2009年1月7日

ギャラリーレポート2009

本日から授業が再開され、学内はまた賑やかな雰囲気に戻っています。そして息つく暇もなく体育館ギャラリーでは作品展が2つ行われていました。ひとつは大学院・博士課程(後期)1年生の絵画専攻の方の作品展。もうひとつはデザイン学科の3人による展覧会「kitoni」。
年明け早々の時期で告知を十分にしにくい上、どちらも会期が短い。それでもやる。そんな展覧会を観てきました。
ギャラリーレポート 2009
大学院・博士課程[後期]芸術専攻(絵画)の作品展は、9日(金)の午前中に作品審査が予定されており大学院主催のものです。今後、絵画専攻だけでなく他の研究領域の作品審査も行われるため9日の午後にはすぐ撤収。そして次の搬入が控えている、そんなあわただしいスケジュールなのだそうです。
ギャラリーレポート 2009
日本画専攻の夏苅琴可さんの作品は朱塗りの鳥居が連続する神社などの石階段の風景です。奥へ進むことが躊躇われるような独特の雰囲気の情景の中にある光が箔を巧みに使いながら表現されています。夏苅が描くこのテーマは以前から一貫していて、迷いながらもこのテーマを極めようと数多く描いた作品がシリーズのようになったのだとか。
ギャラリーレポート 2009
油画専攻の脇田桃子さんの作品は、たくさん曲線がうねりながらまとまっていくカタチがテーマとなっています。花などの植物を取り込みながら華やかな色彩で描かれています。以前見たときから随分作風が変わっていました。現在お勤めの職場に子供が多いそうで、その子供たちの髪が巧みに編みこまれていることがこの形状に興味を持つキッカケとなったそうです。

●大学院・博士課程[後期]芸術専攻 1年生(絵画)作品展
 平成2117日(水)→9日(金)
 10:0018:00 (※9日は12:30まで)
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ガーデンギャラリーで開催中の展覧会は「kitoni展」。
ギャラリーレポート 2009
ハッキリと説明することはできないんだけれど、自分を支えていたり、目標にしていたり、ライバル的なものだったり「なんとなく自分の周りにあるようなもの」がモチーフになっています。それがこの名前のない形の生き物(?)、「kitoni」です。
ギャラリーレポート 2009 kitoni
会場に置かれている黄色い絵本を読んでいただければこの展覧会のコンセプトが一番良くわかると思います。ある一人のデザイン学科生が主人公になっていて、その「なんともいえないモノ」とどう向き合っているのかが描かれています。
ギャラリーレポート 2009 kitoni
会場はワークショップがメインとなっています。来場者の方に思い思いのkitoniの形を紙から切り抜いてもらい、そこに言葉を添えて展示するというものです。きっと誰もがこんな思いを持っているハズだからそのいろんな思いを吐き出してもらおうというこの企画。
ギャラリーレポート 2009 kitoni
この展示の企画をした3人は3年生。就職活動を前にして、色々な思いが胸の中で渦巻いているんでしょうかねぇ?

kitoni
 平成2117日(水)→8日(木)
 7日は10:0018:008日は10:0016:00
 場所:体育館ガーデンギャラリー
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どちらの企画も昨日搬入が行われたそうです。授業がない日だったのに、このやる気はとても健気です。そしてこんな「やる気」のお蔭でギャラリーレポートは今年も続きます。

