2009年11月10日

視線、その先にあるもの。

               

神尾康孝写真展「-交差する、視線-」より 図書館3階閲覧室にて開催中

  闇の中に写し出されたトンネル。その先はどこへつながっているのだろうか。

闇の中に写し出されたトンネルは、どこに繋がっているのか? 写真作家、神尾康孝さん(本学大学院博士課程(後期) 芸術制作デザイン(写真)領域在学中)の作品「Wormholes」を目にすると、観客は知的に抑制されたモノクロームの世界に吸い込まれてしまう。作品の根底に作家の深い思索があるためだろうか。
 
 ここでは、どこが入り口で、どこが出口なのかは問題ではない。神尾さんの目(ファインダー)を通して写し込まれたトンネルは、私たちがトンネルにもつイメージを深層から揺るがした。観客は気づく。彼が写真を通して何を表現しようとしているのか。そこにあるものを“見る”ということと、“見える”ということを意識し「撮る」ことで、写真は芸術の領域に昇華し得るということを。図書館の、無機質なコンクリートの壁に架けられた作品群を見れば、彼の企みが成功していることがわかるだろう。

図書館3階閲覧室にて開催中です  彼の透明なレンズは、スパイラルに混在するさまざまな事象を、見えるもの=実像と、見えないもの=虚像(それは作家の意識下にあるものかも知れない)までもかたちにして、私たちにほらね、とばかり、未知の世界を呈示した。

現場のスピード感や空気感が感じられます  長谷川朋也さん

 神尾さんの撮影現場や制作過程に密着して、現場のスピード感や空気感を撮ってくれたのが、本学大学院卒業生の長谷川朋也さん。作品が出来上がるプロセスを連写して撮り、数枚のパネルにした。フィルムのように連なる写真が効果的だ。作家が作品を創る時のテンションと思索の微妙なバランスが伝わってくる。リアルに徹するカメラマンの視線が伺える作品。

3人のクリエイターがシンクロした写真展
近澤優衣さん
  今回、写真展のチラシ及びパネルのデザインを担当したのが近澤優衣さん(本学大学院博士課程(前期) 芸術制作デザイン領域在学中)。

 彼女のデザインによって、展示された作品がよりインスパイアされ、観客の前に立ち上がってくるような印象を与えた。

図書館にいながら芸術に触れられます!!  3人のクリエイターがシンクロし、それぞれのポジションで創り上げたこの写真展。本学図書館(3階)の視聴覚資料閲覧室の壁に展示しています。写真家を志す学生やチラシを見て興味をもった学生たちがじっと見入る姿を目にします。CDやDVDを視聴する傍ら、写真を見る人も。

  以前、このブログで紹介した図書館で身近にアートの時と同様、図書館を利用する人は芸術的な空気にふれながら、創造する時間を過ごすことができます。まだの方はぜひ、日常の慣性から抜け出し、写真の前に立って彼らの視線を感じとってみて下さい。

  Wormholesが過去から未来へと続くパサージュ(交通路)だとしたら、その先にあるものを…。

 「Wormholes」を手がけた写真作家の神尾康孝さんに、作品に向き合う時の様子などをインタビューしてみました。

神尾康孝さん>>Q1.作品の作り込み方を教えて下さい。
   「シンプルかつ丁寧に、を意識しました。撮影から暗室作業まで、暗い中でストイックに…いま思えば、『苦行』です(笑)。」

>>Q2.現場の空気感は?
   「現場のほとんどが山奥です。月明かりが結構明るくて、木々が風でざわざわしています。トンネルよりも、周りの山が怖いです。」

>>Q3.今後のヴィジョン(次回作など)について
   「さて、今後はどうなるんでしょう?(笑)。今はまだ『ゆらゆら』しながら作っています。ただ、シンプルであることと、アナログな写真にはこだわり続けたいと思っています。」
 


2009年11月5日

偶然か・・・それとも運命か・・・?

  

芸術情報センター4Fにて開催中です!!
 2009年もあと2カ月となりました。皆さんは今年を振り返ってどんな一年でしたか?

