2008年10月27日

「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」開催中

先週月曜日(1020日)から大阪芸術大学博物館では「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」が開催されていますこの展覧会は、2006年にサントリーミュージアム天保山で行われたブレッソン展の展示構成を踏襲しながら作品数を41点に絞り込んであらためて紹介した展示です。
今回の展示のポスターはデザイン学科3年生の田原拓真さんの制作です。このデザインのために数あるうちの作品の中から選んだ1点はなかな渋めのセレクトです。
アンリ カルティエ ブレッソン マグナムフォト
アンリ・カルティエ=ブレッソンは激動する歴史の瞬間を記録しただけではなく、日常のふとした光景や人々の何気ない仕草を瞬時に捉えて完璧な構図を画面に作り出した写真家として、今も世界中の人々を魅了しています。

大阪芸術大学博物館が所蔵する「アンリ・カルティエ=ブレッソン自選コレクション」は、自身の全作品の中から生前に自ら厳選した作品411点で構成されていて、アンリ・カルティエ=ブレッソンの全生涯の写真創作を一望することができます。世界に4つしかないと言われているコレクションです。
アンリ カルティエ ブレッソン マグナムフォト
今回の展示「その魅力を読み解く」は<前期>展示として開催されています。『小型カメラ「ライカ」との出会い』、『写真で「時間」を表現する』、『「シュルレアリスム」の影響』、『新しい芸術思潮とカルティエ=ブレッソン』、『ヒューマニズムを表現する』の5つの切り口でアンリ・カルティエ=ブレッソンの魅力を紹介しています。
アンリ カルティエ ブレッソン マグナムフォト
また作品以外にアンリ・カルティエ=ブレッソンが本格的に写真を撮りだした頃に使っていたものと同じ型式のカメラや、1952年にフランスとアメリカで出版された作品集の実物も展示されています。ライカのカメラはレンズ交換式になっていて、アンリ・カルティエ=ブレッソンは主に50?(被写体によっては90?)のレンズを使っていたそうです。
アンリ  カルティエ ブレッソン マグナムフォト
興味深いのは作品集のタイトルです。フランスで出版されたものは「Images a la Sauvette」、アメリカで出版されたものは「Decisive Moment」となっており、それぞれ日本語に翻訳すると「逃げ去るイメージ」、「決定的瞬間」となるそうです。
今回の展示の中でも「シャッターチャンスの冴え」という表現で紹介されていますが、素早いカメラワークでシャッターチャンスをものにした作品の数々の中には「時間の流れ」が絶妙の構図で収められています。見る人が脳裏で動画として再生できる「時の流れ」の余韻からイメージすると、フランス語の作品集のタイトルの方が趣があっていいなと思いました。

会場の入り口にあるアンリ・カルティエ=ブレッソンが残した言葉を一部抜粋して紹介します。
・「写真をとることは、一瞬のうちに消えていく現実の表面にありとあらゆる可能性が凝集した瞬間に息を止めるということである。イメージの征服が肉体的かつ知的歓喜へと転化するのはその瞬間である。」
・「写真をとることに際しては、常に対象と自己に対して最大の尊敬を払わなければならない。それは生き方そのものなのである。」
アンリ カルティエ ブレッソン マグナムフォト
アンリ・カルティエ=ブレッソンの作品は写真学科の入学試験の課題として出題されることも多いので、写真学科を志望される方はこの機会にじっくり鑑賞されてはいかがでしょう?学園祭期間中も開館しています。

大阪芸大学所蔵品展 アンリ・カルティエ=ブレッソン自選コレクションより
●「アンリ・カルティエ=ブレッソン展」
 <前期>その魅力を読み解く

 20081020[]115[] 休館日:111[]114[]
 開館時間:10:0016:00 入場無料
 会  場:地下展示室[芸術情報センター地下1階]

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2008年10月24日

陶芸家・前田昭博氏 特別講義「わたしのしてきた仕事」

本日、芸術情報センターでは陶芸家・前田昭博氏の特別講義『わたしのしてきた仕事』が行われました。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
前田昭博さんは1977年に大阪芸術大学・工芸学科を卒業され、その後、海外でも作品が評価されるなど作品展を多数開催されている白磁作家です。昨年、紫綬褒章を受賞され、12月から今年2月にかけて行われた、東京国際近代美術館の「開館30周年記念展II 工芸の力 ―21世紀の展望―」では招待出品、現在、文化庁や東京国際近代美術館前田昭博さんの作品『白磁面取壺』が所蔵されるなど、日本の名工の一人としてご活躍です。
前田昭博さんの陶歴やスケジュールなどはコチラ >>>

