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池田高弘(美術学科07卒)展が2月12日から19日まで番画廊で行なわれました。 会場に入り作品を見渡したとたん、私の中で困惑と親和性が同時におこりました。壁にはシルクスクリーンによる版画作品、陶器作品、抽象絵画、そして美術作品展示とは異なる,レストランに設置してある食品見本展示台の様なものに、皿やチョコレートイメージの陶器作品が展示されていました。 私にはこれらの絵画、版画、陶器作品など個別のメディウムと全体の展示との関係を理解することは困難な作業でした。しかしそのような困惑した中にも、親しみやすい安堵する感覚もありました。
作家のコメントでは、版画や絵画、陶器に着色された絵具顔料にはココアパウダーを混入させているのだそうです。私の感じた親和性の一つは、食材パウダーという身近にありしかも食べ物の色という日常的経験が、そのような感覚になったのだと思いました。
池田さんは、食材パウダーを絵具の原材料と多様な媒体を横断し制作しておられるようでした。
抽象絵画は、私が経験している抽象絵画の表面感覚ではなく、陶器のようなつるつるとしたセラミック感覚で、ドロッピングされた絵具の流れの端が見せる盛り上がったところは、緩やかな弧をえがき絵具とは異なるテクスチャーを見せていました。 もう一つの親和性は、抽象画と思われるものは、具体的スイーツの一部をクローズアップし絵画に再構成したものだと分かりました。 今回の困惑した要素に、抽象画と具象物が同時に展示してある事でおこったものですが、私が抽象として見ていた作品は、具体的もののクローズアップによる抽象的イメージである事が分かり、私の中で一連の作品は一つの水平面に位置する事が出来ました。 池田さんは日頃見慣れたスイーツが作り出す表面のイメージを絵画や版画、陶器のフレームに再構成しているアーティストなのです。 報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
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