 実は、2009年はヘンデル没後250年、ハイドン没後200年、メンデルスゾーン生誕200年記念の年です。

 ヘンデルはドイツ生まれの作曲家で、あのバッハが「音楽の父」と呼ばれるのに対し、ヘンデルは「音楽の母」と呼ばれ、バッハと並び称されるドイツ・バロック音楽最高の作曲家と言われています。
 

この顔に見覚えありませんか?
 ハイドンは古典派を代表するオーストリアの作曲家で、多くの交響曲、弦楽四重奏曲を作曲、弦楽四重奏曲第77番第2楽章にも用いられた皇帝賛歌「神よ、皇帝フランツを守り給え」の旋律は、現在ドイツの国歌として用いられ、『交響曲の父』『弦楽四重奏曲の父』と呼ばれています。

 メンデルスゾーンはドイツロマン派の作曲家で、作曲以外にもそれまで独立していなかった「指揮者」という職務を独立させ、自らも極めて有能な指揮者として率先して範を示し、弟子たちに指揮法を教え、現在にまで至る指揮法を確立した創始者とされています。

 このような偉大な作曲家たちの記念の年が重なるとは果たして偶然なのでしょうか・・・、はたまた運命なんでしょうか・・・。

 音楽を志すあなたは必見です!!

 大阪芸術大学図書館所蔵品展では、今回『メモリアル・イヤーの作曲家たち ヘンデル・ハイドン・メンデルスゾーン』と題して、彼らの音楽家人生にまつわる品々が展示されています。

 普段クラシック音楽を聞かないという人も、彼らの名前を知らないことはないでしょう。展示されている品々から、彼らが人生をかけて作り上げた音楽を感じられるのではないでしょうか?

 是非、足を運んで彼らの音楽に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?

大阪芸術大学図書館所蔵品展
『メモリアル・イヤーの作曲家たち ヘンデル・ハイドン・メンデルスゾーン』
平成21年10月19日(月)~11月14日(土)
大阪芸術大学図書館4Fにて開催中(芸術情報センター内)
 


2009年11月2日

学内定期演奏会でソロを演奏するには・・・

    

多くの学生が観に来ていました★☆
 2009年度大阪芸術大学学園祭『!!!!!!!』に大勢のお客さんに来て頂き、本当にありがとうございました。昨日はお昼頃から雨が降り出して大変でしたが、楽しんで頂けたでしょうか?
 
 そんな活気あるイベントを大成功に導いた芸大生たちの普段の様子ってどんな感じなんでしょうか?

 今回のブログは芸大生の普段の様子をお伝えします先週の話ですが・・・学内定期演奏会が開催されました♪♪
 

指揮者の隣で演奏しているのが久斗さん♪♪

 この定期演奏会は前後期でそれぞれ2度開催されています。演奏会では、毎回、大阪芸術大学管弦楽団の演奏に合わせてソロで演奏する担当する学生がいます。

 そのソロでの演奏を夢見て、毎回オーディションが開催されます。

今回演奏した久斗理恵さん(演奏学科4回生)も7月のオーディションで見事選ばれました!!

同じ夢を見るたくさんの仲間と出会えること芸大の良さですね!!
>>今回のオーディションには自信があったんですか?
「2年生の時に一度だけオーディションを受けましたがダメでした。卒業前に最後の想い出にと思って受けたら…まさか通るとは思いませんでした。

>>この演奏会まで長い期間がありましたが、かなり練習されたんですか?
「今日までとにかく緊張しっぱなしで、精神コントロールをするのが難しくて、とにかく大変でした。」

>>管弦楽団をバックに演奏って緊張しないんですか?
「後ろを信用して、私はそこに乗ればいいと思って演奏しました。演奏を終えて、やっぱり私はまだまだだなぁと…。もっと練習しようと改めて思いました。」

>>4年生ということで来春には卒業を迎えますが、芸大での勉強はどうでしたか?
「とてもよかったです。いい先生に習えて、室内楽、オーケストラ、たくさんの人と勉強ができる環境がよかったです。
 
 

 

>>最後に、小学生の頃から音楽を始めた久斗さんは推薦入試で芸大に入学されたそうですが、近々に控える入試に向けて、受験生へアドバイスをお願いします!!
とにかく楽譜通りきちんと弾けるように練習することと、きちんと表現するところは表現豊かに注意してください。

そろそろ推薦入試も近くなってきました。受験生の皆さん、あともう一息です!!
 


2009年10月20日

大阪芸術大学付属幼稚園の運動会!!

     

体育館での開催なので天候にも左右されません!! 皆さん、先週の3連休はいかがお過ごしでしたか?ワタシが子どもの頃は10月10日が『体育の日』でした。では、この日がなぜ『体育の日』となったかご存知ですか?

