2009年1月6日

シェル美術賞展2008 京都展

本日から始まったシェル美術賞展2008<京都展>に行ってきました。京都に近づくにつれ少しずつ肌寒くなっていきましたが、スッキリ晴れた京都はとても気持ちよかったです。地下鉄・東山駅を出て白川に沿って平安神宮へ。
平安神宮 大鳥居 京都市美術館 表参道 神宮道
神宮道の大鳥居をくぐって左手の京都市美術館・別館に向かいます。
京都市美術館 別館
シェル美術賞は美術作家の登竜門と評されています。今回の展覧会では応募作品1,700点から厳選された受賞・入賞作品44点が展示されています。これまで
ブログでも紹介してきましたが、本学の出身者4名の作品が見れるということでとても楽しみにしていました。
シェル美術賞2008 京都展
>11月11ブログシェル美術賞2008
>>>12月6ブログシェル美術賞2008続報

若手作家の作品展などを評するときによく「瑞々しい」という言葉が使われることがありますが、これまで自分ではそのニュアンスが良くわかりませんでした。でも今回の展覧会を拝見しまして「“瑞々しい”っていうのはこういうことなのかな」と思えるような感じがありました。
シェル美術賞2008 京都展 京都市美術館
『遠回りではない。ただ遠かっただけ・・・』。作家の方々のコメントを読んでいくと「これまで紆余曲折あったんだなぁ」と思わせるものなどがありました。それぞれの作家の思いや作品に込められた意図などを感じながら鑑賞すると不思議と親近感がわいてきます。作品の方向性や表現方法もまったく違う44点は見応えがあります。
シェル美術賞2008 京都展

中井康之審査員賞」の渡邉順子さんの作品「」と「蔵屋美香審査員賞」を受賞されている岡田大さんの作品「名前のある馬」が並んで展示されていました。
シェル美術賞2008 京都展

これまでブログで2度取り上げてきましたシェル美術賞展2008ですが、絶対実物をご覧になられることをオススメします。シェル美術ホームページや作品集で作品を確認することはできますが、小さく収められた写真ではわからなかったディティールや質感、作品の大きさから伝わる迫力など新たな発見がありました。
シェル美術賞2008 京都展
上の写真右側の作品『いまも宇宙のすみずみにいたるまでかすかな残響となって響きわたっている』(笠見康大さんの作品)は作品集で見るのと全く違います。本当に美しい作品でした。どんな風に描けば油彩でこんな表現ができるのかととても関心しました。
その左隣、『ウゴメクヨル』(サガキケイタさんの作品)も同様で写真では作品のコンセプトが全く伝わりません。この作品は遠めで見て、そして20cmほどの至近距離で見て、と両方で見なければ醍醐味を味わえません。

会期が短いのでお早めに!
ホームページから入場引換券(無料)がダウンロードできるようになっています。是非ご確認を!
シェル美術賞2008(京都展)、入場引換券(無料)のダウンロードはこちら»

●シェル美術賞展2008 <京都展>
  200916日(火)→111日(日) [会期中無休]
  9001700 [入場は1630まで]
  京都市美術館・別館 (TEL.075-462-4671

  [京都市左京区岡崎最勝寺町13 (京都会館敷地内の北側)]

大阪芸術大学ホームページ
大阪芸術大学ブログトップへ

 


2009年1月5日

新年のご挨拶

大阪芸術大学ブログをご覧いただいている皆様、あけましておめでとうございます。本年も皆様にとってよい一年でありますよう心よりお祈り申し上げます。

さて、昨年末から年始にかけてまるまる一週間ブログの更新をお休みさせていただきました。7日間も連続で更新しないというのは初めてのことでした。このブログがスタートして以来「ほぼ毎日更新」を心がけてきましたので、“ブログ体質”というか四六時中次の記事のことばかり考える“ブログ馬鹿”のような生活になっていました(笑)。年末から少しペースを落とし、リセットするための時間を思い切って頂戴しました。大変お待たせいたしました。
これで「リセット完了」といきたいところですが、更新しない日々は正直ずっと落ち着きませんでした(笑)。

