現在、芸術情報センター1階展示ホールでは、大阪芸術大学所蔵品展「スイス派からのプレゼント ヨーロッパ構成主義コレクション」を開催中です!
みなさんはグラフィックデザインというと、どんなものをイメージしますか?
グラフィックデザインは、主に平面上に表示される画像や文字、配色などを使って、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザインのこと。
ポスターやチラシ、パンフレット、新聞や雑誌の広告や、商品のパッケージなど…その媒体は多岐にわたります。
グラフィックデザインの歴史を語る上で欠かせないのが、「スイス派」と呼ばれるデザイナーたちです。
第二次世界大戦中、ヨーロッパ各国の芸術家たちは、戦火や弾圧を逃れて中立国であるスイスに集まりました。
スイスに集まった芸術家たちは、色彩と幾何学的な形態を駆使して、数学的でかつ理知的な画面分析を行い、戦前の構成主義や具体芸術の造形をデザインの実践へと展開。
その理念と実践は国際的に認知され、また高く評価されて戦後のヨーロッパ・グラフィックの復興に大きな役割を担いました。
そんなスイスに生まれた新しいグラフィック運動とその作家たちを「スイス派」と呼び、世界の現代的デザインの基礎となったのです。
スイス派を代表する作家のひとり、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン氏。
レイアウト技法である「グリッド・システム」を提唱し、大胆かつシンプルなインパクトのあるデザインを多数生み出した偉大なグラフィックデザイナーです!
実はブロックマン氏、1961年に本学短期大学部の前身である浪速短期大学に客員教授として来学。
1964年に浪速芸術大学(1966年、大阪芸術大学へ改称)が開学した後も交流は続き、特別講義や作品展示を行って、未来のデザインを担う学生たちにスイス派の理論と実践を伝えてくださいました。
その後、1980年代まで続く交流の中で、彼が選定した”造形を学ぶ学生たちにとって有意義な”構成的版画作品を継続的に購入することで形成されたのが、大阪芸術大学所蔵の「ヨーロッパ構成主義コレクション」です!!
それは、戦後めざましい勢いでグラフィックデザインを向上させていった日本の学生たちへの期待と、教育的配慮が込められた贈り物でした。
今回の展覧会は、そんなコレクションの中から、構成的版画作品が約80点展示されています!!
ブロックマン氏の作品の他、
本学の客員教授として講義を開いてくださったこともあるマックス・ビル氏や、
ブロックマン氏の妻で本学の構成主義コレクションの拡充に尽力された吉川静子氏など、
また、ブロックマン氏が本学で特別講義を行ってくださっている様子や、本学創設者の塚本英世先生との交流の模様などが写った写真も展示されていますよ。
4色、5色の限られた色彩数や一定の間隔で区切られた画面…一見単純そうにも見えますが、シンプルな線や色の画面構成だけで、見る人に「美しい」と感じさせるデザインは、相当な計算と理論に基づいて組み立てなければ表現できないものだと感じます。
デザインの知識はあまりない私ですが、今回の所蔵品展を見て、グラフィックデザインの理論をもっと知りたいと思いました!
みなさんもぜひ、お越しください♪♪
大阪芸術大学所蔵品展
「スイス派からのプレゼント ヨーロッパ構成主義コレクション」
2017年6月1日(木)~6月17日(土)※日曜休館
開館時間 11:00~18:30
大阪芸術大学芸術情報センター1階 展示ホール
投稿:島田(企画広報部事務室)