2015年8月18日

松井浩一展 カルナー(F82)ギャラリー白 5/25-30

カルナーと題された松井浩一の個展である。ふわふわとした空気感と淡く広がる光が漂い鑑賞者は落ち着いた気分になる。空間に提示された作品を見てみる。白く塗られた木の枝と、同質の触感が感じられる膜のようなものがその枝の間に張り付いている。枝は枇杷の枝や桜の枝を使用し、枝と枝の間に和紙の膜が張られている。

枇杷や桜の木の枝でつくられた造形物は空中の漂う「何か」を掬い取るようにある。また場所により何層にも重なる膜は「何か」を包み込むようにやさしくある。造形物は全体に白々と光っており腕のように伸びた枝は艶めかしくもあった。

松井氏が名づけたカルナーというタイトルは慈愛と訳されもする。まるで仏の手が伸び掌を広げたような造形物に怖さとやさしさを感じる。作品は仏の縵網相(まんもうそう)のように見えてきた。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室