さて皆さん「五省」というのをご存知でしょうか?新年の目標というわけではありませんが、今年はこの「五省」を時々思い出しながら、また新たな気持ちでブログに取り組んでいこうと思います。
  一、至誠に悖(もと)る勿(な)かりしか (真剣に取り組めたか?)
  一、言行に恥づる勿(な)かりしか (発言や行いに恥ずべき点はなかったか?
  一、気力に缺(か)くる勿(な)かりしか (心構えは十分だったか?)
  一、努力に憾(うら)み勿(な)かりしか (努力不足ではなかったか?)
  一、不精に亘る勿かりしか (最後まで手を抜かずに取り組めたか?)
ウィキペディア

大阪芸術大学ブログはおかげさまで成長を続けております。昨年11月末の利用統計によると一日平均26,633件のヒット数があり、ページビューも一日あたり4,434件という大きなブログになりました。これもひとえに在校生、卒業生の活躍があってのことだと思います。ありがとうございます。

本年も頑張って更新してまいります。
今年はブログ上でのある取り組みも企てております。またこのサイトのリニューアルも検討中です。これからも大学の魅力を伝えるために、 “今の大阪芸術大学”をいち早く紹介していきたいと思います。
これからもご愛読よろしくお願いいたします。

大阪芸術大学ホームページ
大阪芸術大学ブログトップへ

 


2008年12月25日

「DOOR 2008」展

大阪市西区京町堀にある「Port Gallery T」では現在「DOOR 2008」展が開催されています。もともと写真を中心としたギャラリーだそうですが、この「DOOR」展では若手作家によるジャンルを超えた作品を交えての展覧会となっています。今年で2回目を迎えるこの展覧会に本学の卒業生2名と大阪美術専門学校の卒業生が出品していました。
Port Gallery T DOOR2008
あまのいつこ”さんの作品は平面作品が多い中で唯一の立体作品です。『かおコップたちとおやじのハーモニー』、この異質な感じがなんとも心地良いです。プッと笑顔になってしまうのは、あまのさんの意図にまんまとはまっているからです。
Port Gallery T DOOR2008
あまのさんは学部を卒業後、大学院に進まれ修了制作(2005年)ではユーモア溢れる陶芸作品を制作されました。生活の中にユーモアをもたらす作品づくりをコンセプトにされている作家さんです。2月にも個展が予定されているそうです。あまのさんの活動展開のキーワードは「生活」「ユーモア」そして「ナンセンス」だそうで、今後は土だけに頼らずに表現していきたいとおっしゃっています。
Port Gallery T DOOR2008
Port Gallery T」ではお馴染みだそうなのですが、「かおコップ」はこの展覧会のスタート2日目には品薄となり、その後あっという間に完売したとか。次回は早めに買わなければ・・・。

油画の作品を出品しているのが井上光太郎さん。井上さんは2005年に大阪美術専門学校研究科を修了され、その後大阪、東京、横浜でも個展を数多く開かれています。一度みるとなんだか気になってしまう作品です。描かれるシーンがどれも夜であること、そして対象物がどれも日頃美しいとは感じないものばかりなのです。井上さんの作品の不思議な魅力。どうして気になるんだろう?夜に住宅からこぼれる光、夜の自動販売機の光、タクシーのテイルランプ、夜のコンビニエンスストア・・・などなど、絵具をたっぷり使う描写方法とシンプルな構図が個性的な作品です。
Port Gallery T DOOR2008 
展示されている『ヒビ割れた時間、まとわりついたファズ』という作品以外にも、“mini book”を買う事ができます。これは井上さんの作品がページごとに貼られている手帳で、購入した人が作品を増やしたいと思ったら作品を指示して手帳を井上さんに送るというコミュニケーションツールです。

写真作品を出品しているのは舩附智美さんです。舩附さんは文芸学科の出身。卒業後、写真表現大学で学ばれたそうです。出品されている『渚』」という作品はとても詩的なイメージで制作されていました。それは「文芸学科卒業」という文字を見た私の先入観からかもしれませんが。
Port Gallery T DOOR2008 
渚に降り、水面に顔を近づけてソーっと覗いてみた何気ない水の中に、生や時間など混沌としたものを感じ撮影されているそうです。作品紹介文の中では「生きているもの」「生きていたもの」という言葉などを使って表現されていました。この「まろやかな言葉選び」から舩附智美さん優しい作家像が想像できました。

