2013年2月28日

藤見知佳展 番画廊

藤見知佳さん(美術学科卒)の展覧会が6月4日から9日まで行なわれました。
藤見さんは「食」をテーマに制作をされているようで、アーティストからのコメントは「食に対して関心があります。取り入れ吸収する物が変われば身体、人格も日々変化していきます。私にとって、食べること、食べる環境が大切ですし、自らも日々変化を感じます。皆さんには今晩の一品にフジミ隠し味を一振り加えて感じてもらいたいです」とのことでした。

0228_1.jpg画面いっぱいにクローズアップされた少女の顔が描き出されています。少女の頭には、巻き寿司が三本、下のほうには握り寿司などが描かれています。
少女は指をくわえながら羨望のまなざしで遠くを見ています。少女のまなざしは、お寿司に向けられていることは想像できますが、少女の視点上にそれはありません。
お寿司は少女の身体の一部としてあり、身体と切っても切り離せないように思えます。作品は「好きなものは自らの身体を構成している」と主張しているように思えます。「食」を描く絵画の歴史は古く、バロック絵画などが食の楽しさを生き生きと描いていたと思います。
藤見さんの作品は、この作品にも見られるように「食の楽しさ」だけではなく、「食のグロテスクさ」も前面に出ています。
緑色の二人の子ども、その子どもの前には目玉焼きが浮遊しています。この作品は、子どもの顔色から気持ち悪さが伝わります。

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食べ物であるはずの目玉焼きが空飛ぶ円盤のように見え、子ども達の眼を隠しています。子ども達の眼は目玉焼きのイメージと重なり、眼が目玉焼きの形の眼として入れ替わります。そして二人の子どもは、かわいい子どもではなく宇宙人のようにも見えます。
この作品も食べ物が身体の一部になり、その体の表情を構成しているように思えます。
この作品はお寿司に埋もれた幼児の顔です。まさに、鼻の穴にそれがつまり口で息をする表情が苦しくもあり喜びのようにも見えます。
藤見さんの作品は視線上に食べ物がなく、身体と密着していることで「食べる行為」と同様に、視覚性より触覚性の強い表現だと感じました。

0228_4.jpg作品の背景は、青系の色彩を淡く使用し、点描で円形の図形が並んでいます。これは巻き寿司を抽象化し画面構成しているそうです。
藤見さんの「食」を描くことは、食べ物に対する「至福感」があり、その至福の表現が「身体のグロテスクなイメージ」を作り、完成した絵画からは「笑い」が感じ取れる作品であったと思います。

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室 


2013年2月23日

最新ゆとりスタイル

芸術計画学科3回生の進級制作展が行われているので紹介します。
2013年2月14日(木)から26日(火)まで、大阪市阿倍野区のギャラリー流流とPeephole Theaterで「最新ゆとりスタイル」が開催されています。この展覧会は芸術計画学科3回生のゼミ「卒業計画」の作品発表として行われています。参加者は高橋彩(企画・広報)、田中真由美(映像)、谷本亜利紗(立体)、田野光希(映像)、田村莉奈(映像)、西尾泰広(映像)、藤本太一(写真)、村上真平(テキスト)、上瀬留衣(コラージュ)、芳沢朋美(映像、写真)、大橋勝(コラージュ)の学生8名、教員・副手3名の計11名です。ここで発表されている学生作品は卒業研究・卒業制作にむけての実験作品や習作として制作されていますが、その多くが既に鑑賞に堪えうる強度と内容を兼ね備えています。
 

藤本太一の作品は「廃墟」を撮影したルポルタージュ写真です。彼は廃墟に備わる不気味さや、自然に浸食されていく人間の活動の痕跡などに惹かれ、その感覚を写真に収めようと撮影を行っています。今回は大阪で撮影した写真6点を出品しています。

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谷本亜利紗の作品は緊縛をテーマとしています。写真の中の人物、フォトフレームの中、トルソなどが様々に緊縛されています。

