2008年10月6日

SDレビュー2008 大阪展 開催中!

今年も建築学科ではSDレビュー展、SD Review 2008」が開催中です。鹿島出版会が主催する第27回建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展です。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
先週102日(木)からスタートして来場者は日に日に増えています。一般の方など学外からの来場も多く、名簿では近畿圏の大学で建築を学ぶ大学生や卒業生などが見受けられました。昨日(日曜日)、累計1000人を越えました。今日の来場者が今のところ一番多いです。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
建築学科の卒業制作展でも思いますが、建築提案の一つ一つのプレゼンテーションにはたくさんの能力を要することに感心します。建築に対する哲学、グラフィックデザインの要素、模型製作のための器用さ、遊び心、写真のセンス、展示のセンス、などなど手を抜かないこだわりと仕上げが来場者をうならせます。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
制作された模型がやはりどれも見応えがあり、最近は自然物をうまく使って有機的な表情を作り出しているものをよく目にします。私が学生だった頃はパスタを使って建築模型を作った留学生がいてそれだけで感心したものですが、今回の展覧会では「藁束の輪切り」を使って地形の部分を構成している模型もありました。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
またプロジェクターを使って動画をローテーションさせる方法を取り入れている作品もありました。今後こういったプレゼンテーションが増えるんでしょうねぇ。すべてをパネルで表現するより効率的ですし、図面だけでは表現しきれない魅力的な情報もありますので効果的です。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
どのプレゼンテーションもカッコイイのですが、何より中身。説得力のある提案は、重みがあります。15作品の中で8月末に既に建築工事が完了しているものが一つあり、その提案は完成しているだけに更に説得力がありました。

その印象に残った作品は「京急高架下文化芸術活動拠点 –黄金スタジオ」という提案です。高架下の環境整備後の用途を町の人々とのワークショップによって考え進められたらプロジェクトで、アートの活動を取り入れ新たな活気や人の流れを作り出そうという提案。ある意味、芸術計画的なコンセプトです。このプレゼンテーションでもプロジェクターが使用されていてリアルな感じが伝わってきます。
SDレビュー2008 SD 鹿島 Review
この企画に注目したのは、建築家集団「みかんぐみ」の曽我部昌史 氏、丸山美紀 氏が関わっているプロジェクトであることも理由のひとつです。
みかんぐみ」の仕事が近くで見れるチャンスなので、建築学科の方はもちろんのこと、環境デザイン学科やデザイン学科、芸術計画学科の在校生にも必ず見ておいていただきたい展覧会です。

SDレビュー2008 <大阪展>
2008
102日(木)→1015日(水)
10:00
17:30(土・日・祝も開催)
会場:大阪芸術大学 建築学科棟(15号館)

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2008年9月30日

TEXAHEDRON(テキサヘドロン) 後編

予告どおりTEXAHEDRON(テキサヘドロン)のお話(後編)です。

昨日、18:10から行われたオープニングパーティーはなかなか盛り上がりました。ギャラリーのエントランスホールをこんな風な使い方をした企画は初めてです。映像を壁面と天井に投影しての演出、階段の踊場がステージに変わりました。
TEXAHEDRON ZAnPon
ステージではまずそれぞれの作家さんから挨拶がありました。まずZAnPonさんからこの展覧会のきっかけについて紹介がありました。「たくるくんとちょきさんから『絵を見て欲しい』という連絡をもらったのがキッカケで、この2人がまっすぐに絵を描いていることに心動かされた」そんなお話をされていました。垂谷さんからは「まだまだ自分のやりたいと思っているこの10%もできていない。これからもっと頑張っていきたい」、とそんなお話が印象的でした。
TEXAHEDRON ZAnPon
YUIさんは「作品のことについてたくさんの人と話したい」。たくるさんは「今までなかなか人を好きになれなかったけどこの展覧会を通じて出会った人たちのおかげで人を好きになれた」。ちょきさんはうれしさで感極まって涙を見せるシーンもありました。(yumさんはあいにく欠席でした)