この時期、あちこちのギャラリーでもきっとたくさんの在校生、卒業生が展覧会をしているんだろうなぁ、と想像しつつ年の瀬を迎えようとしています。最近「造形系の記事ばっかりだ」というご意見をいただくことがあり、少々反省。確かに偏ってきているのは薄薄感じておりました。来年からのブログの方向性を修正しなければ!皆様、ご協力お願いいたします。

大阪芸術大学ホームページ
大阪芸術大学ブログトップへ

 


2008年12月24日

尾崎実哉 展 『カタリ伝ってアル』

♪ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー・・・。クリスマス・イヴです。街もクリスマスムードです。今日はリンリンと鳴るベルではなく、木の鈴の音を聞いてきました。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
今日は本町にある「ドットアートコスモ」というギャラリーです。建物の中央にパティオのあるお洒落なビルで、1階のところには控えめにクリスマスの飾りつけがされていました。実はこの「船場ビル」は大阪の近代建築の歴史を語る上で文化的に価値の高い建物だそうで文化財にも登録されているそうです。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
扉が開け放たれたギャラリーから木の香りが漂い、その香りが廊下まで会場にしています。その香りに誘われて、色々な人が出入りし、作品を肴にして会話が生まれていくとても雰囲気のよいギャラリーです。

現在、ドットアートコスモで開催中なのが「尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』」。古事記をテーマとして日本の古代の記憶を木の立体造形で語ろうというコンセプトの作品展です。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
尾崎実哉さんは大阪芸術大学大学院芸術制作研究科を修了され、現在、博士課程(後期)で制作・研究を続けられています。21号館を総合体育館の方へ抜けたところで作品や制作中の尾崎さんの姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか?ひたむきに木と向き合い、魂で会話するように制作に打ち込まれています。

欅、楠、楓、楢、桜、バッコウ楊、馬酔木、梨、鬼胡桃、ブビンガ・・・などなど様々な種類の木が使われています。釘を一本も使わずにくみ上げた作品はすごい存在感です。2つの台形を一番短い辺同士を引っ付けたような木片をつかった「蟻継」といわれる方法で接合されています。木材の加工は、チェンソーのほか槍鉋などの大工道具も使って行われているのだとか。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
「このギャラリーは、作品を触ってもらっていいんですよ」といわれて、ほっとしました。実は本当に釘が使われていないのか触って確かめてみたかったんです。作品上部の木材は並べ置かれているだけで固定されていませんでした。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
それとやってみたかったのが、この大きな木の鈴を鳴らすことでした。会場でひときわ存在感の大きい作品『二つ柱の玉の音』に仕込まれているのはとても大きな玉なので、揺らすのにも力が要りますが折角なので揺らしてみました。ちょうどいらしていた横溝先生も、揺らしていました。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
会場の右奥にある作品『五つ籠の音』は、少し小ぶりの(といってもソフトボールぐらいはある)玉がたくさん仕込まれていて、軽やかな「コロ」とか「ポコ」とかやさしい、懐かしい音を奏でてくれます。

尾崎さんの作品のキーワードになっている「こをろこをろ」という語感はこの音にも由来しているのかなと感じました。(本当は古事記の中に出てくる音が由来だそうです。詳しくは坂上義太郎氏(前伊丹市立美術館館長)のお言葉を参照。)
>>>
ドットアートコスモ尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』

尾崎実哉展は国の重要文化財、現存する日本最古の酒蔵を会場として来年1月にも行われます。<後援:財団法人伊丹市文化振興財団>

●尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』
【大阪会場】

 1222日(月)→27日(土)
 12001900 (※最終日は1630まで)
 場所: ドットアートコスモ(大阪市中央区淡路町2-5-8船場ビル203
 http://www.designdot.co.jp/gallery-01.html
【兵庫会場】
 117日(土)→25日(日) (※月曜日)
 10001800 (※最終日は1700まで)
 場所: 「みやのまえ文化の郷」 旧岡田家酒蔵 伊丹市立伊丹郷町館
      (兵庫県伊丹市宮ノ前2丁目528号)
お問い合わせ先:ドットアートコスモ(090-3487-2601)まで

