2010年10月6日

伝説のグラフィックデザイン誌「タイポグラフィカ」

 

 今回ご紹介するのは、本学図書館が所蔵する伝説の雑誌「タイポグラフィカ」です。戦後、ロンドンで発行されたこの雑誌は、タイポグラフィやグラフィックデザインの既成のイメージを打ち破って、新たなデザインアートを生み出すインスピレーションを与えてくれるものでした。
 イギリスを代表するデザイナー、ハーバート・スペンサーが監修し、50年代から60年代にかけてタイポグラフィデザインをリードし、閃光のように時代を駆け抜けていった「タイポグラフィカ」。1949年に創刊し、前期と後期に分けて各16冊、トータル32冊を刊行して1967年に終了となりましたが、タイポグラフィのジャンルにとどまらず、商品のパッケージやデザイン、レタリングなど、デザインの実験工房的な役割を果たしたと言えます。
 本展示を企画した本学教養課程の藪教授(研究分野:「カストリ雑誌」,ウィリアム・モリス研究等、美学・美術史,デザイン史)は、解説の中で「『タイポグラフィカ』誌は戦前にバウハウスなどで取り組まれていた構成的で機能的なニュータイポグラフィの理念を汲み上げ、タイポグラフィの新たな実験とその実用化を鼓舞している。(中略)本誌では、街頭でのサインや文字、商業印刷物の機能とデザイン、新聞のタイポグラフィ、写真と文字との統合など、視覚伝達デザインや視覚文化の諸問題が論じられている、・・・(略)」と論評されています。

  図書館1       図書館2

表紙のどれもクールでカッコイイですよね。鮮烈なメッセージが伝わってきませんか。

図書館3

 写真を見て頂くとわかるように、表紙のデザインを中心に展示していますが、その中身は文字のデザインをベースにしつつも、グラフィックデザインの歴史や制作工程、街頭の看板や挿絵のイラストなどが惜しげもなく紹介されていて、イギリスのデザイナーたちの博学でマニアックな一面がうかがえます。

 バウハウス最後の巨匠と称されたスイスのデザイナー、マックス・ビルも「タイポグラフィカ」で度々取り上げられ、機能美を追求した彼のモダンなデザインには哲学を感じます。

図書館4モノトーンなのに華やか。整然と配置されたタイトル文字が実に見事です。

図書館5本学で開催したキャンパス見学会(7/18-7/19)にお越しになった保護者の方々。
今も色褪せない色彩やデザインに、興味深く見入っておられました。

 デザインの新しい領域や可能性などをinnovative(革新的)な視点で紹介した「タイポグラフィカ」は、タイポグラフィやグラフィックデザインの歴史をひも解く上で大変、参考となる貴重な資料です。所蔵品展を通して、字体を研究する学生だけでなく、グラフィックデザインやモダンアートなどデザイナーやクリエーターを目指す学生が知的・芸術的刺激を受けて、ヒラメキや発想を大いに
膨らませてくれたと思います。

 本展示は終了しましたが、大阪芸術大学図書館では貴重資料の展示をはじめ、本学で学ぶ未来のアーティストの作品展を開催して、学生が制作し発表する場をつくっています。コンセプトは”アートライブラリー”。学生たちに身近にアートを吸収して、新しい可能性や創造力をつけてもらうことをねらいとしています。 今後も新しい大学図書館を展開していきますので、普段、図書館を利用するすべての利用者、更には芸術に興味のある高校生の皆さんも、本学図書館の情報発信にご注目ください。

大阪芸術大学図書館所蔵品展   
戦後イギリスのタイポグラフィーとグラフィック・アートの雑誌『タイポグラフィカ』
平成22年6月18日~7月20日 図書館4階展示コーナー
投稿者:図書館


2010年9月28日

情熱は続く・・・

  兄弟乃墨
 今年の夏は本当に暑かったですねー。

 そんな暑さの中、今日は、熱い卒業生の活躍をご紹介します。
 まずは、暑い夏が始まった7月(19日~31日)、大阪市北区
西天満のギャラリー ワークスの企画展 wks. X vision 
として “兄弟乃墨”北村章展が開催されました。
 北村章さんは、本学大学院芸術研究科を2009年3月に修了した後、同年4月から大阪府八尾市の中学校に勤務し、美術の教員として、美術部の指導にもあたっています。