どの作家さんも「自分達だけではこんな素敵な展覧会はできなかった」と、スタッフに感謝を込め挨拶されていました。そう、昨日の記事でも少しお伝えしたように作品の質だけでなく会場の演出もホント、イイ感じなのです。
TEXAHEDRON ZAnPon ハモネプ ハモネプリーグ2008
展覧会のイメージカラーのピンク色について展示会場のディレクションをした中谷吉英さんに聞いてみました。「はじめ体育館前の芝生広場の芝生がとてもきれいなので、そこでオープニングパーティーをすることを計画していました。芝のグリーンとギャラーの白、青い空には何色が似合うだろう」と考えてピンク色を合わせてみたそうです。「TEXAHEDRON(テキサヘドロン)のネーミングが先に決まっていたので、そこから発想したものは怪獣。私にとってはドラゴンボール魔人ブーの胃の中のイメージなんです。」
TEXAHEDRON ZAnPon
会場にある作家紹介やスタッフ紹介などの展示物は下の部分は固定せず上の部分だけで壁に留めてあります。紙がロールされていたときの自然のカールと自重にまかせて垂れるような展示です。これも「・・・ヘドロン」→「ドロン」の語感からのイメージなのだそうです。
TEXAHEDRON ZAnPon
会場に流れている音楽もこの展覧会にピッタリです。会場に一歩入るとここだけ時間の流れがゆっくりになったような錯覚を起こします。心を落ち着けて11点の作品をじっくり観ることを促す音楽。このTEXAHEDRON(テキサヘドロン)のために竹下士敦さんが作曲されました。音楽の中に時々入る高い音はピンク色を表現しているのだとか。
グラフィック全般を古島佑起さんが担当。作品を邪魔しないように「できるだけ何もしない」ことを心がけたそうです。
会場の壁面に投影されているモーショングラフィックスは西脇寿郎さんが制作されました。オープニングパーティー用の映像はオープニング当日の朝までかかって制作されたそうです。

TEXAHEDRON ハモネプ ハモネプリーグ2008
パーティー会場では展示会場の空間デザインを担当したコタさんが自分の所属するサークルからお友達を連れてきてくれました。ハモネプリーグ2008に出場したアカペラチーム「トゥクムー」です。パーティーを盛り上げるためのゲストとして、3曲を熱唱してくれました。3曲目はテレビでも披露された「真っ赤な太陽」。うわーぁー、生で聴けましたぁ!カッコイイー。

パーティーは在校生、卒業生、先生、職員などおよそ40名ほどが集まり盛り上がりました。展覧会を通じて学年や学科を超えた繋がりが生まれ、それを支え応援する人たちとの交流があることはスバラシイです。縦糸と横糸が交差してこそ面になり、包むことができます。会場はとてもいい雰囲気に包まれていました。「テキスタイル」だけに。(←これが言いたかったのです)

TEXAHEDRON(テキサヘドロン)
 929日(月)→104日(土)
 1000-18:00 (最終日は1600まで)
 総合体育館ギャラリーにて

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2008年9月29日

TEXAHEDRON(テキサヘドロン) 前編

「描くことになんの意味があるのだろうか。

そもそも意味などあるのだろうか。

それでも、僕らは描き続ける。

ただただ、夢中で描き続けるのだ。」
TEXAHEDRON ZAnPon テキスタイルデザイン
ついに作品展「テキサヘドロン」がスタートしました。この展覧会は工芸学科テキスタイル・染織コースの卒業生と在校生6人による作品展。ZAPonさん(2005年卒業)、yumさん(2006年卒業)、垂谷知明さん(2007年卒業)、YUIさん(2008年卒業)、たくるさん(現在4年生)、ちょきさん(現在4年生)。
TEXAHEDRON
TEXAHEDRON ZAnPon
時間の縦糸で繋がったこの6人のクリエイターたちの作品を直に見ることができる。私にとって、まさに「夢の競演」です。ずっと前から楽しみにしていました。

TEXAHEDRON ZAnPon
既に海外でも評価の高いZAPonさん。これぞ「凱旋」。今回の展覧会にたくさんの作品を出展してくれています。CANVAS@SONYなどなど活躍の幅を拡げおられ、2008年も続々と企業とのコラボレーション作品がリリースされる予定だそうです。画面いっぱいに自由に展開しながらも絶妙のバランスで構成される線とリズミカルな色彩構成。どの作品も心がワクワクするほどです。

