2010年2月1日

百聞は一見に如かず?一見は百聞に如かず?

        

芸大生だけでなく美専生も参加しました!!

 1月22日・金曜日、芸術情報センター地下1階AVホールで古典的写真手法研究者で詩人のテリー・キング氏による「古典的写真手法の現在」と題した講演会が開催されました。会場には大阪芸術大学写真学科の学生だけでなく、大阪美術専門学校の学生らも参加しました。

「芸大は世界のどの大学よりも素晴らしい環境だ」とキング氏。
 キング氏は1938年イギリス生まれ。外務省勤務時代から古典的写真技法に興味を抱き、退職後に本格的に古典的技法の研究に打ち込み、独自のプリント手法を開拓されました。ヨーロッパやアメリカでは毎年のように個展や講演会を開くものの、日本訪問は今回が初めて。昨年12月には詩集も出版し、現在では写真制作以外にも、講演会やワークショップ、著作活動など忙しい日々を送られています。

その丁寧な解説に学生たちもメモを走らせていました!!
 今回の講演では、キング氏が古典的写真手法で制作した写真を見せながら、そのプロセスや撮影秘話など一つ一つ丁寧に説明して頂きました。説明はもちろん英語!!写真学科の里博文先生が通訳する言葉を、学生たちは聞き落とさないようにメモを取りながら聞いていました。
 講演後のワークショップでは、日本で体験する機会の少ない「ブロムオイル手法」「金調色サイアノプリント」などの古典的写真手法を具体的に説明し、キング氏自ら実演もして頂きました。

ワークショップでは学生も手解きを受けながら指導を受けました!!

 古典的写真手法の一つ、「サイアノタイププリント」とは1842年にイギリスの科学者・天文学者であったジョン・ハーシェルによって発明された古典的な印画方法で、第二鉄塩が紫外線によって第一鉄塩に変化する性質を利用して簡単な工程で印画できることから普及。写真を紙や布、ガラスや木片などに焼き付けることができ、青色を基調とした微妙な色合いやセピア調の変化をもたらす手法だそうです。

学生たちからは矢継ぎ早に質問が飛び交いました!!

 ワークショップでは太陽光の代わりに照明の光を利用して、サイアノタイププリントをキング氏が自ら実践。写真が見る見るうちに青色に変わっていくその様子に、受講者の学生たちも興味津々。 
 最近ではデジタル写真が普及しつつあるものの、写真学科ではこうした職人技ともいえる古典的写真手法を実践する学生が多いようです。

若い写真家たちは古典的写真技法に興味を抱いたのでしょうか…?

 写真学科の学生に何度かブログ取材をしたことがありますが、皆さんデジタルカメラとは別にアナログカメラ(フィルム)を持っていて、主にそちらを使うことの方が多いそうです。
 どうしてアナログカメラを使うのか?と聞くと、「一瞬を逃さずに、フィルムの限られた枚数しか撮れないという状況の中で撮影することが楽しい」と話してくれました。

 こうした手法を用いることで、想像していたものとはまた違った作品を作ることができます。ワタシも小学生の頃、図工の時間に先生から『芸術に失敗はない!!』とよく聞かされたその言葉の意味が、ようやくわかったような気がします。

 この模様は2月10日更新の美専ブログでも紹介しています!!
 詳しくはこちら → 美専ブログ 
 また違った視点で見た内容となっています!!


2010年1月18日

キラめく家具に、出会う。     「MILANO NI TOUCH!!」家具研究会作品展より

     

 寒い季節。澄んだ空気が、街中のイルミネーションを一層輝かせる時、ここ芸大図書館
の閲覧室にもキラ星のように輝く作品が、温もりのある空間をつくりあげました。 
 「MILANO NI TOUCH!!」 本学デザイン学科と建築学科の学生たちで構成する家具研
究会が創作した、家具と照明の作品展です。
 今回、展示された作品は昨年4月にイタリアのミラノで開催された、世界最大規模のデザ
イン見本市「i Saloni Milano」に出品したもので、家具・インテリアの企業やデザイナー、
ジャーナリストたちから注目を浴びた輝かしい作品です。
 最先端のデザイントレンドが生まれる、この「ミラノサローネ」(通称)で、彼らはクリエイティ
ブな感性を存分に発揮し、趣向を凝らしたデザインを世界に向けて発表してきました。そん
なミラノの風をまとった椅子やテーブル、照明を館内で間近に見ると、自信に満ちた輝きと
風格すら感じます。

デザイン性溢れる椅子やテーブルが並んでいます!!

