2014年5月13日

松本良太展 (美術専門学校美術工芸学科07年度卒)O Gallery eyes 3/31-4/5

人とプロダクトデザインの形態を合成して描かれる作品は、ユーモラスではあるが同時に不気味さも伝わってくる。
人間の目鼻、表情もなくのっぺりしている。頭部髪は硬質な鈍い光を感じさせる表現を行うことで、生身の人間とは異なる質感を鑑賞者に伝える。

 

この奇妙なイメージの基礎となっているのは、私たちの身の回りにある製品、たとえばトースターや冷蔵庫、掃除機などのプロダクトデザインである。
そのデザインの特徴を人体と合成していることにより、無機質で人柄が感じられないプロダクト人間が生まれる。

過去に、ダダイズムや未来派の芸術家が、機械への羨望から生まれた作品があるが、松本氏の作品はそれとはかなり異なる。
松本氏の作品はユーモラスでありながら虚無感が漂っている。

 

作品は水彩の色鉛筆を使用し、薄い線を重ねて作られている。
そのため表面には濃淡の差が生まれ作家の呼吸が感じられる。

奇妙な形ビニールに入れたものを墓石の形に展示してある。

 

ビニールの中には人型、あるいは魂のイメージと思われるものが見て取れる。
それを組み合わせ墓碑の形にしてある。
作者が日々陶器の研修場に通うたびに経験する墓地の風景、それが作品として形作られている。
ビニールの冷たさが死の不安感を感じさせる。

報告 教養課程講師加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室