2013年3月26日

DAIGEI FILM AWARD 2013

3月16、17日の2日間に渡り、映像学科卒業制作展(学外展)『DAIGEI FILM AWARD 2013』を大阪梅田HEP HALLにて開催致しました。

来年度より映像学科で特撮の授業が開始されるのにあたり、17日にはプログラムに“特撮コーナー”を設け、映像学科出身 GAINAXの赤井孝美さん、東映特撮研究所の小串遼太郎さんをゲストに迎え特別講義『ネギマン×ゴジラ~特撮映画の魅力を学ぶ~』を開催致しました。

トークショーの前には学生が制作した特撮作品に加え、鳥取県米子市を舞台にした赤井さん監督作品『ネギマン』を上映、ホールにも“ネギマン”が登場すると会場からは大きな拍手が起こりました。

トークショーではCG全盛期に特撮を行う意味や魅力などが熱く語られ、スクリーンにメイキングが流れると熱心にその映像を見入る来場者の姿が印象的でした。

投稿:映像学科


2013年3月21日

前田裕之展 (美術学科09卒) 番画廊 8/27~9/1

前田さんの作品は水性木版で制作されています。
モノクロームにより着色されたイメージが幾層にも重なり、濃淡を表出させています。
有機的な形態と縦横に走る直線の交差がこの画面を作っています。 

木版画作品は、版木の木目と材質感が紙に写取られ、その中にどのようなイメージが描かれ着色されているかを鑑賞者は見ます。
前田さんの作品をよく見ると、写取られた版木の肌はべニヤ板の表情をしています。
ベニヤ板にある木目は自然木のものとは異なりまた表面の肌合いも違います。 
私がこの作品を見て感じたことは木版の特徴である木の年輪を、ベニヤ板を有機的に加工しその形を版とし、それを複数回重ねることにより自然木とは異なる年輪を表象しているように感じました。
この作業は、木版の特徴を解体し再構成しているようにも見えます。それに加え縦横に走る線が有機的形態の自由さに歯止めをかけ、画面全体に安定した面を作り出しています。 
有機的な形態の重なりは、形態内が縦横のグリッド線により作られているため、透過し重なり合った状態が見え、重さは感じることはありません。

一つ一つの形態が背景と明確な関係にはないので、それは鑑賞者にとって曖昧なイメージとなって表れます。
空間に関しては、色彩の濃淡により画面に奥行きも知覚されますが、むしろグリッド線により縦横の空間として引き伸ばされます。 
グリッド線を見てみます。規則正しく一定の太さを持った線ではなく、一本の線にも幅の違いや消失が見られます。
これにより画面に柔らかさが生まれ、また作者の手跡らしきものを感じる事ができました。 
作品は56×56・と全て統一され一定の間隔で展示してあることで、ギャラリー内に安定した知的空間を作り出していたと思います。

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室


2013年3月12日

self-portrait(写真・コラージュ・映像による)

芸術計画学科の在校生を中心としたグループ展が行われているので紹介します。本展覧会は大橋勝(映像学科教員)が2012年度に担当した授業課題のうち、セルフポートレイト的性格の作品をセレクトして公開するものです。セルフポートレイト(自画像)とは作者が自らを対象とした肖像であり、美術史においては様々に物語られてきたジャンルです。今回の展覧会では写真や映像などのメディアを駆使したものが多く出品されており、自画像でありながらメディアの他者性に支えられたものになっています。

樫本尚子の作品はデュエマやポケモンカードなどのトレーディングカードを模したデザインで、自らカードのキャラクターに扮しています。

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阪口叶の作品は、ペイントを施した写真を新書判書籍の表紙に貼付けたものです。扉を開けて覗いている動作と、表紙の写真(大阪中心部の風景)が呼応して不思議な印象を作り出しています。

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上瀬留衣の作品『カミセトロピカルイ』は、南国をイメージする写真と自分を組み合わせたコラージュです。エキゾチックでカラフルな図像と掛け軸という形式のギャップが見る人に違和感を与えます。

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日時 2013年2月28日(木)?3月19日(火) 11時より19時まで
   水曜日休み

会場 Peephole Theater、GALLERY流流
   大阪市阿倍野区丸山通1-2-2
   06-6656-8184 http://ru-pe.com/

出品者 石川秀美、樫本尚子、阪口叶、角田航、中村康宏、松原加奈、矢野志音(以上芸術計画学科4回生)、本橋龍太郎(映像学科3回生)、上瀬留衣、芳沢朋美(芸術計画学科卒業生)、大橋勝(映像学科教員)
 

投稿:大橋勝先生(映像学科)


2013年3月9日

横尾和宏展 (美術学科07卒) ギャラリー風

8月23日から9月1日まで、横尾和宏さん (美術学科07卒)の展覧会が、ギャラリー風にて行われていました。 

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ヌラッとした画面とほのかに明るく浮かびあがったイメージから、エロティックな感触が伝わってきます。ほの暗い背景から奇妙な光で浮かびあがるイメージは、肉体の一部を想起させそれを描く筆跡は肉体の表面をなでるようにあります。

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ほの暗い背景とそれより少し明るさを増したイメージ、あるいは背景より暗く同じ暗さに溶け込もうとするイメージがみえます。「地と図」の関係をわずかな明暗で描き分け、また互いの内にもその同質な明暗が同居することにより、画面は僅かながら深みが作られています。その深みは遠近法のように目視で測れるものではなく、手触りの触覚感でそれを感じられるものとなっています。あたかも霧の中を手探りで何かを知覚するように、この絵画は制作されています。

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浮かびあがる肉体らしきものは柔らかな曲線しなやかな曲面で形作られ、背景との接点も曖昧なまま重力も感じず茫洋と浮遊しています。時折みせる赤黒いラインが茫洋とする空間に滲みながらも、画面に釘を刺すようにあり鑑賞者のまなざしを一瞬留めるように存在します。この赤黒い存在は何なのか、まなざしを多様な世界へ導くための徴でもあるような気がします。

深遠であり、また原初の形態に触覚的エロティシズムが感じられる絵画であったと思います。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室


2013年3月2日

+me Vol.3   海岸通ギャラリーcaso

601083_283080058457380_70265747_n.jpg6月19日から24日までグループ展が行なわれ若狭倫一さん(芸術計画学科05卒/大阪教育大学大学院07修了)が参加されていました。

若狭さんの作品は、アメリカンコミック、映画のキャラクターやプロレスラーのイメージをステンシル技法により制作しています。
ステンシル技法とはシートにイメージの輪郭線を切り取り、そこに開けた部分から着色していく方法で、ポップアートのリキテンスタインなどのアーティストが使用していた技法です。
私達が日常経験できるのは、道路に描かれた「止まれ」などの交通表記などがその技術により制作されています。

若狭さんの作品は、イメージや制作方法から考えると1960年代のアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインでよく知られたポップアートに類似しますが大きく異なる所もあります。
ステンシル技法は、版画のシルクスクリーン技法と類似し明確なイメージを表現制作するのに有効な手段です。イメージがカラフルでくっきりと背景から分離することができます。

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若狭さんの作品は、イメージをくっきりさせた後もう一度白くブラッシングし隠そうとしています。この作法に、当時の抽象表現主義からポップアートへのせめぎ合いを見ることができます。

同時代的周知のイメージを利用するのがポップアートであるならば、若狭さんは1960?70年という時代をリスペクトするイメージを引用しています。
イメージの上にさらに筆痕を残し、画面全体をぼんやりとした表面に仕上げられたこれらの作品は「記憶の痕跡」を体験しているようでもありました。

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報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室