2017年9月14日

図書館所蔵品展「第一回 ロンドン万国博覧会と産業美術」

先日、大阪芸術大学所蔵品展「15」の模様をご紹介しましたが、”所蔵品展”と言えばもう一つ!

今日は、大阪芸術大学図書館で行われている所蔵品展に行ってきました。

芸術情報センター2階から4階にある、大阪芸術大学図書館。
所蔵点数は35万点以上にのぼり、その中には映像・録音・楽譜資料がおよそ9万点あります。
4階のスペースを使って年に5~6回開かれる所蔵品展では、普段は貴重資料として書庫に保管されている資料を、その時々のテーマによって選抜し公開しています。
 
現在は、「第一回 ロンドン万国博覧会と産業美術」と題した展示を行っています!


私たちが「万博」と呼んでいる万国博覧会(国際博覧会)は、新しい文化の創造や科学、産業技術の発展などを目的に、複数の国が参加して開催される博覧会です。
その歴史は古く、紀元前のエジプトやペルシャで国王即位祝典行事として芸術品や衣類が民衆に披露されたことや、古代ローマで辺境征服の後に戦利品などが誇示されたことなどが原始的な博覧会の起源だという説があります。
また、近代博覧会の原型としては、1475年にフランスのルイ11世がロンドンで開催した「フランス物産展」だと言われています。
そして、1851年にロンドンのハイドパークにて、初の国際博覧会となる「ロンドン万国博覧会」が開催されました。
 
今回の所蔵品展では、その第1回ロンドン万博の要覧・カタログ類が紹介されています。
当代の文明国が自慢の文物を競い合った第1回ロンドン万博では、あらゆる種類の主要な産業と生産方法をふくみ、広く人々の関心を引き付けました。

簡便な半公式要覧として、「1851年万国博覧会:アートジャーナル図録
一連の展覧会場の光景や、芸術性をあわせもつ産業美術品の挿絵が多数収録されています。

 

公認の図解要覧としては、「1851年万国博覧会:図解付公式要覧」があります。
3巻組で、図版が豊富で出品者の特定には適していましたが、記載事項の構成がとても複雑なつくりになっています。

 

一方、万博に出品された産業美術品の一品を華やかな多色石版画付きで収録しているのが、「19世紀の産業美術-1851年万国博覧会の時に各国によって製作された極上見本品の挿絵集成」です。

 
 

今回の所蔵品展を担当された本学名誉教授の藪亭先生は、
「今回展示されている第1回ロンドン万国博覧会のカタログ類は、展示館『水晶宮』での国際色豊かな賑わいと共に、自然模倣や歴史的で連想的な要素に依拠する当代の産業美術のデザインを、今によく伝えている」
とおっしゃっています。
 
みなさんも、図書館にお越しの際は、4階展示コーナーにも足を運んでみてください!
 

大阪芸術大学図書館所蔵品展
「第一回 ロンドン万国博覧会と産業美術」
2017年8月28日(月)~9月22日(金)
大阪芸術大学図書館4階展示コーナー

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年9月6日

大阪芸術大学の「15」って!?

大阪芸術大学では、1981年に塚本英世記念館芸術情報センターを設置して以来、あらゆる芸術資料の収集に努めてきました。
その点数は4000点を超え、国内外の優れた美術作品が多く含まれています。
大阪芸術大学博物館は、これらの芸術資料を学内での研究に役立てることはもとより、広く社会に公開することを目的に2002年に開設されました。
そして、定期的に「大阪芸術大学所蔵品展」を開催し、数多の所蔵品の中から厳選した資料や作品を展示しています。

そんな大阪芸術大学博物館は、今年で15周年を迎えました!
これを記念して、現在『大阪芸術大学所蔵品展「15」』を開催しています。


——
本学の所蔵品は、美術、デザイン、工芸、写真などにとどまらず、放送機器や映像機器、蓄音機とレコード、建築模型に図面など多種多彩。
それらは本学の幅広い学科構成を反映したものです。
学科といえば、今年本学には新たにアートサイエンス学科が開設され、学科数が「15」になりました。
なんだか今年は「15」が気になります。
「15」をキーワードに所蔵品を幅広くご紹介します。
(所蔵品展チラシより一部抜粋)
——
 