 来館した学生は皆さん興味津々な様子で、椅子に座って座り心地を確かめてみたり、熱
心に素材に見入ったり…。思わず触れてみたくなる手作りの家具。いつの間にか人が集ま
っているのが不思議です。

ダンボールで作っているようには見えません!!

 竹やダンボールなど天然素材を生かして作られた「Bamboo chair」・「flower puzzle furnitu
re
」や、健康志向のニーズに応えた「Orb chair」はバランスボールを用いるなど、「エコ」・「リラック
ス」をコンセプトにデザインとの調和を図った家具がひと際目を引きます。

 3階の閲覧室の一角を優しく照らす光の数々。こちらもまた自由な発想で作られていて、素材が布
地やアクリル板であることに驚かされます。
 写真からおわかり頂けるでしょうか?窓や壁に映し出された光の表情を。作品を見た多くの方がこ
の七色に発色するLEDの光を愉しんでいました。

自分の部屋に一つ置いてみたいです☆☆

写真で紹介できなかったものもたくさんあります!!

 普段、利用している閲覧室が柔らかな光と個性豊かな家具に彩られて、アーティスティックな趣を見
せているのが、面白いです。人と環境に優しいデザインを更に造形美までに進化させた”未来形家具”。
実際に体感できるのがこの作品展の最大の見どころと言えるでしょう。

 人と環境にやさしいデザインです!!

 開催初日から、情報を検索する人、本を探す人、映画を鑑賞する人と目的は様々なのに、図書館に来
た学生たちはごく自然にアートに触れ、互いに時間や創造空間を共有してくれていました。その後も口コ
ミで広がったのか、関心のある学生や一般の方が作品を鑑賞しに連日、訪れています。

作品解説の小冊子を片手に作品に触れてみて下さい!!

 作品展は2月15日まで開催しています。まだご覧になっていない人はどうぞ、図書館
に来て作品にふれてみて下さい。作品解説の小冊子を片手に、肩の力を抜いて。本学で学ぶ
未来のアーティストが図書館で多くの芸術作品と出会って、様々な驚きや発見、新しい可能
性を感じ取ってもらえれば嬉しいです。

投稿者:図書館


2009年12月25日

クリスマスを彩る・・・ 図書館所蔵品展

  

 図書館4階展示コーナーでは、12月25日(金)まで大阪芸術大学図書館所蔵品展『ヨーロッパ中世写本ファクシミリより
写本挿絵に見る 東方3博士(マギ)の礼拝図
』を開催しています。

『ヨーロッパ中世写本ファクシミリより 写本挿絵に見る 東方3博士(マギ)の礼拝図』開催中です。

 芸大図書館では毎年この時期、本学文芸学科教授 水島ヒロミ先生のご協力を得て、中世ヨーロッパで作られた写本の
ファクシミリを展示しています。
 「印刷本が作られる以前、書物は一冊一冊、人の手で作られていました。書物作りは、羊や仔牛の皮を獣皮紙に加工し、
インクや顔料を用意するところから始まります。さまざまな準備を整えてから、テキストを書き写し、場合によっては
装飾文様や画像を描きます。書物は単なる媒体以上の価値をもっていました。世界にたった一冊しかない書物、テキストが
同じでも書物としては一冊一冊が異なっていました。
 文字とイメージの世界を一冊まるごと複製したのがファクシミリとよばれる特殊な書物です。元の写本そっくりに複製
するために、虫喰いや、切り取られた跡、変色などもそのまま再現されています。 
 芸大図書館が所蔵する、このようなファクシミリの中から、毎年テーマを決めて数点を展示しています。
今年は『東方3博士の礼拝図』がテーマです。『マギの礼拝』とも、『三王礼拝』とも呼ばれているテーマです。
時代によって変化する3人のマギの姿に着目しながら、それぞれの挿絵を楽しんで下さい。礼拝の場面以外に、眠っている
マギにお告げが告げられる場面や、旅姿のマギも見つかるはずです。」と水島先生から展示の見所などを伺いました。

開催場所は図書館4階展示会場です。

同じ場面を色々な写本で見比べるのは、とても興味深いことです。メトロポリタン美術館所蔵のとても美しい彩色の
『ベリー公の美わしき時祷書』やオーストリア国立図書館所蔵の落ち着いた絵柄の『クロイの時祷書』など時代や地域に
よっても異なる色々な手法の挿絵を是非、ご高覧ください。

図書館所蔵品展はOUA-TVでもミュージアム・ライブラリチャンネルにて放送中です!!

