2008年3月30日

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展

昨日、「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」に行ってきました。
開催は本日30日で終了です。終了一日前というギリギリになりましたがやっと行くことができました。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展
桜も咲いて暖かくなったはずなのに「花冷え」ともいえる寒さのなか、はじめて滋賀県立近代美術館に行きました。木々に囲まれた美しい風景の中に溶け込むようなデザインの建築物でした。今回のこの企画展のポスターをデザインされた先生が評価されていたとおり素敵な美術館です。
滋賀県立近代美術館
ヴォーリズ展は本学の博物館主催でも行われたことがありましたので見たことはありましたが、ヴォーリズ本人が愛した近江八幡の土地で開催されることと、ヴォーリズが建築設計事務所を開業してからちょうど100年にあたる2008年に開催された意味を考えると、「ちょっと遠いけど行ってみよう」って気になるのに時間はかかりませんでした。(招待券ももらってましたし・・・。)


手描きのスケッチや図面、模型などでヴォーリズの理想とする建築空間が説明され、絵画、書画、写真、印刷物などで辿るヴォーリズの思想、活動など見所満載の展覧会でした。
きっとインスピレーションのままにササッと描いたであろうスケッチが建築のファサードとして立面図に記される過程が見えてくるようでした。
よく知っている大丸大阪心斎橋店の建築意匠がデザインされた当時の手描きの資料をみることができたとき、ピンときたことがあります。ポスターやチラシに使われている「1」「2」「3」「4」「5」の数字は、大丸のエレベーターの扉の上に設置されているパネルの「階」を示す数の意匠だったこと。(気付くの遅いって。)
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展
あの豊郷小学校の階段の手摺にある「ウサギと亀」の写真があったり、神戸女学院の図書館のデザインなど、どこか可愛らしさや、やさしさを多く感じることができる学校建築はヴォーリズの持っていた理想を垣間見ることができる作品だと思います。

ヴォーリズが「住宅」をテーマにした講演の記録として出版された『吾家の設計』も展覧会で紹介されており、そのなかで印象に残ったのが、
「台所と寝室があれば家です。けれども、家とホームは違います。居間ができて初めてホームの資格があるのです。」
少し語尾などは違うかもしれませんが、こんな意味の言葉が私にはなんだか考えさせさせられました。自分の家のことを考えてみて、台所・・・ある。寝室・・・ある。居間・・・ある。ということは資格はあるんだなぁ・・・。でも・・・。そう、単に資格があるだけでそれは「ホーム」として良いものにはなっていかないんだなぁ。(これまた気付くの遅っ!)。ヴォーリズはこのほかにこの講演の中で「食卓には花を絶やさないようにしたい」とか、建築と生活が調和していくためのお話をたくさんしたようです。住宅建築をやりたい人は必ず読んでおきましょう!
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展
そうそう、この展覧会に展示されているものの他、ヴォーリス建築の図面やスケッチのほぼすべてが大阪芸術大学で保管されていることはとても誇らしいことです。本学では山形政昭教授がヴォーリズの研究をされていて『ヴォーリズ建築の100年』や『ヴォーリスの西洋館』などの著書などがあります。本の中では大正から昭和初期にかけて優れた建築を残したヴォーリズの手書きのスケッチや図面を紹介しながらその建築の魅力を伝えています。

現在、大阪芸術大学博物館事務室では「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」を計画中(2008年・秋)です。皆さん楽しみにしててくださいね。

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2008年3月21日

G2

ガラス工芸コース・2期生 卒業制作展
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展 
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展 
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展 
ガラス工芸コース 2期生 卒業制作展

工芸学科ガラス工芸コース第2期生卒業制作展に行って来ました!!