という訳で、私もさっそく所蔵品展を見てきました。
「15」のテーマの中から、私が特に気になったものを紹介していきます。
 

1.「14」から「15」へ

会場に入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、元美術学科長の松井正先生が1982年に描かれた大阪芸術大学のキャンパスです。

 

絵画の中央には、この作品の完成を見ることなく亡くなられてしまった本学創設者の塚本英世先生の肖像が、弔意を込めて描き足されました。
画面の上部にはさまざまな芸術に取り組む学生たちの姿が描かれており、これらは当時の大阪芸大の14学科を表しているそうです。
★大阪芸大豆知識…1982年当時の学科は現在と一部異なり、美術・デザイン・建築・文芸・音楽・放送・写真・工芸・環境計画・音楽教育・演奏・映像計画・舞台芸術・芸術計画の14学科です。


そして、今年の大学案内の表紙には、デザイン学科卒業生でイラストレーターの中村佑介さんが描いたイラストが起用されていますが、そこにも各学科を表す道具が羽のように表現されていますよね。
アートサイエンス学科が開設され、今年から15学科になった大阪芸術大学。
みなさんも、「14」と「15」を見比べながら、大阪芸大の歩みを感じ取ってみてください。
 

3.キャンパス整備は公開コンペ

先ほどの絵画にも大学のキャンパスが描かれていましたが、そのキャンパスの整備は、日本の大学史上初の公開コンペ(建築設計競技)で行われたそうです。
一連のキャンパスは、時代に合わせて少しずつ変化しています。

 

その図面を見ていくと、1号館から順番に建てられた訳ではなく、最初は15号館と16号館、17号館からスタートしていることがわかります。
だんだん現在のキャンパスに近づいていることが伺えますね。
自称・大阪芸大マニアの私、胸を高鳴らせながらこの図面に噛り付いてしまいました。笑
 

5.奏でる芸術/6.放送で届ける芸術

大阪芸術大学所蔵品展と言えば、蓄音機をイメージする方も多いのではないでしょうか?
大阪芸大には、19世紀末の発明当初のものから、時代に沿って形が変わったさまざまな蓄音機が所蔵されています。
また、蓄音機に続く娯楽として登場したラジオやテレビ、さらには業務用の放送機器などもたくさん保管されています!

 

今回も、その中の一部を展示しています。
必ず見ていただきたい所蔵品の一つです!!
 

8.世界に4つしかない写真コレクション/9.未来の学芸員を育てる

蓄音機と並んで所蔵品展でよく紹介されているのが、世界的に有名な写真家 アンリ・カルティエ=ブレッソンの集大成とされる「自選コレクション(Master Collection)」。
大阪芸術大学はこの写真コレクションを1977年に購入しました。
大阪芸大を含めて、世界中の4ヶ所でしか見ることができない貴重な芸術資料です。
毎年テーマを変えながら約80点ずつを展示して展覧会を行い、昨年には10年ぶりに全411点の作品を紹介する所蔵品展も開催しました。

 

こちらのスペースは、博物館学芸員資格の取得を志す通信教育部の学生たちが、実習の一環として計画し、実際の展示も行いました。
博物館では、学芸員資格取得に必要な実習も行っているんです。
また、今年はブレッソン展の開催は予定されていませんので、この機会にぜひご覧ください。
 

10.動く映像-映画

創始者塚本英世・きりんそうのように」という35mmフィルムの映画は、大阪芸術大学グループ創立40周年記念映画として、元映像学科長の依田義賢先生をはじめとした教員たちで制作されました。
また、U-maticビデオカセットに収録されているのは「大阪芸術大学 建築記録映画」。

 

どちらも再生機器があれば恐らく映像を見ることができるそうですが、私もまだ中身を見たことがないので大変興味深いです。
さらに近年では、産学連携によるテレビドラマも制作されています。
メディアの移り変わりを感じながら、映像資料にも目を向けてみてください!
 

