亜鶴(美専F10)、岡本竜也(美専F10)、小口智史(美専F10)の3人展である。作品は油画、アクリルガッシュ、シルクスクリーン等でテーマや技法に共通性があるとは思えないがそれぞれの作品は魅力的であった。
亜鶴氏は人の顔を正面からとらえた力強い絵画である。人の顔は背景に溶け込み、強い筆致で存在のありようを問う作品となっている。私が興味を抱いたのは壁面に4点並べられた作品である。暗い闇から現れ消える顔、しかも各部位が溶けたようなイメージ、そこに不気味ながら存在の畏怖を感じた。
小口智史氏の版画は、日用品に異なるイメージを唐突に組合せたシュールでユーモラスな作品となっている。線描と着彩関係が巧妙な仕掛けとなり背景とイメージの境界がずれるような制作をしている。作品がユーモラスだけに終らないのはそのような画面構成をしているからだろう。
岡本竜也氏の作品は、流通しているイメージを背景に拳銃を持つ人物あるいは銃を描かれている。岡本氏の「坦々とするどく、自分の生き方をこびりつかせるように歩いていく男に憧れます」この言葉でこの人物が何であるかが理解できる。この作品は蛍とその光が前景にあり後方に拳銃を持つ人物がいる。双方は無関係にありその奇妙な空間構成により作品を読み解く面白さに出合った。
報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室