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田中真由美の映像作品『Reunion』はステージドフォトを映像化したもので、耽美な世界を表現しています。

reunionimg.jpg

2月16日(土)には出品者によるギャラリートークと合評、サウンド&映像ユニット「SUSHI BOLT」<本橋龍太郎(映像学科3回生)、大音斗紀世(芸術計画学科2回生)>によるパフォーマンスが行われました。

sushipfm.jpg yutoriexhibit.jpg
 


dm.jpg「最新ゆとりスタイル」
会場:ギャラリー流流、Peephole Theater
会期:2013年2月14日(木)から2月26日(火) 午前11時より午後7時まで 水曜日休み

大阪市阿倍野区丸山通1-2-2
電話:06-6656-8184
地下鉄谷町線「あべの駅」より徒歩8分
地下鉄御堂筋線/JR「天王寺駅」、近鉄「大阪あべの橋駅」より徒歩13分
ギャラリーHP http://ru-pe.com

 

投稿:大橋勝先生(映像学科)


2013年2月18日

恐怖教室:大阪芸大文芸学科講義

20130218.jpg学生たちといっしょに悪ノリして、今年度の文芸学科の講義でレポートとして提出された短編小説を集めて電子出版してみました。
先月末に集めて、二週間後にはもう世間に出る。この即興性、即応性が電子出版の新しい可能性。音楽のアドリヴ演奏のように本が作れます。
専門の大学でどの程度のことを教えているのか、オープンにして
いくことも、今後は重要になるでしょう。惹句は以下の通り。ぜひみなさまもお楽しみください。(といっても、世間のkindleの普及率が低すぎてなぁ。。。)

http://www.amazon.co.jp/恐怖教室-ebook/dp/B00BF25NYK/

『恐怖教室:大阪芸大文芸学科講義』
純丘曜彰教授博士と大芸大もういや団

「みなさん、これから私はあなた方に恐怖を教えます」
大阪芸大文芸学科で行われたホラーを中心とする幻想文学とその創作論に関する純丘曜彰の実践的講義から生まれた短編恐怖小説のアンソロジー。 メタとハイポ、伏線とミスリードが交錯し、世界の合理性の信頼のゆらぎに真実が垣間見える人間の心の中の底なしの怖ろしさの数々。あなたも御賞味もぜひどうぞ。

1. 床の間の黒い金庫     純丘曜彰
2.もういいかい?       中野真仁
3. 街 遠 し          井上卓也
4. はずれの浮橋        明星悠輝
5. pursuit of beauty     石田恵理奈
6. サヨちゃんと私       木田栄次
7. カオスクライシス      下田正博
8. 沼 男            白鳥幸輔
9. 五月四日          谷口由恵
10. 美 醜            谷崎 慎
11. 冷 笑            松田香織
12. 午後八時四十分     酒造怜子
13. 緑 の 詩         山口 陽
14. 上馬の森のフクロウ   純丘曜彰

投稿:純丘曜彰先生(芸術計画学科)


2013年1月11日

卒業制作展2012 ポスター原画採用作品決定

sugimoto.jpg卒業制作展2012のポスター原画採用作品が決定しました!
大阪芸術大学では毎年、2月に行われる卒業制作展のポスター、DMや作品集表紙に使用する原画を芸大の在学生から募集しています。
今年は応募総数42点の中から、デザイン学科グラフィックデザインコース3回生の杉森 千紘さんの作品が採用されました!
1年生の時にも応募していたものの、成果が実らずに今回またリベンジしたという杉森さんにコメントをいただきました。
「ありがとうございます。3年間勉強してきたことが、このように大きな形になってとても嬉しいです」