15.博物館の15年

展示の最後には、過去15年間に開催した大阪芸術大学所蔵品展のポスターが紹介されています!!
各ポスターは、デザイン学科の教員や学生が制作したもの。

 

みなさんは、この中からいくつご覧になっていましたか?
私は、少なくとも10の所蔵品展には足を運んでいますが、このポスターの数を見ると、まだまだだと自覚しました。
 

ブログで紹介したもの以外にも、美術やデザイン、工芸、舞台、アニメーションなど、さまざまな芸術分野を取り上げたテーマで展示を行っています。

 

ぜひ、会場で「15」のテーマに出会ってください!!

 
 

大阪芸術大学所蔵品展「15」
2017年9月3日(日)~16日(土)
11:00~18:30(3日のみ10:00~16:00)
※10日(日)休館
大阪芸術大学芸術情報センター1階展示ホール

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年8月8日

今年のキッズーアートカレッジは?

昨日は台風5号の影響により、大阪府下にも暴風警報が発令され、雨風の激しい1日となりましたね。
私はほとんど家にいましたが、少し外に出ただけでも横殴りの雨でびしょびしょになってしまいました…。
みなさんは、大丈夫でしたか?

学生のみなさんへおさらい
>>台風に伴う休講措置についてはコチラ
 

さて、そんな台風が来る1日前…
8月6日(日)の大阪芸術大学は、晴天!!
そして、日曜日にも関わらずとても賑やかでした!


この日開催されたのは、初等芸術教育学科主催のイベント「こども芸大 キッズアートカレッジ」★

2012年にスタートしたこのイベントは、幼稚園や小学校の子どもたちをキャンパスに招き、芸術活動や遊びなどを通じて互いにふれあい、創造する楽しさを体験するというものです。
参加対象者は、富田林市河内長野市太子町河南町千早赤阪村にお住まいの小学生幼稚園児
今年も定員を超える多数のご応募をいただきました!!

ピロティに広げられた模造紙に自由にお絵かきをしたり、

 

みんなでダンスを踊ったり、

 

身のまわりにあるもので楽器をつくったり、

 

俳句に挑戦したり!!

 

子どもたちはとっても楽しそうでした♪

 

そして、学生たちは子どもたちとじっくり向き合い、一緒に遊んだり面倒を見たりと、すっかり「先生」の顔に。
こうして実際に子どもとふれあう時間を大切にしているのが、初等芸術教育学科の魅力のひとつ。
昨年までは、幼稚園児と小学生はそれぞれ別日に行っていたのですが、今回は幅広い年齢の子どもを対象に開催したこともあって、それぞれの年齢に合わせた対応についても考えることができたのではないでしょうか。

キッズアートカレッジに参加されたみなさん、ありがとうございました★

 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年7月8日

「X展」開催中!!

現在、スカイキャンパスで開催中の展覧会、アートサイエンス学科学生作品展「X展!!
私も展示の様子を覗いてきました★

雰囲気はこんな感じ!
なんだか馴染みのない作品がたくさん並んでいますが…


会場には、アートサイエンス学科の学生が各所に待機しており、作品の詳細について丁寧に教えてくれます。

こちらのペットボトルは?


「中を覗くと、空中に浮かんだ映像が見えます。
『エア・フローティング・メディア』と言って、ミラーの反射を使って空中に映像が映し出せる仕組みになっています。」

このポストカードは?


「好きなカードを選んで箱の上に乗せてみてください。カードに応じた映像が流れますよ!
実は箱の方に仕掛けがあって、中にはスマートフォンが入っています。
カードに埋め込まれたチップから情報を得て、その映像が流れるようになっているんです。」


どちらも、学生たちがつくった作品だそうです。
どんな映像が見られるのか気になった方は、実際に会場でご覧くださいね♪
 

この他にも、プロジェクションマッピングや、プログラミングを使って制作した作品、アートサイエンス学科の教員作品も展示されていました。

 

会場にいた学生に、「お客さん一人ひとりに説明してるの?」と聞いてみると、
「はい。どんな質問にも大体答えられるように勉強してますので、なんでも聞いてください^^」
と返ってきました。頼もしい!!

