2014年2月6日

―The Forms of Light― CUBIC GALLERY  12/16-26

この企画の展覧会は、ギャラリー主宰今林幹雄(芸術計画卒)の大芸在学の学生を育てることを基本とした展覧会である。
参加者9名のうち2名が学部在学生、1名が大学院生、それ以外卒業生等で構成されている。


学生は卒業後、どのようにしたら制作を続けられるかという不安がある。
その不安に対し一つの答えとして今林氏がこのような展覧会を提案した。
卒業前からギャラリーという制度と多くのアート関係者と関わることにより、卒業後の制作発表の機会や制作の持続が可能になるだろうと考える。
今回の展覧会において、今林氏は事前に多くの在校生の作品を鑑賞し学生と討議しながら作品を選抜した。
学生が早くからアート界に進出できることは望ましいことだと思う。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室


2014年1月23日

浅野綾花展  ギャラリーH.O.T   12/9-21

天井まで3m以上はある壁面に、レモンイエローの大きな円が現れる。
その円は市販されているパイン飴の集積で形作られている。
横の壁には、壁一面に詩が描かれている。その大きく描かれた詩は、意味を伝えるだけではなさそうである。

 

詩を読むと壁に展示されたパイン飴の使用方法が受け取れる。
「あの人の涙を飴玉に見立てています」という内容は、鑑賞者一人一人の物語にコミットしてくる。
鑑賞者は展示してあるパイン飴を壁から外し口の中へ。視覚から触覚へ

フェリックス・ゴンザレス=トイスの作品を思い浮かべるかもしれない。
しかし、浅野さんの銅版画には常にイメージとともに詩が描かれてきた。
今回の試みは銅版画の拡張といえる。

 

パイン飴は詩の内容とは程遠いような味にも思うが「舌で転がす数分間」この飴玉が口の中にある違和感において私的内的宇宙を想起する時なのだろう。
今・ここに、の現実を切り離し、いつか・どこかを連想するための装置としての飴玉かと思う。

 

市販のパイン飴を選択した理由は造形的展示的理由もあるという。
壁に貼るという展示においてこの飴の形状が良かった。
パイン飴はドーナツのように円が内と外にあるその集積の形態も円となり、この作品は三つの円の構成で成り立っている。

偶然だろうか、パイン飴のさわやかな透明感あるレモンイエローと詩を歌う精神が軽やかですがすがしい空間を演出していた。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室


2014年1月21日

大阪芸術大学 オープンキャンパス グッズデザイン募集締切迫る!!

みなさん、大阪芸大のオープンキャンパスで来場者にプレゼントしている大阪芸大オリジナルグッズのデザインを在学生から公募していたことはご存知でしょうか??
今年もそのデザイン募集の時期がやってきました!!
昨年のグッズはマルマン(株)製の「クロッキー帳」でしたが、今年は(株)エトランジェ・ディ・コスタリカ製の「パスケース」です。
(株)エトランジェ・ディ・コスタリカは大手の文具メーカーで、ノートやペン等いろいろな種類の文具を作っていますので、みなさんも一度は目にしたことがあるでしょう。

なお、このデザイン募集についての募集要項は本学内の11号館1階エントランスホール、10号館1階ホール(デザイン学科棟)に設置しています。
デザイン作成用のテンプレートは「http://gdpinfo.jimdo.com」からダウンロードし、完成されたデザインを「goodsdesignproject@gmail.com」にメールで送ってください。
募集資格は、大阪芸術大学(大学院含む)の在校生に限ります。
データ形式は、イラストレーター(AI)またはフォトショップ(PSD)(いずれもバージョンCS5以下)でお願いします。
デザインの募集締切日は2月11日(火)です。
ひとりで何作品応募してもOKですので、どしどしふるってご応募ください!

投稿:入試課


2014年1月18日

前田要治展 (美術学科80年度卒)ATELIER TODAY Caf?&gallery 1/11-

パーケルという布に綿を入れ膨らませ提示した絵画作品である。
前田さんはこの作品で大学時代にデビューし、数々の美術展で入選入賞を繰り返していた。


当時はミニマルアート、コンセプチュアルアートの影響が残る中、ニューペインティングという新しい美術の動向が始まろうとしていた。
その頃前田さんは平面と立体の間の領域の表現に興味を抱きこのような作業を始めた。


コンセプチュアルアートやミニマルアートの限界の中で、当時の日本の美術はイリュージョンの復活を試みていた。
前田さんの作品は最小限の表現方法を用いてはいるが、レリーフ的な部分と平坦な面が同質の素材により、鑑賞者は奇妙な錯覚に陥る。

前田さんが語るように、布を糸で縫い上げた絵画は、糸を外すとまた一枚の布に戻るという絵画的というよりは工芸的である。
同時期1枚の布から服を作ることをコンセプトにしたファッションデザイナーの三宅一生がいた。

近年の作品は二枚の布の間を見せるという絵画になっている。
ブルーの顔料を一枚目にのせ、二枚目の布に転写させそれを切り開き内側をみせる作品である。
ブルー顔料は粘着性が弱く流動的である。
二枚の間にあった顔料は、表面の布を切り裂くことにより、内が外へと移行し平面を反転させることになる。

最後に、会場に提示してあった前田さんの文章を記載する。
『絵画への反発から作りはじめた作品だが、大学の卒業制作で研究室賞を受賞。
「美術学科の問題児」などと言われながら、評価していただいた、当時の理解ある大学の美術の先生方に今も感謝している。』

報告 教養課程講師加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室


2014年1月9日

家舗るりこ展 (美術学科03度卒)番画廊 12/2-7

単一で硬質な色調とグラデーションの画面、その画面にくっきりとした白い空間が横たわる奇妙な絵画を体験した。

単一色で描かれたイメージはデカルコマギー技法により制作され、偶然に生み出された形から作者は直感的に具体的なイメージを想像し、それに加筆し画面を作り上げる。
奇妙で不可思議なイメージを浮かび上がらせるこの絵画は、シュールレアリスム絵画のような印象を受ける。

しかしそのイメージを遮るように画面を横切る白い空間がある。何も描かれていないむしろ白く描かれたと考えてよいこの像は何か。

 

この白く描かれた像は奇妙な植物形態を感じさせるイメージ部分と折り合わない。
しかし、作品を体験し続けると意味を持たないと思われた色と形はむしろ理性的図像として表れてきた。
それはなにか意味があるように見え、そして植物イメージとは無関係にある。

 

白く描かれた像は背景や図に置き変わることなく植物イメージと対等にそして無関係に存在している。
偶然の仕草から生まれてくる具象的イメージと幾何学的で虚無感溢れる像が無関係であることにより、鑑賞者はこの異なる二つのイメージを享受しようと努力する。
そのためこの絵画から眼を離すことができなくなる。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室