2015年4月30日

ART&DESIGN FORUM+EXHIBISTIONを開催!

明日から5月がスタートします。
5月に入ればさっそく、5連休もしくは4連休という人も多いのでは?
また、大阪芸術大学ではオープンキャンパス第1回をはじめ、イベント盛りだくさんの月です。
今日は、藝術研究所から、5月に行われる注目のイベント情報が届きましたので、お知らせします。

***

この度、大阪芸術大学ではアートとデザインへの関心を深めていただきたくART&DESIGN FORUM+EXHIBITIONをスカイキャンパスにて開催いたします。

セミナーは主に大阪芸術大学教授を中心に、ゲスト講師も招き「少し未来のはなし」と言うテーマのもとに実施いたします。
参加をご希望の方は下記URLよりお申込みください。

https://www.osaka-geidai.ac.jp/geidai/form/mail.cgi?id=artdesign2015

なお、参加費は無料です。
大阪の景色も一望できるあべのハルカス24階スカイキャンパスで、アートに触れる5月の行楽シーズンを過ごしませんか。
皆様のご来場をお待ちしております。

ART&DESIGN FORUM+EXHIBITION

連続セミナー
5月 9日(土)14:00~15:00 福原成雄(造園家)
5月10日(日)14:00~15:00 岩崎富士男(クリエイティブディレクター)
5月12日(火)18:00~19:00 三木健(グラフィックデザイナー)
5月13日(水)18:00~19:00 喜多俊之(プロダクトデザイナー)
5月14日(木)18:00~19:00 山野宏(硝子作家)
5月15日(金)18:00~19:00 絹谷幸二(洋画家)
5月16日(土)14:00~15:00 里中満智子(漫画家)
5月17日(日)14:00~15:00 コシノヒロコ(ファッションデザイナー)
5月19日(火)18:00~19:00 市野年成(陶芸家)
5月20日(水)18:00~19:00 織作峰子(写真家)

展覧会
日時:5月9日(土)~ 5月20日(水) 11:00~19:00
(但し月曜日は休館)
場所:あべのハルカス24階 大阪芸術大学スカイキャンパス

お申込み・お問い合わせ先
大阪芸術大学藝術研究所事務室
〒585-8555 大阪府南河内郡河南町東山469TEL:(0721)93-1398  FAX:(0721)93-5746
E-mail:artlabo@osaka-geidai.ac.jp
https://www.osaka-geidai.ac.jp/geidai/form/mail.cgi?id=artdesign2015

>>詳細

投稿:藝術研究所


2015年4月23日

架空のうわさ 2kwギャラリー  3/9-21

亜鶴(美専F10)、岡本竜也(美専F10)、小口智史(美専F10)の3人展である。作品は油画、アクリルガッシュ、シルクスクリーン等でテーマや技法に共通性があるとは思えないがそれぞれの作品は魅力的であった。

亜鶴氏は人の顔を正面からとらえた力強い絵画である。人の顔は背景に溶け込み、強い筆致で存在のありようを問う作品となっている。私が興味を抱いたのは壁面に4点並べられた作品である。暗い闇から現れ消える顔、しかも各部位が溶けたようなイメージ、そこに不気味ながら存在の畏怖を感じた。


小口智史氏の版画は、日用品に異なるイメージを唐突に組合せたシュールでユーモラスな作品となっている。線描と着彩関係が巧妙な仕掛けとなり背景とイメージの境界がずれるような制作をしている。作品がユーモラスだけに終らないのはそのような画面構成をしているからだろう。

岡本竜也氏の作品は、流通しているイメージを背景に拳銃を持つ人物あるいは銃を描かれている。岡本氏の「坦々とするどく、自分の生き方をこびりつかせるように歩いていく男に憧れます」この言葉でこの人物が何であるかが理解できる。この作品は蛍とその光が前景にあり後方に拳銃を持つ人物がいる。双方は無関係にありその奇妙な空間構成により作品を読み解く面白さに出合った。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室


2015年4月15日

くぼみの測量 2kwギャラリー 1/26-2/7

猪原秀彦(F 84)尾柳佳枝(D95)長尾圭(F88)3人のグループ展である。平面と立体が錯綜し、美術やデザイン世界の横断を協働で行っている。

展覧会は各個人の作品と3人の協働の作品が展示してある。このランプは3人で制作している。どこかバランスが悪くたどたどしい、協働作業の本質を見ているようである。


デザイン出身の尾柳氏は版画作品として制作されたイメージを布団のカバーデザインにも転写する。傍らには猪原氏制作のアンティークなライトがある。もちろん双方とも現実に使用することは可能だが、道具として使用するにはひと手間多いように思われる。その手数が面白さかもしれない。