大阪芸術大学図書館所蔵品展は、年に6回程、各学科の先生方のご協力を得て開催しています。
また、放送学科アナウンスコースの学生さんに展示解説のナレーションを務めてもらい、OUA-TVのスタッフが展示風景の
撮影を行っています。その映像は、学内の大画面やインターネット上の芸大テレビでも放映していますが、システム管理
センターの協力を得て、図書館HPの図書館所蔵品展からもご覧いただくことができます。教員や他課との連携による取り組み
は、他大学からも高い評価をいただいています。
そして、それは、貴重なデータベースとして認められ、国立国会図書館データベース・ナビゲーション・サービス『Dnavi』
でも検索することができます。
見逃してしまった展示やもう一度見たい展示など、所蔵品展のデータベースから紐解いて、是非ご鑑賞ください。

大阪芸術大学図書館所蔵品展
『ヨーロッパ中世写本ファクシミリより 写本挿絵に見る 東方3博士(マギ)の礼拝図』
平成21年12月1日(火)- 12月25日(金)
大阪芸術大学図書館4Fにて開催中(芸術情報センター内)

大阪芸術大学図書館HP
http://www.osaka-geidai.ac.jp/library/

「Dnavi-国立国会図書館データベース・ナビゲーション・サービス-」
http://dnavi.ndl.go.jp/
国立国会図書館では電子図書館事業の一つとして、インターネット上の各種データベース・サイトを案内するデータベース・
ナビゲーション・サービスが実施されています。テーマ検索もできます。


2009年12月21日

「にっぽん‐大使たちの視線2009」写真展開催中

    

日本人も気付かなかった「わび、さび」もあるかも?

 12月16日(水)よりほたるまちキャンパスギャラリーで「にっぽん‐大使たちの視線2009」写真展が開催されています。

 この写真展は、世界各国の在日大使をはじめとした外交官の方々が、日本国内で撮影した写真の展覧会です。1998年に第1回が東京で開かれ、本年で12回目を迎えています。大阪には2000年の第3回から巡回するようになり、昨年は大阪国際交流センターのギャラリーで開催されていました。

日本っていいところなんだなって改めて実感しました。

 作品は毎回決められるテーマに沿って撮影され、本年は「Colors of Japan」をコンセプトに「Wabi-Sabi(わび、さび)」をテーマにした作品と日本を自由に捉えた作品が出品されています。39カ国61名の各国を代表する大使たち、文化や慣習が異なる彼らが日本をどう捉えているのか、「わび、さび」をどのように感じ、理解して、どこに見いだしているのか、大変興味深い作品が展示されています。

会場近くでは「光のルネサンス」も開催中です!!
 11時から19時まで会期中無休で開催しています。折しも、堂島川を挟み「光のルネサンス」も開催されています。是非、この機会にほたるまちキャンパスに足を運び、合わせてお楽しみください。

「にっぽん‐大使たちの視線2009」写真展
会場:大阪芸術大学ほたるまちキャンパスギャラリー
会期:2009年12月16日(水)~24日(木)
時間:11時~19時
会期中無休・入場無料
お問い合わせ先:大阪芸術大学ほたるまちキャンパス
TEL 06-6450-1515
 

          「わび、さび」を日本語で表現できますか?いろんな国の大使が感じる「わび、さび」とは…

 


2009年12月8日

第1回 高円宮殿下記念 根付コンペティション

  

 12月4日(金)から、ほたるまちキャンパスギャラリーで「第1回 高円宮殿下記念 根付コンペティション」展が開催されています。
 
 昨年、「高円宮家根付コレクション展」をほたるまちキャンパスギャラリーで開催した際に学生・教員による根付作品を展示したことをきっかけに、グループ校の学生を対象に根付を募集することになり、「第1回 高円宮殿下記念 根付コンペティション」が開催されました。先日行われた審査会の様子 芸大、短大、美専、合わせて50名の学生から55点の作品応募があり、11月18日(水)に審査が行われました。審査には高円宮妃久子殿下と根付師の高木喜峰氏、塚本邦彦理事長・学長・学院長、伊藤隆工芸学科長・教授、小田信夫美術学科教授、山野宏工芸学科教授に当たっていただきました。