 

「X展」は、7月9日(日)まで開催しています!
ぜひ、お越しください♪

>>詳細はコチラ
 

投稿:島田(企画広報部事務室)


2017年6月6日

所蔵品展「スイス派からのプレゼント」

現在、芸術情報センター1階展示ホールでは、大阪芸術大学所蔵品展「スイス派からのプレゼント ヨーロッパ構成主義コレクション」を開催中です!


みなさんはグラフィックデザインというと、どんなものをイメージしますか?
グラフィックデザインは、主に平面上に表示される画像や文字、配色などを使って、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザインのこと。
ポスターやチラシ、パンフレット、新聞や雑誌の広告や、商品のパッケージなど…その媒体は多岐にわたります。

グラフィックデザインの歴史を語る上で欠かせないのが、「スイス派」と呼ばれるデザイナーたちです。
第二次世界大戦中、ヨーロッパ各国の芸術家たちは、戦火や弾圧を逃れて中立国であるスイスに集まりました。
スイスに集まった芸術家たちは、色彩と幾何学的な形態を駆使して、数学的でかつ理知的な画面分析を行い、戦前の構成主義や具体芸術の造形をデザインの実践へと展開。
その理念と実践は国際的に認知され、また高く評価されて戦後のヨーロッパ・グラフィックの復興に大きな役割を担いました。
そんなスイスに生まれた新しいグラフィック運動とその作家たちを「スイス派」と呼び、世界の現代的デザインの基礎となったのです。

 

スイス派を代表する作家のひとり、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン氏。
レイアウト技法である「グリッド・システム」を提唱し、大胆かつシンプルなインパクトのあるデザインを多数生み出した偉大なグラフィックデザイナーです!
実はブロックマン氏、1961年に本学短期大学部の前身である浪速短期大学に客員教授として来学。
1964年に浪速芸術大学(1966年、大阪芸術大学へ改称)が開学した後も交流は続き、特別講義や作品展示を行って、未来のデザインを担う学生たちにスイス派の理論と実践を伝えてくださいました。

その後、1980年代まで続く交流の中で、彼が選定した”造形を学ぶ学生たちにとって有意義な”構成的版画作品を継続的に購入することで形成されたのが、大阪芸術大学所蔵の「ヨーロッパ構成主義コレクション」です!!
それは、戦後めざましい勢いでグラフィックデザインを向上させていった日本の学生たちへの期待と、教育的配慮が込められた贈り物でした。

今回の展覧会は、そんなコレクションの中から、構成的版画作品が約80点展示されています!!

ブロックマン氏の作品の他、


本学の客員教授として講義を開いてくださったこともあるマックス・ビル氏や、


ブロックマン氏の妻で本学の構成主義コレクションの拡充に尽力された吉川静子氏など、


スイス派のさまざまな作家のデザインが紹介されています!!

また、ブロックマン氏が本学で特別講義を行ってくださっている様子や、本学創設者の塚本英世先生との交流の模様などが写った写真も展示されていますよ。


4色、5色の限られた色彩数や一定の間隔で区切られた画面…一見単純そうにも見えますが、シンプルな線や色の画面構成だけで、見る人に「美しい」と感じさせるデザインは、相当な計算と理論に基づいて組み立てなければ表現できないものだと感じます。
デザインの知識はあまりない私ですが、今回の所蔵品展を見て、グラフィックデザインの理論をもっと知りたいと思いました!

みなさんもぜひ、お越しください♪♪

 

大阪芸術大学所蔵品展
「スイス派からのプレゼント ヨーロッパ構成主義コレクション」
2017年6月1日(木)~6月17日(土)※日曜休館
開館時間 11:00~18:30
大阪芸術大学芸術情報センター1階 展示ホール

 

投稿:島田(企画広報部事務室)