余談ですが・・・
ギャラリーに伺ったとき、尾崎さんは在廊されていませんでしたが、お越しになっていた短期大学部の横溝先生とドットアートコスモの玉登ゆかりさんとのいろいろなお話を聞くことができました。このドットアートコスモは大阪芸術大学のたくさんの卒業生がお世話になっているギャラリーです。芸術大学を卒業してから「さぁ、これからどうしよう?」という迷い、悩むような気持ちを支え応援するような役割をこのギャラリー(玉登氏)が目指しているから、多くの卒業生に支持されているんだと感じました。いつもありがとうございます。

大阪芸術大学ホームページ
大阪芸術大学ブログトップへ

 


2008年12月23日

磨けばもっと光る写真家の原石20人 「PHaT PHOTO」

1219日発売になった写真雑誌「PHaT PHOTO」(1-2月号)、皆さんご覧になられたでしょうか?モデルの香里奈さんが表紙のこの雑誌です。
PHaT PHOTO 1-2月号 香里奈 上田真梨子 原石プロジェクト
PHaT PHOTO」は写真に限らず音楽や映像などアート全般に興味を持つ読者をターゲットにした雑誌で、今年創刊8周年を迎えたリーディング・メディアです。現在、書店に並んでいる「PHaT PHOTO」(1-2月号)の特集記事「ファットフォトが期待する写真家の原石20人」に写真学科の在校生・卒業生が紹介されています。
>>>PHaT PHOTO

ピックアップされているのはファットフォト主催の『原石発掘プロジェクト“関西御苗場”』に参加した方や数万の応募があるカラーイメージングコンテスト2008年度の受賞者、さらには高等学校の写真部に至るまで日本全国を隅々まで探し、その中から編集部が厳選した20名なのだそうです。
PHaT PHOTO 1-2月号 香里奈 上田真梨子 原石プロジェクト
巻頭に紹介されているのは写真学科4年生の上田真梨子さん。今年9月にブログでも一度取材させていただいたことがありましたが、やはり頭角を現してきました。誌上では“テラウチマサトが特に推す2名”として取り上げられており、その推薦理由も掲載されています。

『・・・(前略)・・・経験を重ねたときに可能性と将来の化け具合が期待できた。写真の中に出てくる小道具はすべて手作りで、ひとつの作品のために大工仕事や旋盤工のような作業もやるとのこと。作品づくりへの情熱も感じた。』と評されています。
PHaT PHOTO 1-2月号 香里奈 上田真梨子 原石プロジェクト
上田さんは日本史に興味があり、時代小説や伝記を読むのだそうです。本を読んでイメージが浮かぶこともあるそうで、上田真梨子さんのファンタジックな写真の世界観はそんなところからも生み出されているんだなと興味を持って記事を読ませていただきました。
>>>上田真梨子さんのブログ(12月22日)


またもう一人卒業生で取り上げられているのが松木宏祐さんです。今年、塩釜フォトフェスティバルPHaT PHOTO賞、富士フィルムフォトサロン2008奨励賞などうけるなど活躍中です。
松木宏祐さんは誌上の「作品について」で、「自分の中にある矛盾した感情を認めていきたいという気持ちでまとめていました。正義と悪や、常識と非常識の両方の感情を認めてあげたいんです。」と、あえて混沌とした世界の表現を目指したご自身の作品について語られています。
>>>松木宏祐さんのブログ

そしてカラーイメージングコンテスト2008の受賞作品の中からは、現在、写真学科研究室で副手としてお勤めの平松佑介さんの作品が紹介されています。写真部門で「特選」に輝いた『大豆』という作品。目の付け所が本当に面白い作品です。
PHaT PHOTO 1-2月号 香里奈 上田真梨子 原石プロジェクト
誌上では『大豆の表面の模様に興味を持った作者が、虫眼鏡で大豆を眺めた。ひとつとして同じ模様がなく、そしてその模様が人間の顔のように見えるところが面白い。約60?四方の大きさもインパクト大。』と紹介されています。60ページにわたる作品集の形で発表された作品だそうです。全て並べると圧巻だろうな・・・、観てみたいです。
>>>EPSON カラーイメージングコンテスト2008

在校生、卒業生ともにすばらしい活躍です。でも大学内にはまだまだたくさんの「原石」がいるはずです。今回は写真雑誌「PHaT PHOTO」の特集記事としてでしたが、このブログがそんな原石たちをいち早く紹介できるメディアに成長していければいいなと思うのであります。

大阪芸術大学ホームページ
大阪芸術大学ブログトップへ