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2008年12月13日

Q3展 キャラ造の顔 -外に発信するキャラ造-

「Q展 キャラ造の顔?外に発信するキャラ造?」
Q展 キャラ造の顔 キャラクター造形学科作品展
キャラクター造形学科の実習で制作された作品を一堂に展示する「キャラクター造形学科展」、略称「Q展」。本日まで開催されている「Q展 キャラ造の顔?外に発信するキャラ造?」を見に体育館ギャラリーに行ってきました。
Q展 キャラクター造形学科作品展
「Q展」の「Q」は“キューブ”と読むのだそうです。正六面体の「6」とキャラクター造形学科の6種類のカリキュラムの系統をかけて名付けられました。「マンガ」「立体アニメ」「レタスアニメ」「GIFアニメ」「アナログゲーム」「デジタルゲーム」の作品がギャラリーの空間を埋め尽くしています。
Q展 キャラクター造形学科作品展
以前、「東京国際アニメフェア」の会場に行ったことがあります。規模や華やかさは比べ物になりませんが、雰囲気やイメージはそれと似ています。広い会場はコンテンツの種類ごとに空間が区切られていてメディアミックス、3回生ゲーム、2回生漫画、3回生漫画、絵本、2年生ゲーム、クレイアニメ、レタスアニメと続いています。ゆっくり見ると小一時間かかりそうなほど作品数はたくさんです。
Q展 キャラクター造形学科作品展
日野日出志先生担当の「メディアミックス」という授業では、まず各グループが「メディアミックスによるキャラクタービジネスの新会社」の設立を想定し、企画会議→キャラクター制作→ビジネス展開会議→実制作という段階で進んで生きます。その授業で制作される作品は出版業界、放送業界、映像業界、通信業界など様々な業界に対してのアプローチを想定したもので、ポスターやゲームやDVDのパッケージはもとより、CGアニメやWEBやモバイルサイトなどのデジタルコンテンツ、衣類、飲料水の企画まで様々な形で展開していきます。
Q展 キャラクター造形学科作品展
Q展 キャラクター造形学科作品展
2年生の漫画制作実習(担当:バロン吉元先生)で制作される作品は、自然描写や建築描写、メカニック描写を含んでストーリーや設定を生かす画面構成を学びます。マンガ特有の2色・4色カラーの彩色原稿を作成しいきます。
Q展 キャラクター造形学科作品展
Q展 キャラクター造形学科作品展
さらに3年生の漫画制作実習(担当:里中満智子先生)の作品は、Photoshopを使ってのデジタルイラストが展示されています。
Q展 キャラクター造形学科作品展
3年生のゲームデザイン実習(担当:細田伸明先生)の作品は、ストーリーを重視したゲーム企画書を基にキャラクターと美術設定を制作するものでした。メインビジュアルとして商品ポスターが製作され、その作品が展示されていました。
Q展 キャラクター造形学科作品展
会場の作品展示はまだまだ続き、次のセクションではカードゲーム、ボードゲームの作品を見ることができました。アナログゲームの制作を通じて「遊び」そのものをあらためて考え直し、展開していくストーリーや環境設定、美術設定、キャラクター制作などの工程を経験します。
Q展 キャラクター造形学科作品展
Q展 キャラクター造形学科作品展
アニメセクションには2台の大型モニターを使ってローテーション上映されており、コーナーの壁面には作品制作に用いられた絵コンテがびっしり展示されていました。
Q展 キャラクター造形学科作品展
キャラクター造形学科の個性豊かな作品の数々が発表されていますので、これを見れば「キャラクター造形学科って何してんの?」って疑問はなくなるはずです。あいにく今日までの会期ですが見れる人は今からでもトどうぞ。本日は15:00までです!

● Q展 キャラ造の顔?外に発信するキャラ造?
 129日(火)→13日(土)
 10:0018:00 ※ 最終日は15:00まで

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2008年12月5日

AAC 電子音響音楽フェスティバル2008

昨日から3日間の日程で開催されている「電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART CIRCUS 2008」。学外はもちろんのことフランスや韓国、今年はイタリアなど海外からも出演者、ゲストを迎え開催されています。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
このフェスティバルは芸術情報センター地下にある実験ドームで行われています。大阪芸術大学が誇る立体空間音響システム“アクースモニュウム”を用いての演奏は、多次元、いや異次元に飛び込んだような感覚です。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
本日は15:00からイタリアのレッチェ音楽院教授、フランコ・デグラッシ氏による特別講義が実験ドーム内で行われました。「イタリアの電子音響音楽の歴史」と題された講義の中では、様々な音源や映像などを用いてイタリアにおけるアクースマティック音楽の現況について解説いただきました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
その中で、今日のようにコンピューターや音響機材が小型化されていない時代にも研究が続けられていたイタリアの研究所の白黒の映像などが紹介されました。当時最先端とされていた音響研究設備は今からは考えられないくらい大きなものでした。今のデジタル技術や機械技術の発達の速度やすばらしさをあらためて実感できました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
16:40
からの学生コンサート(3)、教員コンサートも聞かせていただきました。音響素人の私ですので技術的なことはよくわかりませんが、演奏者は魔法使いのようです。真っ暗にされた会場の中に作られる音響空間は、演奏者の手によって拡げられたり歪められたりするような錯覚に陥ります。サンプリングされた様々な音は、加工され、立体的に配置されたスピーカーからどのように空間に発せられるかで音響空間の表情がめまぐるしく変わります。作曲+演奏によって作者の哲学を表現している点が「抽象画」のイメージと重なります。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
大塚勇樹さんの作品「Bachelorette Mechanica」は、フランスの医学者ジュリアン・ラ・メトリの著書「人間機械論」からイメージされた作品でした。一定の間隔で繰り返される機械的なリズムや全速力で走った後の喘ぐような呼吸のリズム、ノイズが刻むベース音のようなものなど様々な音源を組み合わせて表現されていました。我々の感情や愛までもが科学的な性質であるとする考えを表現しようとしたものでした。我々はまさに機械であると主張するものの、どこかでそう思いたくないような「迷い」のようなものも表現されていたように感じました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
色も形のないのに、表情もメッセージも伝えることができる不思議な電子音響音楽の体験でした。いわゆる「楽器」を演奏することや絵を描くこととは全く違いますが、空間を使って音で表現することで人を魅了できる「音響」というものにすごく感心しました。電子音響音楽にしか作ることができない多次元性の最たる空間でした。