TEXAHEDRON
yumさんのことはこのブログでも少し紹介させていただいたことがありました。今年のdigmeout exhibitionyumさんのインタビュー映像を拝見したことも記憶に新しいです。女性の顔に覆いかぶさる独特の構成とポップな色彩で自身の精神世界を強く描き出している平面作品がyumさんを象徴する作品となっていますが、今回の展示では立体表現した作品も展示されています。

TEXAHEDRON
垂谷知明さんの作品は、卒業後大きく変化していっています。愛用している芸大生も多いかと思いますが、2007年の「芸T」の黒ヴァージョンは垂谷さんの作品でした。連鎖しながら拡がってゆく線は、架空の生き物たちを描き出し、その生命たちが作り出す独自の世界。その頃の作品は文字も造形の一部として作品の中に配置されていましたので「意味」や「無意味」を行き来するように楽しめる不思議な魅力を持っていました。近年の垂谷ワールドはまた別の魅力をもっています。

TEXAHEDRON
YUIさんも昨年の「芸T」絡みで作品を制作していただいたクリエイターです。2007年の「グランプリ芸T」のアレンジ作品で初めて見た作品はインパクトがありました。印象に残る独創的な作風です。ロウ染めの技法で自由に力強く描かれる線は一見抽象的な作品に見えるのですが、じっくり見ると見えてくるのです、具象の造形が。書画のようでもありますが、でも決して和風ではなく古さを感じないカッコイイ作品なのです。

TEXAHEDRON
爬虫類をモチーフにして繊細な線と点で描かれる職人技が目に留まり、昨年から注目してきた在校生がたくるさんです。はじめてたくるさんの作品を見たときに、頭に描いたのがZAPonさんでした。およそ1年の間にモチーフが爬虫類から人に変わりまたほかのものへ。モノクロの線画に色が加わり、キャンバス内のバランスも絶妙に変わってきました。最新作がこれまでのたくるさんの作品の変遷を物語っています。

TEXAHEDRON
機関銃やピストルを持ち、目玉の肥大した少女の絵がちょきさんの作品です。無意識に自画像を描いているそうです。華やかな色彩と過激さが共存する独特のスタイルで一貫して制作されていますが、ちょきさん自身はその過激さを感じる風貌ではありません。そのギャップが作品の印象を強めています。最近の作品は少女の身体の形が変化してきています。5人の少女が描かれた作品の中には、yumさんとYUIさんが描かれています。

美術、デザイン、工芸を学んでいる方だけでなく、音楽や演奏を学んでいる方もビンビン刺激を受けること間違いありません。是非、学外の方もこの機会を逃すことなくお越しください。
TEXAHEDRON
今日のブログではクリエイターの方々の紹介に止めておき、続きは明日のブログ(後編)で・・・。
というのも、展覧会場のディレクション、グラフィック、空間構成、会場で上映されている映像、空間を包み込む音楽もとにかく素敵なので1日分の記事でお伝えするにはもったいなすぎます。明日はオープニングパーティーの様子も含めてお伝えしマース!

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2008年9月22日

ヴォーリズ展 ?恵みの居場所をつくる-

本日から芸術情報センター展示ホールでは「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展– 恵みの居場所をつくる」がスタートしています。(↓カーソルを近づけると裏も見れます。)
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ  ミッション建築
以前のブログ(330日付)でも滋賀県立近代美術館で開催されていた「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展」を紹介しました。その時はまだ計画中だった巡回展が今回、大阪芸術大学にやってきました。「やってきた」と、言ってもヴォーリズのスケッチや建築図面のほとんどが大阪芸術大学に保管されているものなので表現がちょっと違う感じもしますが。
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ ミッション建築
滋賀県立近代美術館の展覧会では展示されていなかった建築図面などもあり、精巧な模型や写真などを合わせると100点を超える資料が紹介されていて、また別の角度からヴォーリズ建築の世界を知ることができます。建築学科の方は必ず行っておきましょう!
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ ミッション建築
「ヴォーリズがのこした膨大な建築図面は、昭和501975)年に株式会社近江兄弟社から大阪芸術大学に移され、現在も建築学科研究室と博物館で保管しています。この本展ではその中から関西の建築物を中心に主要な建築図面約60点を選び、本学写真学科小原直講師による建築写真と共に展示しています。
西洋式の建築を日本の風土にあわせて新しい生活を提案したヴォーリズ、彼の建築活動と遺産はなんだったのか、そしてその思想はどのように日本に根づき、今の私たちの暮らしに息づいているのかを建築図面と写真から感じ取っていただければと思います。」
(主催者挨拶より)
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ ミッション建築
順路後半には「1/1模型」が展示されているので、ヴォーリズ流のコンパクトな住空間をそのままのスケールで感じることができます。その展示を抜けると映像資料コーナーへ。写真では見たことがありましたが、「動くヴォーリズさん」をここで初めて見ました。この映像、ヴォーリズ建築事務所の所員だった方のお孫さんから、本学の山形政昭教授が資料として譲り受けたものだそうです。プライベートに撮影されたおよそ50年前の貴重な映像です。必見。

