロス」演出助手、「まほろまてぃっく」「アベノ橋魔法☆商店街」では監督や脚本を担当されるなど、さまざまなアニメーション作品を手がけられています。
ラジオ「大阪芸大スカイキャンパス」のゲストとしても、ブログでご紹介しましたよね♪


そんな先生に、授業では映画やアニメーションの世界設計についてお話をいただきました!

授業の冒頭で、「映画というのは、海外旅行に行くようなもの」だと語られた山賀先生。
その旅行に一番重要なのが、”背景=バックグラウンド“なのだそうです。


例えば、素敵なキャラクターが登場しても、背景が真っ白なアニメだと内容が伝わってきませんよね。
ストーリーや役者も大切ではあるけれど、山賀先生にとっては「映画の中で、背景が70%を占めている」のだそうです。
バックグラウンドというのは、その名の通り映画の中で出てくる背景画を指すのはもちろんですが、持ち物や服装、車など、映像に描かれる全てのデザイン。
それらを見て、私たちはその作品のバックグラウンドを感じ取り、映画の世界を旅行することができるのだと、山賀先生は話されました。


「映画の企画は、その旅行にいけなかった友だちに話をするのと同じような感覚。
そこで喧嘩をしたとか恋に落ちたとか、そういうストーリーがあったとしても、そんな話はもっと後にするはずです。
まずはどんな建造物があったとか、美味しいものを食べたとか、そういうことから話すと思います。
映画をつくる時も、まずはそういうバックグラウンドを固めることが大切。」
このお話には、大変頷かされました!!

この他にも、山賀先生が考えられる、映画やアニメーションづくりについて、たっぷり90分お話をしていただきました!!
映像やスライドなどは使われずに授業をされていましたが、話されることがどれも奥が深く、話を聞いているだけで映像が頭の中に浮かび上がって、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました!!

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年11月23日

チームラボ 猪子寿之先生 授業!

アートサイエンス学科には、「スーパークリエイター特論」という授業があります。
この授業では、アートサイエンス分野において国内および海外で活躍しているスーパークリエイターを招聘して、その芸術活動、作品、構想に関する特別講義をオムニバス形式の授業として展開しています。
これまでにも、クリエイティブディレクターの原野守弘先生や、アルスエレクトロニカ アーティスティック・ディレクターのゲルフリート・ストッカー先生などに授業を担当していただきました!
 

10月27日(金)には、アートサイエンス学科客員教授 チームラボ代表の猪子寿之先生がお越しになりました!!
チームラボについてはこのブログでも何度かご紹介させていただく機会がありましたが、デジタルアートを中心に幅広い作品を手がけている“ウルトラテクノロジスト集団”です。

授業では、猪子先生がこれまでに手がけられた作品が紹介され、ものづくりに対する考え方を教えていただきました。
チームラボの作品は、空間そのものをアートにしてしまったり、身体ごとアートの世界に没入できるような表現がたくさんあります。
これには、猪子先生の「人と作品の境界線をなくしたい」という想いが込められています。

私が特に印象的だったのは、「歴史で名が残るのはサイエンティストとアーティストがほとんどで、今、私たちが見ている世界は、数々の芸術作品の積み重ねでできている」という話です。

例えとして紹介されたのが、雨の絵です。
みなさんは、雨を描いてと言われたら、どう表現しますか?
多くの人はこのように線で雨を描くのではないでしょうか。

でも、人間の目で雨の形を捉えることは実はとても難しいです。
ですから昔の画家は、傘を差している人物や、水溜りができて濡れた地面を用いることで、雨が降っていることを表していたのだそうです。
そして世界で初めて雨を線で描いたのは、浮世絵師の歌川広重だと言われています。
彼は、それまで誰も可視化できなかった”雨が線のように降っている“ということに気づいて、新しい視点で雨を描写したのです。

つまり、私たちが雨を線で描くのは、実際の雨を見て認識したのではなく、線で描かれた雨の絵を見てきたことで「雨は線で表現するものだ」という価値観を持ったからだと考えられるのです。
雨だけではなく、今の私たちが持っている美の概念の多くは、数々のアーティストが提示してきた価値観なのかも知れませんね。

 

猪子先生がめざされるのは、そういった「みんなの価値観を変える」表現だそうです!
今回の猪子先生の授業も、多くの学生に新しい価値観をもたらしたのではないかと思います。

猪子先生、素敵なお話をありがとうございました!!

 

投稿:島田(企画広報部事務室)