2月に大学全体で卒制展を実施しましたが、今回はそれとは別でガラス工芸コース4回生が企画・運営をしたガラスのみの展覧会。
第2期生は総勢27名。

場所は
「兵庫県立美術館 王子分館
             原田の森ギャラリー

お昼前に到着、しばし作品鑑賞。ギャラー内はとても落ち着ける空間です。個人的にガラスの展覧会に行くのは初めて。
期待が膨らむ瞬間。

作品は私の想像と違っていて、良い意味で裏切られました!ガラスのみで表現されたもの、その他の素材(木、金属等)と組み合わせたものと多様。また大きさ、フォルム、透明感の違いや作者それぞれのテーマ、作品制作への想いと…とじっくり見れば見るほどに強く引き込まれてしまいました。

この日、企画・運営・展示に携わった、上前 功夫さんに話しを聞くことが出来ました。

昨年、1期生が初め同様の展覧会を開催。先輩に続け!と2期生も企画。全て学生のみで運営。4月からの準備では色々な事があったとか…。自身の作品制作と並行しながら、みんなとの話し合いなどなど。(会場決定、レイアウト、DM、キャプションデザインetc…)

でも、今回はガラスコースのみの展覧会。自分たちが納得いく展示になったそうです。(と、いうのも大学全体の卒制展では、展示等の面で、どうしても他学科との調整が入り、自分たちが思う100%ものは作るのが難しいと・・・。)来場者の反応、感想も良い刺激になったとか。

展示物で目をひいたのは会場入口付近にあった「吹きガラスの道具」自由に手にとってみることが出来ます。これが結構、重い!みんな力持ち??

この4回生達…。明日が卒業式です。
ガラス工芸コースで学んだものを、今後、どのようなカタチで表現していってくれるのか、楽しみです!

開催期間は今日3/21(金)まで。

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2008年3月13日

日仏交流150周年記念 スペシャルイベント

日仏交流150周年記念 スペシャルイベント
去る34日、『日仏交流150周年記念・京都パリ姉妹都市盟約締結50周年記念スペシャルイベント』がフランスのルーヴル美術館で催されました。
このイベントに招待されていた舞台芸術学科の一行が37日、無事帰国いたしました。

日仏交流150周年記念 スペシャルイベント

このイベントは『ルーヴル美術館における「京都・大阪」関西の伝統美』と題されたもので、人形浄瑠璃文楽が披露されたり、「風神雷神図屏風」をはじめとする国宝や重要文化財などの展示の他、日本料理人、神田川俊郎氏プロデュースによるビッフェも企画された日本の芸術と関西の文化も触れることができる画期的な催しだったようです。

日仏交流150周年記念 スペシャルイベント
ナポレオンホールでは、京都の着物や帯の展示、文楽人形や三味線の展示の他、裏千家による茶道の実演や、リュート奏者のコンサートがあったり、日本の焼酎によるスペシャルカクテルを飲むことができたりと、盛りだくさんな企画の中、大阪芸術大学・舞台芸術学科舞踊コースよるバレエ「Harmonic Garden」も披露されました。
[構成・振付:堀内 充先生、衣裳デザイン:倉岡 智一先生]

国と国とを繋ぐ国際的なイベントに招かれ、芸術や文化の拠点ルーヴルでバレエを披露できるとはなんとも名誉なことです。10名の舞踊生たちも非常に良い経験になったことだろうと思います。

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2008年3月10日

大阪芸術大学 第29回オペラ公演 『魔笛』

先週土曜日、アルカイックホールで行われた「大阪芸術大学 第29回 オペラ公演 -魔笛-」。

今回のブログは、大学院・芸術制作専攻(器楽)の矢野実加さんからこのオペラ公演の感想を投稿いただきました。

矢野さんは、3月2日のブログで紹介いたしました「音楽の花束」という大学院・1年次生のコンサートに出演されていた方です。
投稿、どうもありがとうございました。

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第29回オペラ公演 「魔笛」

行ってきました「魔笛」!!
毎年3月に行われている学外オペラ公演ですが、今年は舞台芸術学科の協力を得て、例年とは一味違う舞台に仕上がっていました。

何より驚かされたのが、王子タミーノを襲う「大蛇」!!一般的には巨大なかぶりもの()で登場しますが、今回は舞台芸術学科舞踊コースの三名が銀の全身タイツでクルクルと激しく舞う事によって表現されていました。色んなアプローチの仕方があるんだな、と目からウロコでした!

