大阪美術専門学校に在籍中での個展である。タイトル通り、「途中」での作品発表だろうか。会場には制作方法が異なる平面作品がインスタレーション形式で展示してあった。技法としてはシルクスクリーン、リトグラフ、コラグラフ、エッチング等、プリントメイキング専攻で取得した版画技法で制作された作品が展示されている。それを岡村氏から聞くと課題作品の展示とも読み取れる。しかし再度作品と展示方法を注意深く体験していく。
作品の配置方法も気になるが、一つ一つの作品は上部2ヶ所だけ針ピンでとめ、壁との距離を緩くしてある。額に入れての展示や壁と密着した展示とは異なる仮設的要素が強い、それをインスタレーションとも呼ぶが、ビデオ・インスタレーションやサウンド・インスタレーションと云い方に類似させるならプリントメーキング・インスタレーションとでも云えそうだ。
作品を詳しくみる。大きな皺のある作品がありしかも数か所破れ、さらに意図的にカッターで切り裂いたようにも見えるところもある。版画作品における破壊行為は何を意味するのか。平面の破壊そして物質性のまなざしか、多分それとも違うように思えた。床に接しての版画作品もある。立体の領分に平面が接している。一般的に考えられない展示から何が鑑賞者に伝わるかを考えてみた。
一瞬感じ得たのは制作場所の混沌とした空気であった。展示空間に彼女は制作途中の思考の混沌とエネルギーを展示空間に持ち込んでいるのかもしれない。その全体を通して彼女が主張する「私を見てください」ということだったのか。
報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室