 実は1964年の東京オリンピックの開会式が行われたのが10月10日ということで、1966年に国民の祝日となりました。
10月10日は晴れの特異日でもあり、全国的にこの日にスポーツのイベントが多く行われていました。現在ではハッピーマンデー法の適用となって10月の第2月曜日となっています。

みんな頑張って上手に演奏できました!!
 そんなスポーツの秋の真っ直中、10月11日(日)と12日(月)に大阪芸術大学附属幼稚園の運動会が大阪芸術大学総合体育館で行われました。

 大阪芸術大学には附属幼稚園が4園あり、そのうち2園の金剛幼稚園と泉北幼稚園が、毎年、ここ大阪芸術大学の総合体育館で運動会を開催しています。屋内で開催されるので、天候に左右されることありません。

踊りも可愛く上手にできました!!
 玉入れやかけっこ、組み体操など一生懸命に園児たちが頑張る姿にお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちもビデオカメラやデジタルカメラを片手に熱い声援を送っていました。
 OUA-TVでは附属幼稚園の入園式から卒業式まで、あらゆる行事を撮影に行きます。年少組の園児たちの中には、つい半年前まではお父さんお母さんから離れることが怖くて
泣き出す園児もいました。

園児たちは元気いっぱいで一日頑張りました!!

 それが今となっては、お父さんお母さんたちが成長した子どもの姿を見て涙するほどに…。

 この中からオリンピックに出場するようなアスリートが誕生するかもしれませんね!


2009年10月1日

大阪芸術大学所蔵品展が絶賛開催中です!!

 

ポーランドポスター展 絶賛開催中です!!
 
 芸術情報センターB1Fの地下展示室にて大阪芸術大学所蔵品展『ポーランドポスター展が10月3日(土)まで開催されています。 
 そもそも「『ポーランドポスター』って何?」って思われた方も多いかもしれません。『ポーランドポスター』はその名の通り、ポーランドという国の歴史や社会状況と密接に関係しています。
 
そもそもポーランドって国を知ってますか??

 ヨーロッパの東端に位置するポーランドが歩んできた歴史は決して平坦なものではありませんでした。18世紀末から100年以上続いた列強諸国による分割統治、第二次世界大戦中にはドイツ軍の侵攻による甚大な被害と迫害、戦後はソ連の影響下に共産主義独裁体制が敷かれるなど、芸術家たちにとっても自由な環境ではなかったものの、厳しい制約の中で作家たちは独自の表現方法を次々に生み出してきました。

 

こうして見るとアート性に富んだポスターですね☆★

 
 その一つに『ポーランドポスター』があります。隠喩に満ちた絵画的な表現、時にはグロテスクなモチーフ、手書きの文字など、ダイナミックで様々な特徴をもつポーランドポスターは、ヨーロッパのポスターの中でも異彩を放っています。第二次世界大戦後、共産主義という新しい社会体制の中で、他の芸術分野に比べて政府の検閲が緩やかだったポスターには、多くの画家たちが自由な表現の場を求めて集まりした。題材を自由に解釈した抽象画やデフォルメといった表現方法は、ポーランドポスターの絵画的要素をより一層強めました。
 

身体をモチーフにした作品が多く並んでします!!

 1950年代にそれらの作家たちが国際的な評価を受け、「ポーランド派」として世界の注目を集めるようになると、政府は積極的にポスターの制作を後押しするようになりました。市場競争のない共産主義国であるがゆえに、販売促進や集客よりも芸術性を重視したポスターの制作も可能となり、「単なる広告媒体」から「芸術作品」として評価されるまでになりました。

 「ポーランドポスター展」是非お越し下さい!!

 『ポーランドポスター』がなぜこれほどまでに評価されるようになったのか?芸術作品を楽しむためには、その歴史的背景を知る…。それによって、作品が作られた当時の空気や作者の声がより感じられるのではないでしょうか?

みなさんも是非一度ご覧下さい!
 

 

 
大阪芸術大学所蔵品展
ポーランドポスター展
会期:9月15日(火)~10月3日(土)
開館時間:午前10時~午後4時 入場無料
休館日:9月22日(祝・火)、23日(祝・水)、27日(日)
会場:大阪芸術大学 芸術情報センター地下1階 地下展示室