2月20日から3月3日まで、陶芸作品の展覧会が行なわれました。
出品者には、元川知子さん(工芸学科06卒)、山本朱さん(短大部陶芸コース02卒)、増田敏也さん、高間智子さん、金理有さん、加地舞さん、一色智登世さんがおられました。
「現代陶芸」の位置 大長智広(愛知県陶磁資料館学芸員)
かつてアドルノ(ドイツ:1903-1969)は遺稿となった『美の理論』(1970)において次のように述べた。
「アートに関することで自明なことは、もはや何一つないことが自明になった。
アートのうちにおいても、アートと全体の関係においても、もはや何一つ自明でないばかりか、アートの生存権すら自明でないことが」。
この古典的な言葉は、従来の表現媒体の形式的革新と歴史的意義の崩壊を指摘し、論理的根拠を失った美術・芸術においては、「アート」という冠によって何でもアートになるという状況を描出したものであった。
現在のジャンルの溶解は、こうした状況をより複雑化したものといえる。
とはいえ、美術大学それ自体がある種の制度の上に存在するように、美術や芸術自体もまた制度を通じて形成されるとするならば、一見自由に見える表現行為自体が制度内に成立することになる。
つまり表現行為が、ある方面からは拡張したように見えても、角度を変えると、ある種の様式や方法論に縮小・還元される危険も伴うということである。
その意味で、やきものを表現手段とするということは、作家個々がなぜものを作るのかという自己の所在とトラディショナル・アートとしての陶芸の所在を、原点に即してその時々の時代性を伴いつつ明確にしていくことのように思われる。 展覧会テクストより一部抜粋
魅力的なテクスト内容でしたので、掲載させていただきました。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室