昨日、「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」に行ってきました。 開催は本日30日で終了です。終了一日前というギリギリになりましたがやっと行くことができました。
桜も咲いて暖かくなったはずなのに「花冷え」ともいえる寒さのなか、はじめて滋賀県立近代美術館に行きました。木々に囲まれた美しい風景の中に溶け込むようなデザインの建築物でした。今回のこの企画展のポスターをデザインされた先生が評価されていたとおり素敵な美術館です。
ヴォーリズ展は本学の博物館主催でも行われたことがありましたので見たことはありましたが、ヴォーリズ本人が愛した近江八幡の土地で開催されることと、ヴォーリズが建築設計事務所を開業してからちょうど100年にあたる2008年に開催された意味を考えると、「ちょっと遠いけど行ってみよう」って気になるのに時間はかかりませんでした。(招待券ももらってましたし・・・。)
手描きのスケッチや図面、模型などでヴォーリズの理想とする建築空間が説明され、絵画、書画、写真、印刷物などで辿るヴォーリズの思想、活動など見所満載の展覧会でした。 きっとインスピレーションのままにササッと描いたであろうスケッチが建築のファサードとして立面図に記される過程が見えてくるようでした。 よく知っている大丸大阪心斎橋店の建築意匠がデザインされた当時の手描きの資料をみることができたとき、ピンときたことがあります。ポスターやチラシに使われている「1」「2」「3」「4」「5」の数字は、大丸のエレベーターの扉の上に設置されているパネルの「階」を示す数の意匠だったこと。(気付くの遅いって。)
あの豊郷小学校の階段の手摺にある「ウサギと亀」の写真があったり、神戸女学院の図書館のデザインなど、どこか可愛らしさや、やさしさを多く感じることができる学校建築はヴォーリズの持っていた理想を垣間見ることができる作品だと思います。
ヴォーリズが「住宅」をテーマにした講演の記録として出版された『吾家の設計』も展覧会で紹介されており、そのなかで印象に残ったのが、 「台所と寝室があれば家です。けれども、家とホームは違います。居間ができて初めてホームの資格があるのです。」 少し語尾などは違うかもしれませんが、こんな意味の言葉が私にはなんだか考えさせさせられました。自分の家のことを考えてみて、台所・・・ある。寝室・・・ある。居間・・・ある。ということは資格はあるんだなぁ・・・。でも・・・。そう、単に資格があるだけでそれは「ホーム」として良いものにはなっていかないんだなぁ。(これまた気付くの遅っ!)。ヴォーリズはこのほかにこの講演の中で「食卓には花を絶やさないようにしたい」とか、建築と生活が調和していくためのお話をたくさんしたようです。住宅建築をやりたい人は必ず読んでおきましょう!
そうそう、この展覧会に展示されているものの他、ヴォーリス建築の図面やスケッチのほぼすべてが大阪芸術大学で保管されていることはとても誇らしいことです。本学では山形政昭教授がヴォーリズの研究をされていて『ヴォーリズ建築の100年』や『ヴォーリスの西洋館』などの著書などがあります。本の中では大正から昭和初期にかけて優れた建築を残したヴォーリズの手書きのスケッチや図面を紹介しながらその建築の魅力を伝えています。
現在、大阪芸術大学博物館事務室では「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」を計画中(2008年・秋)です。皆さん楽しみにしててくださいね。
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