2011年9月17日

くじら展2    ART AGITO GALLERY

kujira2000.jpg この展覧会は、アーティストの絵画と子どもの絵が同じ場所に展示してあります。自身の経験で考えるに、子供の頃の絵は、自身との対話や他との関係の表層化のため、そして手の運動としてあり、他の人の視線は気にも留めなかったように思います。

kujira2001.jpgしかし、小学校の教育課程において、「え」から「絵画」の習得としてそれが社会性を帯びてきた時、多くの子供達は描くことは学習するものとし、そしてめんどくさいものと捉え興味を失うことになるようです。

kujira2002.jpgアーティストの絵画は、芸術の歴史で構築された約束事など社会性を作品に持ち込み継続しながら、その社会性の継続のどれかをひっくり返し、同時代の新たな絵画の魅力を生み出そうとしています。そのようなことにおいて、アーティストの絵画と子供の絵を同一することはできません。

kujira2003.jpg くじら展の展示方法では何が見えてくるかを考えてみました。子供の絵は一見奔放に見えますが、発達過程に見られる要素とその子供の資質が混在し制作されています。出品されているアーティストの作品も、対象を詳細に描写しているような作品ではなく、 現代絵画、特に子供の「え」からインスピレーションを受け、構築していった作品や抽象形態の作品に思えます。

kujira2004.jpg一見、子供でも描けるようなアーティストの作品と実際の子供の絵の対峙により、同じ絵と云われるものでも大きく異なるところと近似しているところがよく見え、また子供がアーティストの作品を観賞できる良い機会でもあり、興味深い展覧会であったと思います。

報告 加藤隆明 教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室