 審査は、すべての応募作品を受付番号順に作品名と素材名だけを表記して並べ、その中から入賞候補を各審査員が選び、協議して受賞作品を決めていきます。実際の審査では、各審査員が作品を手に取って様々な角度から作品を眺めたり、腰の辺りにつけてみたりして根付としての具合を確かめられていました。

         高円宮賞 羽藤優花『鬼の灯』 高円宮賞を受賞した羽藤優花さんの作品 『鬼の灯』

 また、作品制作の技術的なことだけではなく、根付としてのアイデアやネーミングも大いに評価の対象となっていました。応募作品の中には根付師の作品といっても良いようなものもあり、妃殿下と高木氏から「根付のことをよく勉強している。」とお褒めの言葉をいただきました。
 甲乙つけがたい作品も多く、審査員の先生方も苦労されておられましたが、高円宮賞、学長賞、優秀賞、入選、そしてユニークなアイデアとネーミングが評価されて審査員特別賞が追加され、入賞の18作品が決定されました。

入賞作品
 高円宮賞
  「鬼の灯」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 羽藤優花
 学長賞
  「vine」
   大阪芸術大学工芸学科2回生 橋本 啓
 優秀賞
  「名月」
   大阪芸術大学大学院芸術研究科博士課程前期芸術制作専攻2年生 倉田篤志
  「ホオズキノカケラ」
   大阪芸術大学工芸学科4回生 新野恭平
  「ひっそりかえる」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 井上喬文
  「~蛸~」
   大阪芸術大学工芸学科2回生 沖 知樹
  「ねチュけ」
   大阪芸術大学工芸学科2回生 藤井理栄

         学長賞 橋本啓『vine』 学長賞を受賞した橋本啓さんの作品 『vine』

 入選
  「ノスタルジア」
   大阪芸術大学大学院芸術研究科博士課程前期芸術制作専攻2年生 金城有華
  「くるっぽ」
   大阪芸術大学工芸学科4回生 谷口結香
  「タコとツボ」
   大阪芸術大学工芸学科4回生 富永一真
  「結晶」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 杉原由佳
  「くだおいぬ」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 道浦正人
  「烏゛(ガラス)」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 矢野天悠
  「千花甲羅」
   大阪芸術大学工芸学科3回生 音成有香
  「金鶏」
   大阪芸術大学工芸学科2回生 水森百合
  「くさがめ」
   大阪芸術大学短期大学部デザイン美術学科1回生 池田麻生
  「りんご」
   大阪芸術大学附属大阪美術専門学校デザイン学科2年生 三宅由恵
  審査員特別賞
  「食って 食われて アイスクリーム」
   大阪芸術大学附属大阪美術専門学校デザイン学科2年生 宮田千里

 「第1回 高円宮殿下記念 根付コンペティション」展では、これらの入賞作品を含む応募作品55点の他に、高円宮妃久子殿下のコレクションの中から150点の作品を特別にご出品いただいて展示しています。12月4日に表彰式と内覧会を執り行い、高円宮賞と学長賞の学生には賞状とともに記念品として山野宏教授の作品が贈呈されました。

表彰式の様子 内覧会では、妃殿下に学生が自身の作品について作品制作で苦労したことや作品のアイデアなどについてご説明することから始まりました。学生たちは妃殿下に作品制作での話をしました。 妃殿下のコレクションについては妃殿下が学生達を案内されたのですが、なんと!なんと!妃殿下のコレクションを納めた展示ケースのカバーを取り外して根付をお手に取りなりながらのご説明となり、高木喜峰氏からもご自身の作品の技法や素材について詳しい説明をしていただけました。学生にも根付を手に取らせていただくことができ、参加した学生にとってまたとない大変貴重な体験となりました。

大阪芸術大学ほたるまちキャンパスにて開催中です!! 12月14日(月)まで無休で開催しています。是非、ほたるまちまで足を運んでご覧ください。

第1回 高円宮殿下記念 根付コンペティション展
会場:大阪芸術大学ほたるまちキャンパスギャラリー
会期:平成21年12月4日(金)~14日(月)
時間:午前11時~午後7時(入場は午後6時30分まで)
会期中無休・入場無料

投稿者:大阪芸術大学博物館