迫力満点です!!!
  大学院生の頃は、木屑を絵の具に混ぜて、立体的に描く手法で色彩も鮮やかな迫力のある絵画を展開し、展FINAL in 図書館修了制作展でも注目を集めていました。まさに情熱の作家といった印象でした。教員試験に懸ける情熱にも目を見張るものがあり、見事、現役で合格されました。
 そして、今回は、墨によるモノクロームの絵画です。墨に移行するきっかけになったのは、2009年6月インフルエンザの流行で突然休校になったときに、手近にあった墨で描いた「face」(四天王寺さんめい苑で展示中)だったとのことです。それから、墨の面白さに気付いたのと同時に仕事をしながら描くのには、きっと都合も良かったのでしょう。

凄い躍動感ですね…
   その上、何よりも今回のテーマである“兄弟”の存在です。中学校からの地元の仲間たちの中で、大手旅行会社に就職するも夢を追い駆けて仕事を辞め、吉田道場に入門し、総合格闘家としてデビュー戦を闘った「ぽっつん」こと長倉立尚さん。その試合を目の当たりにし、衝撃を受け、その姿を描きたいという衝動。その為には、墨がピッタリだったに違いありません。

闘士の肉を、熱い墨が追う。
眼が焼付けた ほとばしりを浴びろ。
wks. X vision ver.2

今にも動き出しそうです!!! 
 
 その筋肉、その迫力、躍動感。
 日頃は、洗練されたギャラリーワークスの白い部屋を一面埋め尽くす“兄弟乃墨”
 重なり合い、天井や床にまで浸食し、その存在感を増していました。まるで生きて、そこで闘っているような・・・。仕事をしながらも、北村章さんの絵画に懸ける情熱は健在です!
 そして、やっと少し秋の気配が感じられる頃、また嬉しいニュースです。
 9月13日(月)~25日(土)大阪府立現代美術センターで開催される「画廊の視点 ギャラリズム2010」にギャラリーワークスから北村章さんが出展されます。

 北村章さんから「かなりギリギリですが、がんばります!!今回は今まで描いた絵の中でも一番大きな絵です!」とメールがありました。
 きっとまた、迫力ある新作に期待しましょう!情熱は続きます!! 

写真:神尾康孝〔本学大学院芸術研究科博士課程(後期)芸術制作デザイン(写真)領域〕

「画廊の視点 gallerism 2010」(終了しました)

9月13日(月)~25日(土)
10:00~18:00  20・23日は16:00/25日は15:30まで/日休/無料
(於)大阪府立現代美術センター

gallerism 2010 HP
http://www.sky.sannet.ne.jp/works/gism10/gallerism10.html

大阪府立現代美術センターHP
http://www.osaka-art.jp/

GALLERY wks ギャラリーワークス HP
http://www.sky.sannet.ne.jp/works/

投稿:大阪芸術大学図書館


2010年9月10日

ギャラリー展覧会「書展」

 

この作品なんかはすごく強い風の印象を受けますね!!

 どうも、3日連続更新のゲイブロくんです。

 久々に『ギャラリーで展覧会やるんです!!芸大ブログに記事を載せて下さい!!』と取材依頼があったので、早速行って参りました!!

 どんな展示会をやっているのかと思いきや「書展」ではないですか!?そういえば、最近アートの要素を取り入れた書道が注目されていますよね!!

サッカー日本代表の応援旗に採用したい!!

 今年4月に芸術計画学科デザイン学科環境デザイン学科の学生6人が主体となって書道部を設立!!今回が初めての展覧会開催!!テーマは『初秋』。スポーツの秋・食欲の秋・読書の秋・芸術の秋と4つの分野の作品が並んでいます。

 今回の展覧会はお試しも兼ねて・・・と話していましたが何のその!!時には力強く、時には繊細な筆使いに圧倒されました!!“墨”が生みだす深みのある色、“字”が表現する美しさに“書道”の新たな魅力を感じました。

書道部員に見つめられながら筆ペンで記帳・・・緊張します!!!
 
 僕は書道が苦手で、几帳も筆ペンだったので汚い字で恥ずかしかったのですが「綺麗な字ですね」とお褒めの言葉を頂きました!!気を使って頂いてありがとうございます。

 さて、お話を伺いました!!実は、メンバーの中には書道経験者もいるそうですが、全く知らないメンバーもいるようで・・・Q、全く未経験でも大丈夫ですか?
「メンバーの中には筆を持つのが小学校での授業以来という人もいるので全然大丈夫です!!」

食べ過ぎに注意!!