今日久しぶりに大学を訪れてみて、在学当時とは違って実習室も広くなり設備も充実していることに驚いたそうです。昔は轆轤を3?4人でまわして使っていたりしていたこともあったそうです。在学して陶芸と染織を専攻していたそうです。もともと美術が得意だったので染織の方が良い点数をとれたそうで、陶芸は大学に入って初めて経験したそうです。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
当時、隣で轆轤を挽いていた同級生が陶芸家の息子。技術レベルの差を強く感じたそうです。轆轤がうまく挽けない。「陶芸を選んだのは間違いだったかなー」と思い、大学に来るのが嫌になったこともあったそうです。当時、彼女はいない、モテない、仕送りはパチンコで負けてしまってお金もない。ただ時間だけがたくさんあったことがキッカケで、朝から晩まで轆轤に向かっていたんだそうです。2、3ヶ月もするとヘタクソだった自分が隣の轆轤と互角に挽けているのに気付いて、そこから陶芸が面白くなってきたんだそうです。轆轤は体で覚える。辛抱は大切です、とおっっしゃっていました。

2年生の終わりに白磁と出会ったそうです。冬に降る雪の真っ白な世界に感動したことがあったが、白く美しい白磁は雪景色と同じくらい感動したそうです。磁器の土は粒子が細かく、それまでの粘土で(の制作で)できていたことができない難しい土。この土を制覇したい。卒業制作では白磁で大きな壺をつくりたい、そう思って夢中になって取り組んだそうです。
当時、大学では「学生は個展を開いてはいけない」というキメゴトがあったそうです。「もう時効だと思うので人見先生、すいません」と謝ってから、学生時代にやった初個展の話をしてくれました。コッソリ地元・鳥取で行った個展は好評で、新聞にも取り上げられたそうです。見に来ていただいた方にいただいた「次の作品も見てみたい」、その言葉に背中を押され、そこから前田昭博さんの陶芸人生が続きます。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
卒業後は地元に戻り「1年だけやってみよう」と、一人で陶芸を続けたそうです。土との格闘。失敗の連続。陶芸の産地でもない鳥取には周りに技術的なことを聞ける人もいない。試行錯誤しながら土の性質を知ること。それを続けていかれたそうです。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
「地元での2回目の個展。1回目よりたくさんの人に来てもらうことができた。初めて作品を買ってもらうことができたのもこの個展。見ていただくこともいいが、お金を出して買ってもらうというのは、やっと認められたような感じがした」と、お話されていました。
公募展にも積極的に応募していたそうです。自分は陶芸をやめたら何もなくなる。だから公募展で入賞すればそれは「もう少し陶芸を続けていいよ」という指標だと思い、応募していたんだそうです。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
卒業後14年が経った1991年、第十一回日本陶芸展で「優秀作品賞」を受賞され、自分でもすごくビックリしたとおっしゃっていました。自分では「まだまだダメなんだ」と思いながらコツコツ続けてきた陶芸。その頃には一生、陶芸を続けていきたいと思うようになっていたんだそうです。

前田昭博さんは、「これまでの陶歴は自分が陶芸家になるために結果的に一番早道だったような気がしている。数々の失敗の中から『自分のやりかた』を見つけられたんだと思う。(制作にあたり他から刺激を)入れるだけではなく、作家は『出すこと』をしなければいけない。たった一人で続けてきた陶芸の環境は、自分なりの表現を生み出すのには良かったのかもしれない。『いろんな技術を知らないこと』が逆に幸いしているように思う」と、これまでのご自身のお仕事をお話されていました。
前田昭博 陶芸家 富本憲吉 白磁 磁器
講演はその後、ご自身の制作現場の様子のご紹介と、陶芸家・富本憲吉氏のお話が続けられました。「文様から文様を作らず」、クリエイティブ論とも言えるその言葉に込められた深い思いと、前田昭博さんとの共通した思いをわかりやすくお話いただきました。

「話の呼吸」のせいなのか、ひとつひとつがわかり易い丁寧な話ぶりから、轆轤に向かう前田昭博さんの真摯な様子を想像できました。前田昭博さんのお話は、どこをとっても驕ることのない控えめなお人柄が表れていました。やわらかく、やさしい曲線を生み出す「美の技」を持つ人はこうあってほしい、そんな期待を裏切らない前田昭博氏の特別講義でした。

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2008年10月22日

お昼休みの時間に音楽を…♪

昨日『日韓三大学 デザイン 美術 交流展』もオープンするなど、学内は、いつもに増して刺激を受け、創作意欲をかき立てられる“芸術の秋”真っ盛りという感じですが、芸術は、造形系の視覚的なものばかりではありません。学内では、音楽系のコンサートも開催されていますので、こちらも紹介したいと思います。
21日(火)にお昼休みを利用して3号館ホールで開催されていたSaxophone Concert
Saxophone concert  
当日のプログラムは、
 
J.リュエフ: ソナタより 2,3楽章         A.Sax: 佐々田 剛
 
J.S.バッハ/J.M.ロンデックス: 無伴奏チェロ組曲第1番より 
                        プレリュード、クーラント、サラバンド、ジーグ   
                               A.Sax: 川口 智也
 
