昨日、河内長野市のラブリーホールで行われたコンサート『アンサンブルの夕べ』に行ってきました。昨年末12月27日に行われたコンサートと同じようにロビーを使ったコンサートです。会場に用意されたおよそ100席は、ほぼ満席。
ロビーコンサートは地域の若手音楽家の発表の場として、よく考えられた企画でコスト面、集客面でホールコンサートが難しい場合でも低コストで開催することができます。しかも見る側にとっては低料金でかつ非常に近い距離で楽しむことができるというメリットがあります。そして全面ガラス張りのロビーを利用するのでホール事業を市民の方にアピールすることになります。
コンサートのスタートは河野正孝先生による挨拶と曲の紹介です。「木管五重奏、私は実はあまり好きではなく、なんか眠くなってくるでしょ、前回に引き続き眠くなった方は寝ていただいて結構です。」ジョークを交えたトークで笑いが起こり、会場はリラックスしたムードになりました。 「・・・私は聴くなら前回の(コンサートの時の)ような八重奏ぐらいがいいんですが、五重奏は演奏する立場で楽しんでいます。では・・・」
木管五重奏の代表的な作曲家F.ダンツィの変ロ長調の演奏が始まりました。1月16日のブログで取材した練習のときに練習されていた曲でした。その曲が1曲目だったので、練習風景を思い出すと緊張してきました。ホルンの見せ場、オーボエとクラリネットの掛け合いの部分などがうまく演奏されるかどうかと。聞いたところ当日も昼間からコンサート直前まで河野先生の厳しいご指導があったそうです。弦楽四重奏と並び称されるだけあって5種類の楽器の音色がうまく構成された素敵なアンサンブルでした。
次はピアノの北谷千智さんを加えての演奏“ニッポンの歌、心の歌”から「六つの日本民謡」でした。演奏前に先生から「クイズというわけではないが・・・」とコメントがあり敢えて演奏される曲名は紹介されませんでした。トライしてみましたが、メロディはわかるのに曲名となるとわからないものが多かったです。「ねんねんころり」「ずいずいずっころばし」「とうりゃんせ」・・・。全問正解ならず・・・。続いて演奏された「三つの春」は演奏終了直前に6人全員で「春が来た!」と声をそろえて叫ぶ部分が用意されていて、そのちょっと変わった構成に正直驚きました。演奏途中で声を出すのって絶対難しいはずです。
次は声楽の西田智香子さんを加えて、ソプラノとピアノとフルートの演奏でした。河野先生は室内楽のコンサートなどでも歌を入れるのが好きなのだそうです。「・・・楽器の音はどこまでいっても楽器の音。そこに人の声が入ると演奏が一気に華やかになります。声は一番美しい音の楽器です。・・・」
「歌の翼幻想曲」「落葉松」の2曲の演奏でした。演奏前に西田ご自身から曲の解説があり「・・・メンデルスゾーンは裕福な家庭に育ったそうで、作られた曲の中には悲壮感などをほとんど感じないものが多い・・・」など、楽曲の背景を知ると聴き方が変わってきます。「落葉松」は日本語の歌詞なのでその切ない情景がイメージしやすかったです。こういう教養になるような感じが、心の豊かさというのでしょうか?
休憩を挟みソプラノ・クラリネット・ピアノの編成でF.シューベルトの「岩上の牧人」の演奏でした。のどかな自然の風景と羊飼いの少年の孤独感や春の喜びが描かれた曲だそうです。
クラリネット演奏がソプラノと呼応しながら進む部分があり、このクラリネットは“やまびこ”の表現なのだとか。「・・・高原の澄んだ空気をお楽しみください・・・」。行ったことはないけれどイメージしてみます。ハイジが山に来る前のペーターがそこに・・・。
最後は今回のメインの曲でオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、ピアノによる「ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調作品16」の演奏でした。シンフォニー(交響曲)の部分がたくさん登場する作品で、ベートーベンの初期の作品でための若々しさが感じられるのだそうです。
最後は全員で「春よこい」の演奏で締めくくられました。 小回りの効いた構成でアンサンブルの編成がクルクルと変わり飽きさせないのと、多くの人が暖かい春を待つこの季節のために選ばれた楽曲の数々。音楽企画の面白さを感じることができるコンサートでした。この様子は後日、OUA-TVでも放送される予定です。
出演者の皆様、河内長野文化振興財団・ラブリーホールの皆様、取材ご協力ありがとうございました。
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