2009年11月26日

電子音楽音楽フェスティバルAudio Art Circus2009

    

 音楽学科からブログ投稿を頂きました!
 
 多数のスピーカで空間を多層化し、ライブで音響空間を表現する「アクースモニウム」と呼ばれる装置。フランスで産声をあげたその古典的かつ斬新なシステムは、作曲家が創り上げた“想像空間”と、そこから聴取者までの“物理空間”を繋ぐ、理想的な聴取環境の一つとして発展し続けています。

芸術情報センターに実験ドームがあるって知ってました? また、アジア最大の規模を誇る大阪芸術大学のアクースモニウムは、40年の歴史を経て収集された新旧の機器と、創意工夫に満ちた器用仕事によるハイブリッド・サウンドを特徴とし、国内外から注目を集めています。

 このたび5回目を迎えるAudio Art Circus 2009には、学生クリエータたちの新しい感性から高等教育に携わる匠らによる威風堂々とした作品まで、およそ3世代に渡る幅広い世代と、国内8大学/大学院、海外より仏・伊・韓の三カ国の高等教育機関が集結しました。

グローカリティな電子音響芸術の祭典です!!特別講演や演奏レッスンなども予定されています。 さらに作曲家の視点から映像表現を試みる中村滋延氏の特別講義と、檜垣智也氏によるアクースモニウムの演奏レッスンなどを加え、多彩なプログラムをご用意しております。
 また国内で初めて、性格の異なる大小二つのアクースモニウムを同一会場に設置し、作品毎に異なった空間体験ができる点も見どころです。
 大阪芸術大学から発信するグローカリティな電子音響芸術の祭典に是非ご来場ください。

電子音響音楽…電子テクノロジーを用いた音楽(ミュジーク・コンクレート/アクースマティック、電子音楽、映像付電子音響作品、コンピュータ音楽など)

■日時:2009年11月26日(木)、11月27日(金)、11月28日(土) 入場無料
■場所:大阪芸術大学 芸術情報センター地下2階 実験ドーム
AAC2009のHPのURL
http://audioartcircus.iinaa.net/


2009年11月26日

コンプレックスと向き合って・安井源太 個展

     

西宮 苦楽園口にある 「galerie6c」で、10月20日(火)~11月1日(日)に『安井源太 個展 GENTA YASUI EXHIBITION』
が開催されました。安井源太さん(本学 美術学科2005年卒業)は、2008年6月24日のブログでご紹介した「絵描き
二人展」では、キャンバスにアクリル絵の具で描かれていましたが、2009年7月2日のブログ「fleur Vanilla」展
‐器と花のコラボレーション+絵画‐を契機に、アルシュ紙(フランス製)に水彩やボールペンで描き、葉や花びら
をコラージュするという手法が登場しました。アルシュ紙を選んだのは、水彩が使いやすい上に、何より鉛筆やペン、
パステルなどといった画材を幅広く使うことができるからだそうです。
「Panx sss」 紙に水彩、油彩、インク、植物
「Panx sss」   紙に水彩、油彩、インク、植物 403×403mm 

シクラメンの葉をコラージュし、蘭系の花が描かれていますが、どれがコラージュで、どれが絵なのかわからない、
コラージュかと思ったら描かれた葉っぱだったりして、まるでオー・ヘンリーの「最後の一葉」のようだなと思い
ました。シクラメンの葉は水を含んでいる等、葉や花の種類や特性を熟知している安井源太さんならではの作品です。
「無題」 紙に水彩、インク、植物 530×530
「無題」 紙に水彩、インク、植物 530×530mm

ボールペンで描かれた部分を見ても描写力のすごさに感心しますが、安井源太さんは、子どもの頃から水木しげるの
妖怪が大好きで、ずっと描いていたそうです。もしかして・・・、やっぱり、「妖怪事典」も持っているそうです。
(ちなみに芸大図書館も所蔵しています)。少し不気味な要素と絵から伝わる湿り気や子供の頃から培われた描写力
等、今回の作品のルーツがそこにあるのかもしれません。
「無題」 紙に水彩、アクリル、インク、植物 530×530
「無題」  紙に水彩、アクリル、インク、植物 530×530mm

クロトンの葉は裏側が使われています。できるだけコラージュとはわからないように工夫されています。
押し花にして使うのではなくて、生のままの葉や花を使うことで生命力がより表現されているように思います。
画面の中には、色々な円が描かれていますが、これもコラージュなのか、描かれているのか・・・どういう手法なのか
と気になり聞いてみました。これは、キャンパスの上に絵の具を丸く置き、アクリル板を真上から下ろすと円になり、
少しずらすと動きのある楕円形や長方形が生まれるとのことです。
「Isofonizkloom」 紙に水彩、アクリル、インク、植物 970×1939
「Isofonizkloom」  紙に水彩、アクリル、インク、植物  970×1939mm

安井源太さんは、個展のタイトルを敢えて付けないようにしているとのことです。タイトルに固定されたイメージ
で見られたくない。それぞれ自由に感じて欲しいとのことです。作品のタイトルも同様で便宜的に付けているだけ
で、あまり意味はないとのことでした。
「作品は、作品そのものが旅人のような存在であってほしいと思うので、意味やモチーフが描かれた理由などはあまり
明確にしないようにしています。羊は僕の頭からこぼれるようにしてキャンバスに現れたので、僕の記憶であったり、
人間であったり、生物全てでもあると思います。」
「Voldkanithkcoparaberga」 紙に水彩、アクリル、インク、植物 970×1621
「Voldkanithkcoparaberga」 紙に水彩、アクリル、インク、植物  970×1621mm

そして、今回の展覧会は、自分のコンプレックスのようなもの(苦手な線)と向き合うような制作になったとのこと
です。今までは、描きたいものがあれば、直接的に例えば宇宙そのものを美しく描かれていたように思いますが、今回
は、間接的に、宇宙の美しさだけではない恐怖感等も描かれているように思いました。自分が嫌いだった線を用いたり、
色を重ねていったりと不完全な中から見つかるものがあったり、くずすことでまとまるということがわかったとのこと
です。以前にキュレーターの方からの「殻を破らなければ・・・」とのアドバイスの声が聞こえていましたが、まさに
今回は、自分自身からの脱却を図ることができた第一歩になったのではないかと思います。
展覧会も好評だったとのことです。自分から開放される為に自分の原点に立ち戻り、自分が自由になれる手法を見出し
安井源太さんは、次の展覧会の話もされていました。これからも独自の世界観を極めるべく、意欲的な制作活動に
期待したいと思います。
GENTA YASUI EXHIBITION
安井源太さんは、フラワー・アレンジメントの仕事をされていますので、卓上には、鹿の角と一緒に、日によって
トケイソウやフランネルフラワーが生けられていました。

galerie6c は、もともとは、カリスマ的な花屋さんだったそうです。オーナーが外国に行かれることになり、
デザイナーのご友人が、ギャラリーとして引き継がれました。そのため、壁も真っ白な平面ではなかったりと
独特の雰囲気がありますが、とても気持ちの良い空間になっています。ベランダには、鳥越隆志さん(本学・建築学科
2003年卒業)の展覧会「GARDEN PLAN」の作品が常設展示され、とても素敵な雰囲気をより一層演出しています。
皆さんも是非一度お出掛けください。

投稿者:図書館

GENTA YASUI EXHIBITION
安井源太 個展          
会期:2009/10/20(火)~11/1(日)*展覧会は終了しています。
   11:00~18:00 月曜定休
会場:galerie6c
   0798-61-6131
http://blog.galerie6c.net/