 

sotsuten2012poster.jpg今回はどのような趣旨でこのポスターを制作したのでしょうか?
「丸、三角、四角、青、赤、黄、分かりやすい形や色は安心で、すぐに目に付き、親しみを覚えてもらうのではと思いました。
シンプルで驚きはありませんが、人に身近に芸術を感じてもらうという意味を込め、このようなデザインになりました。
自分の個性も生かしつつ、誰からも受け入れてもらえるようなデザインというのが難しくて、今回とても勉強になりました」

副賞の5万円の使い道は「A3プリンターを買います!」とのこと。
「いつも家の向かいにあるコンビニや大学で印刷していました。家にA3プリンターがあると心強いです」

杉森さん原画のポスターは今月中旬からキャンパス内に掲示されます。
卒業制作展は、学内展は大阪芸大構内にて2月16日から24日、学外展はアートコートギャラリーにて2月27日から3月3日まで行われるので、皆さんも是非足をお運びください!
 

投稿:磯野(庶務課)


2013年1月9日

放送学科実習発表会その2

btype5.JPGみなさんこんにちは!
前回のブログに引き続き、今回も昨年の12月12から14日に行われた
放送学科3年生の実習発表会の話題をお伝えします。
アナウンスコースの発表の様子は前回ご紹介したので、今回は制作コース
(ドキュメンタリー実習・オーディオ実習・スタジオ実習・ドラマ実習)と
広告コースの発表の様子を紹介しますね!

まずは制作コース、ドキュメンタリー実習。
ドキュメンタリー実習の発表会では事前に制作された作品が上映されました。
学生がひとり一作品を作り上げているというから驚きですよね!
様々なテーマの作品が盛りだくさんな発表でした。

 

btype3.jpgオーディオ実習ではラジオドラマ作品の発表が行われました。
このラジオドラマ、脚本もオーディオ実習を受講する学生の作品なんですよ。
アナウンスコース3年生の学生がキャストを担当したのですが、
キャスト決めも、オーディションを開催するという徹底ぶり
収録の際もオーディオコースの学生たちが演技指導を丁寧に送る姿が印象的でした。
制作コースの中で唯一映像を使わないオーディオコースですが、
どの作品も聞いているだけでシーンが目に浮かび、改めて音の力を感じました。

btype2.jpgスタジオ実習では
「モンスター報道ステーション -勇者の魔の手がついに-」というテーマで
事前に制作した作品をテレビスタジオで上映しながら学生たちがトークを交え
発表がおこなわれました。スタジオ内でカメラを操る学生や
トークをする学生につい注目してしまいがちですが、
スタジオに隣接する副調整室でも学生達が輝いていましたよ!
それぞれのポジションで仕事をこなすスタジオ実習の学生に憧れた後輩も
たくさんいたかもしれないですね。

ドラマ実習の発表会では学生たちが制作したテレビドラマが上映されました。
脚本から、撮影・編集にいたる全ての作業を
ドラマ実習を受講している生徒が仕上げたテレビドラマは
爽やかできゅんとする場面もある、ほっと心が温まる作品でした。
大学のキャンパス内で様々なシーンの撮影が行われていたので
芸大生の皆さんはそういったところも見ていて楽しめたのではないでしょうか?

btype7.JPG広告コースの発表はテレビスタジオで行われたのですが、
なんとスタジオがホストクラブに変身!
ムーディーな雰囲気の中で行われた発表は広告コースの学生が扮するホストたちが、
次々に来店する個性豊かなお客様にラジオCMを紹介するというユニークなもので
会場のお客さんの笑顔が絶えない発表でした。
発表されたCMも様々な種類のものがあり、私も同じ放送学科の学生として、
素直に「なるほど!」「すごい!」と思う作品がたくさんありました。

 

今回の実習発表会は放送学科3年生の学生にとっては
最後の実習発表会だったということもあり、
どのコースも真剣に作品作りをした成果が現れていたと思います。
3年生で実習は終わってしまいますが、卒業論文・卒業制作に
学んだことを活かしていきたいですね!!

投稿:林 希(放送学科3年生)