L.ロベール: カデンツァ                A.Sax: 佐々田 剛
                                   Pf: 大長 志野
Saxophone concert 
30分ほどのコンサートでしたが、軽快なテンポの曲や重厚な迫力のある曲が演奏され、素敵なお昼の時間を過ごすことができました。ここでお聞かせできないのが残念です。。。
でも、やっぱり生のコンサートを聴いていただきたいです。
今回は、大学院生の企画によるコンサートということでしたが、学部演奏学科でも例年この時季に声楽専攻の4回生による『声楽 お昼のコンサート』が開催されています。今年も9月から10月にかけて4回開催。次回がラストとなりますが、10月24日(金)12:30? 3号館ホールにて開催の予定です。皆さんも是非お昼休みのひと時を素晴らしい歌声を聴いて過ごしてください。 
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2008年10月21日

第24回 日韓三大学 デザイン 美術 交流展

本日、「第24回 日韓三大学 デザイン 美術 交流展」のオープニングセレモニーがこの芸大で行われました。
大阪芸術大学理事長をはじめ、弘益大学理事長らが、この秋晴れの中テープカットをされ、いよいよ交流展の開幕です!

「日韓三大学 デザイン 美術 交流展」には大阪芸術大学・大阪芸術大学短期大学部・弘益大学校(韓国)の三大学の学生の作品が展示されています。
特別参加として大阪芸術大学附属大阪美術専門学校の学生の作品も!
開催期間:2008年10月21日(火)?27日(月)
時間:10:00?16:00
会場:大阪芸術大学芸術情報センター
 
韓国の学生の作品を生で見る機会なんてなかなかありませんよね。
そこで、早速私も交流展に足を運んできました!
初日ということもあってか、たくさんの学生さんが来られていました。
みんな興味津々という感じで、友達と色々意見を言いながら真剣に見ていましたよ。

どんな作品があるかというと、ブログでは紹介しきれないぐらい、バラエティーにとんだたくさんの作品がありました。

中でも興味深かった作品は、音に反応して動くもので、手をたたくとパネルのようなものが反応して動き、映し出された映像も動くというような作品でした。
 
展覧会というと、私は単純に平面の絵を想像してしまうのですが、ガラスや布、アルミ、映像などほんと色々な素材を使った作品があり、こんな表現の仕方もあるのだなと考えさせられました。

もうひとつ、おもしろいなぁと思ったことは、作品を見たとき、なんとなく日本の学生の作品か韓国の学生の作品かがわかることです。
やはり国それぞれの特徴が芸術にも出てくるのでしょうか?
みなさんもぜひこの機会に交流展に足を運んでみてはいかがでしょうか。
なにか発見できるものがあるかも・・・。

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2008年10月18日

その鍵を握るのはアナタ

本日まで総合体育館ギャラリーでは留学生作品展示会The key of understanding」が開催されていました。
第8回 留学生作品展示会
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日(火)からの開催で今日までの4日間(15日は創立記念日のため休廊)という短い日程の開催でしたが、たくさんの来場者があったようです。
第8回 留学生作品展示会
会場は絵画あり、イラストあり、写真あり、建築作品あり、染織作品あり、マンガあり、プロダクト作品ありと非常にバラエティに富む内容です。たくさんあった作品のいくつかをご紹介します。
第8回 留学生作品展示会
第8回 留学生作品展示会
留学生と日本人の学生がお互いの文化を知り、相手に対する理解を深めるという趣旨で毎年開催されているこの展覧会は今年で数えること8回目。年を追うごとに、企画や空間構成、作品
レイアウトも充実してきたように思います。
第8回 留学生作品展示会
第8回 留学生作品展示会
留学生会会長の金元さんは挨拶の中で「今まで行った7回の展示会に対する評価はそれぞれだと思いますが、やはり経験不足、不慣れなことが原因で慌てていたり、色々失敗もたくさんありました。でも試行錯誤があったからこそ今年の展示会は前回とはまた違うすばらしい展覧会になったのではないか」と語られています。
第8回 留学生作品展示会
第8回 留学生作品展示会
本当は留学生だからどうだとか、年齢が違うから、学科が違うから、男だから、女だからとかではなく、ただ「同じ時代に芸術を学んでいる」という一点だけで繋がって、刺激しあえることが理想だと思います。
第8回 留学生作品展示会
でも日本人の在校生は、しっかりこの展覧会を見ておいて欲しかったと思います(このブログでもっと早く紹介できればよかったのですが・・・スイマセン)。というのも、留学生の方々は、言葉の壁を越えて芸術を学ぼうとしている分、苦労も多いと思います。自分達がもし日本ではない国に留学して芸術を学ぼうとするときに、「覚悟」というか何と言うか、心の中に沸々と湧き上がってくるであろう「逞しさ」のようなものって想像できます?
第8回 留学生作品展示会
私も体験したことはありません。でも自分から進んで刺激を受けようとする「勇ましい」気持ちはきっと自分を成長させてくれるような気がします。そんな気持ちを想像しながら作品を見るとまた違った刺激も感じ取れるはず。

金元さんの挨拶は「今年の展示会が微力ながら日本の皆さんと私たちがお互い理解し合って新しい世界を目指すための出発点になれたらと思います」と続き締めくくられています。
これがきっかけになって留学生の皆さんと日本人の学生さんが協力して開催する展覧会などが企画されれば素敵だと思います。

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