猪原氏の作品は3人の話し合いから生まれてきた形である。現実にバーカウンターとしての機能がありオープニングパーティに使用されたという。作品を見ると、すでに使用されてきた道具の断片が再構成されている。道具には物語があり、各物語が分断し接着している。使用されている道具であったものは身体性が強くまたモノの気配が現れていた。


「個人と共同」(共同は当時の表記)のテーマは30年以上前から提示されている。現在でも重要な研究制作のテーマであり個人制作である3人が、今回は互いに干渉しあう作品を制作している。人間は関係の中に生きている。制作においてもそれは当然のことである。この時の3人が互いに干渉しあい、ここで出合ったものが幾つかの作品として具体化していた。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室


2015年4月7日

橋川昇平展(F08)ギャラリー檜plus  3/2- 7

展覧会場に提示されたテキスト(虚構化器官Ⅶ)を一部引用する。
―気象庁が公開している東京の過去55年分の気象データと画廊内に設置されたセンサーが読み取った気温・湿度・気圧のデータからリアルタイムに映像と音を作っている。皮膚から感覚すること、記憶と照らし合わせること、記憶すること、予測すること。センサーが感知すること、データ化すること、データを検索すること。この作品はヒトと機械をオーバーラップさせることで、そういった当たり前すぎて見失ってしまうヒトの認知の力を視覚化・聴覚化する。そして、そう感覚する力がヒトに備わっていることがヒトと機械が高度に融合しうる可能性を示すと考え制作した。-

ギャラリーがある東京周辺の過去の気象データとセンサーで読み取ったその時その場の情報を一定のアルゴリズムでリアルタイムに変換し、色彩と抽象形態に視覚化し一部の情報は音として同時に体験できる。作品は色彩豊かで軽やかに展開し音は視覚イメージとシンクロしていることが分かる。ワイヤーフレームは映像の中に仮想立体空間を想起させ、またある場面では背景となる多彩な色面に一定の円が心地よくゆれ動く。映像全体が弧を描き変化し続けたり、縦の色面が3柱現れたりと光が作りだす色彩の透明感が伝わり、奇妙な視聴覚体験ができる。

気温・湿度・気圧という皮膚感覚により見出される世界を、過去のデータとのリンクにより個人的気分から共有の環境世界へと繋がる経験をさせてくれ、「今・ここに」が多くのデータの層と予知という想像のリンクする場所に基礎づけられたものであることが理解できた。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室


2015年3月12日

木村敏也展 (F93)  O Gallery eyes 2/2-7

具象絵画と抽象絵画が同一空間にある。多くの鑑賞者は二人展と見間違う。木村氏のコメントを記載する。

―モチーフに定めた対象を観察、分析し、具象的表現方法を用いて制作に取りかかり、先に「外」を描くことによって、対象の「内」を想像し、抽象的表現方法を用いて不過視で内在的なものを形にしていく。「外」と「内」は、相互関係にあり、互いに影響を及ぼし合うという観点から具象的表現方法と抽象的表現方法を用い、一見、相反する形を持つ作品を複数制作する事によって、改めて「内」と「外」の関係性を際立たせ、より強固で普遍的なリアリティを喚起させようと試みている。―


コメントから読み取れるように「外」と「内」つまり視覚的に捉える世界を具象的表現とし内的に感じ取れるものを抽象的表現としているのだろう。人物画とドローイングや滲み表現等を駆使した作品の双方は分野の異なる形式である。その形式意識を外しじっくりみる。何かが見えきた。人物画は奥行きを持たず現実空間にも干渉してこない。画面には微細な膜がいくつもあるよう思える。イメージがふんわり浮かび上がって感じるのである。技法を確認すると画面には透明感のある絵具を何層にもわたり塗られていた。この技法がイメージを浮かび上がらせていたのだろう。抽象的表現作品はその技法は使われていないがモノクロームの色調の差により同じ感覚が得られる。


木村氏の作品は絵画の本質的問題「制作者と鑑賞者が同じ位置に立つ」ということを探っているように思えた。だから「私が描いた」ではなく「私たちあるいは人間が描いた」ということ。それが「普遍的なリアリティ」と繋がるのだろう。


作品制作には非常に冷静な態度ではあるが、展示方法はかなり挑発的であり、具象抽象という分野を規定している約束事に気づかされた。

写真提供:Oギャラリーeyes

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室