●「ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展– 恵みの居場所をつくる
 2008年9月22日(月)→10月11日(土) [休館日:日曜・祝日]

 開館時間:10:00-16:00
 大阪芸術大学 展示ホール[芸術情報センター1F]
 入場無料

座談会 [10月4日 13:30-15:00 AVホール]
 石田忠範(元 一粒社ヴォーリズ建築事務所長)
 山形政昭(大阪芸術大学 建築学科 教授)
 籔 亨 (大阪芸術大学 教養課程 教授・大阪芸術大学博物館長)
 *定員200名[事前申込不要、参加費無料]

ギャラリートーク [9月30日 15:00-15:30 展示ホール]
 解説:山形政昭(建築学科教授)
 *[事前申込不要、参加費無料]

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2008年9月18日

展ファクトリー、開催中!

14日のブログでお伝えした「Factory」が今、開催中です。在校生の皆さんなら、もうご覧になった方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、受験を考えている方々など学外の方も是非この機会にお越しください。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 展Factory、開催中!
今回の「Factory」は、ギャラリースペースだけでなく総合体育館のエントランス部分やピロティも展示空間となっています。在校生が休憩したり、様々な人が行き来する空間にアートが共存している様子は「芸大はこうでなくっちゃ!」と思わせてくれます。(かつてのアートステージを思わせる雰囲気)
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
作品に感じる「非日常性」が日常にあってこそ、その場所が芸術大学らしくなるんだと思います。卒業制作の学内展のときにも似たような気持ちになりますが、今回の「Factory」はそれ以上です。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
また造形作品だけでなく、音楽工学ならではの作品があったり、音響と映像がコラボレーションした作品もあり、この展覧会の作品や変化に富んだ空間構成は「大阪芸術大学じゃないと成立しない」と実感させてくれます。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
今回の「Factory」は「8学科36人のつながりが生んだ展覧会」というサブタイトルが付けられています。「学生同士の制作を通した交流の場」を実現したものです。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
「学生同士の制作を通した交流の場とは、個人がバラバラに制作をしている大阪芸術大学で、1つの企画を通して、こういった制作をする学生がいるということを知り合う場をつくることで、これまでになかったつながりを生むというものです。」(「Factory」挨拶文より)
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
代表者・古島佑起さん(芸術計画学科卒業)は、卒業生として今の在校生、大学関係者に届けたい大きなメッセージを込めてこの「Factory」を企画されました。それは大阪芸術大学に関わるたくさんの人たちが「制作を通じて学科を問わず学生が交流できる機会」の必要性について考えてほしい、というものです。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
以前、古島さんが卒業して間もない頃、大学生活を振り返っての感想を聞いたことがありました。いくつかの思い出を話してもらう中で、「多くの仲間に恵まれました」という言葉が印象的で、コメントをそのまま広告に使わせてもらったこともありました。「自分を形作るには、知識や時間以上に人との『出会い』が大切だと思うのです」と後に続いた言葉でジーンとしたことを覚えています。
factory ten 展 ファクトリー てん テン 
昨日もらったこの展覧会の案内には超イキイキした36名全員の写真がありました。この「交流」の楽しさを表わしているかのようです。この「交流」こそ大阪芸術大学の「醍醐味」だと思います。
この「展-TEN-」は今年で3年目。今後もこの企画がずっと受け継がれていくことを期待します。

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