タミーノの魔笛の音で集まってきた動物達も舞踊コースの四名で演じられ、洗練された印象を受けました。そして「魔笛」はジングシュピール(歌芝居)なので曲間では演劇の要素もありますが、今年度はコミカルなキャラクター性がよく引き出されていてとても楽しめました。特にモノスタトスの手下が生き生きとしていてよかったです
セットの美しさもすばらしく、夜の女王の登場では舞台上方から舞台下方のオーケストラピットの内部までが星のきらめきに包まれ、それはまさに夢の世界!!あまりの美しさにため息が出ました。

もちろん、演出だけでなく演奏もすばらしかったです。夜の女王の娘パミーナは1幕、2幕どちらも透明感のある歌声で魅力的でした。夜の女王の侍女、童子それぞれのハーモニーも美しく、パパゲーノ、タミーノをはじめとする男性陣もステキな歌声でした。合唱もまとまりがよく、出演者全員が一丸となって舞台を作り上げる姿勢には感動しました!!

音楽系学科だけではなく、他学科と協力し合えるのが大阪芸大の魅力。今後もどんなステキなイベントが行われるのか目が離せません

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2008年3月7日

扉を開けて・・・ ?《乙女》の衝動?

町田夏生展 ?《乙女》の衝動?
 
乙女の衝動

乙女の衝動

町田夏生展 ?《乙女》の衝動?

乙女の衝動

乙女の衝動 

 

先日、221日付けのブログでお伝えしたように

1月に開廊したYOD Galleryでは、開廊第2弾として、「町田夏生展 ?《乙女》の衝動?」が開催されています。(2005年大学院芸術制作研究科修了)

まずYOD Galleryに近付くと、外壁に大きくかたどられた幅4m近くの壁画に驚くと同時に惹きつけられます。ガラスの扉からは、ギャラリー内にそれ以上に大きく壁一面に広がる乙女たちが垣間見えます。通りすがりの見ず知らずの人々も老若男女、思わず扉を開けて入らずにはいられない、そんな衝動にも駆られます。それが、第一のねらいだと町田さんは話してくれました。現代美術が、一般の人々にとって遠い存在なのではなくて、本当に色々なより多くの人たちに見て欲しい。そんな思いもあるそうです。

一旦、扉を開けて中に入るとそこはまるで別世界、乙女たちの住み処です。同じ乙女は一人もいない、似て非なるそれぞれ個性豊かで耽美なまでに魅力的な乙女たちです。乙女たちはこの空間に確実に息づいています。愛を、夢を、そして憧れを自分のものにしようと命懸けです。油断しているとあなたの心も食べられてしまうかもしれませんよ。
さあ、扉を開けて・・・お入りください。

町田さんは、大阪芸術大学の美術学科のときも大学院のときも学科を越えて色々な人たちと交流を持ち、一緒に展覧会を企画するなど、幅広い活動を繰り広げていたそうです。建築学科に面白い先生がおられると聞けば、ドンドンと研究室のドアを叩いてはじめましてと訪ねて行く、それは、時に芸術計画学科の学生さんであったり、映像学科の院生さんだったり・・・。ありとあらゆる分野の才能たちとコラボレーションすることで、色々な感性を磨いて行ったようです。とにかく、展覧会をすることが勉強になると語っていました。まさに総合芸術たるべき芸大ならではの醍醐味です。キャンパスのあらゆる場所を有機的空間として捉えて数多くの展示を行い、芸大の利点を最大限に生かしたことで、学生時代にまったく悔いはないと爽快に笑ってくれました。

とてもきれいな色合いで描かれた乙女たちに染めの手法に通じるものを感じました。町田さんにお聞きしたら、図書館で古代文様や染色の本が気に入ってよく見ていたところ、就職課の求人票で友禅染めの会社を見つけたので、就職して、1年半程働いていたそうです。その経験を基に染めの手法を生かしつつ、それを崩して独特の美しい世界観を築いています。

是非、足を運んで溢れんばかりの《乙女》の衝動を体感してください。誰の心の中にも《乙女》のはあるはずです。

町田夏生展 ?《乙女》の衝動?
 3
4日(火)→322日(土)
11:00
?19:00 日・月曜日 閉廊

YOD Gallery
http://www.yodgallery.com/

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