Q、どうしてまた書道部を設立しようと?
「部長と副部長の共通の友人がお互い書道が好きだということを教えてくれて、『書道をやりたいね』ということで設立しました!」

Q、メンバー集めは大変じゃなかった?
イスクラ(芸大の学生生活情報誌)などを見て入部してくれました!初心者の人も多く、みんな楽しく和気藹々と活動しています!!

僕も書道を始めようかな?★★
Q、普段の活動内容は?
「毎週火曜日の放課後、お題を決めて書いたり、好きに書いたりと楽しく活動しています!」
 
Q、それぞれにお聞きしました!!
   書道の魅力とは何ですか?
「文字からその人の書いた気持ちが感じられるところ!!」
「書くことが楽しくなる」
「習字でなく芸術としての“書”書けば書くほど魅力を感じます」
「書いているときはリラックスして無心で書くので、自然と集中力が身に付きます」
「『綺麗に書く』というより『自由に書く』ように心がけています。字だと表現しやすいですね」

Q、どんなサークルにしていきたいですか?
「全くの未経験の人でも構える必要はありません。楽しく自由に活動していますので、是非展覧会に来て興味を持ってもらえたらと思います!!」

Q、今後の活動予定などは?
10月の学園祭で展覧会と書道ライブを行う予定です!11月にも展覧会の開催を予定しています!!」

『書道』も書くことで文字の美を表す東洋ならではの芸術の一つ。あなたも新たな芸術分野を覗いてみてはいかがでしょうか?

「書展」
期間:9月10日(金)~9月15日(水)
時間:10:00~17:00(日曜日閉館)
場所:総合体育館ギャラリー


2010年8月4日

ジュリアード音楽院 カール・アレン教授特別講義

 

迫力のステージでした!
 7月21日から23日までの3日間、世界的にも有名なジュリアード音楽院からカール・アレン教授をお迎えし、特別講義が開催されました。毎日のドラム実技指導に加え、『黒人文化とジャズの歴史』、『アメリカにおける音楽ビジネスの現状』などをテーマにした講義も行って頂きました。

 最終日には、大阪芸術大学音楽学科の教員とカール・アレン教授によるミニ・コンサートが開かれました。今、まさに第一線で活躍されている方々の演奏を授業の中で間近に聞くことができて、本当に贅沢な時間でした。

学生も盛り上がっていました!

 来年3月には、ニューヨーク・ジュリアード音楽院にて実技指導を含めたセミナーが開催されます。ジュリアード音楽院の教授陣から各レベルに合わせた指導を受けることができ、とても充実した3日間を過ごすことができます。そのほか、様々な芸術文化が集まるニューヨークのブロードウェイジャズクラブで本物を体験することができます。詳細は、国際部までお問い合わせください。

投稿:大阪芸術大学国際部


2010年7月16日

「五大」写真展開催!

 

今回の展示は他学科ともコラボレーション!

  このたび、写真学科永坂ゼミは、「五大」写真展を開催しております。
この場をお借りして告知させていただきます。

 展示のテーマとしている「五大」とは、宇宙を構成しているの五つの要素です。
 つまり、この世の全て森羅万象五大に当てはめることが出来ます。

五大を表現しました!
 私達は、テーマである「五大」をそれぞれの視点でとらえ、今日の私達が興味のあること、思うこと、考えていることを織り交ぜて表現しました。

 そして、今回の展示にあたり文芸学科阪井ゼミ三回生の方々が私たちの写真に対しそれぞれ、相応しい言葉をつけてくださいました。

写真という映像だけでは伝えきることのできない思考を、言葉で補ことによって、このような学科を越えての展示に至りました。
 

異なる芸術との融合で、新たな表現が生まれるのですね!

 写真と言葉という、次元の異なる芸術分野がコラボレーションすることによって、新たな表現が生まれるのではないかと思います。

開催日が残り少ないですが、是非足をお運びください。

永坂ゼミ一同

7月7日(水)~7月19日(月)
OPEN 11:00~CLOSE 18:00
情報センター1階回廊ギャラリー