●電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART CIRCUS 2008
 2008年12月4日(金)→12月6日(土)
 大阪芸術大学 芸術情報センター地下2階 実験ドーム
 >>>学生コンサートなどのスケジュール

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2008年11月28日

大学院 工芸展

本日まで体育館ギャラリーで行われていた「大学院 工芸展」を見てきました。この展覧会は大学院博士課程[前期]工芸領域の1回生による作品展です。本日、午前中合評会が行われたようです。その合評会場にお邪魔できればよかったのですが、伺ったのは15:00を過ぎてから。閉館の17:00(最終日)までになんとか間に合いました。
大学院 工芸展
ガラス工芸、金属工芸、染織、陶芸の10人の作品が体育館ギャラリー全体を使って展示されています。それぞれの作品の世界が干渉しあわないように全体的にゆったりと展示されています。
大学院 工芸展
学部の卒業制作のテーマや技法を発展させて制作されたものが多かったように感じました。会場に入ってすぐのガラス工芸の作品『COCCO”いつかのカタチ』(高田賢三さんの作品)も一目見て高田さんの作品だとわかる作風でした。板ガラスを積層させる細かく丁寧な仕事は卒業制作『Myplant』という作品で使われた手法です。
大学院 工芸展
目線より高い位置に展示されている大きな金属工芸の作品は、ボブさんです。彼の名前を知っている方も多いと思います。
大学院 工芸展
今も金属工芸コースの研究室前に『はじめましてボブです。』」(北 直人さんの作品)という卒業制作が置かれていますが、今回の作品はそのボブが物思いにふけっている作品『もう一度あの夢がみたいな』です。“あの夢”ってどんな夢なんでしょう?
大学院 工芸展
次の作品は白く薄い布で区切られた空間に展示された『poko poko』(木林由佳さんの作品)。作品名の音感のとおり、床面からどんどん生まれ出てくるような形です。水中での浮力のような上向きの力やカタチが成長していく時間が感じられます。
大学院 工芸展
染織の作品『調和』(李 美淑さんの作品)は綿とシルクをつかった大きな作品です。真ん中に刳り貫かれた四角い部分が全体の重量感を切り替えて軽やかにしています。色や質感だけでなく形にもこだわった染織作品でした。
大学院 工芸展
9
月下旬に行われていたテキサヘドロンでも展示されていた染織作品『顔』『目のない顔』(藤岡由衣さんの作品)は、黒が美しい作品です。卒業制作『混在する自我』から一貫した作風です。コントラストの妙は藤岡流。力を感じます。そして作品の中に表現されているものを見つける面白さがあります。
大学院 工芸展
会場のなかで一際華やかなのが『笑うおしり』(杉本ひとみさんの作品)です。卒業制作『欲張りなお尻』からテーマを発展させた作品です。
大学院 工芸展
お尻のフォルムにこだわりながらも、身の回りの様々な形を取り入れて表現されています。制作された作品の数も多く、展示方法も変化を付けています。クルクルと回って拡がったスカートの下からお尻が見える(お尻を見せる)ような展示は、とても愛らしい。
大学院 工芸展
凛とした存在感があるのが『building』(金城有華さんの作品)です。爪先立ちする足に施された螺旋階段。四角くあけられた孔は窓のよう。
大学院 工芸展
大学から見えるPLの塔は、忍者がドロンとやるときの手の形のようなものがイメージされていると聞いたことがありますが、この作品も建築的にありですね。意味深いです。
大学院 工芸展
人体をテーマにした陶芸作品は廣江美響さんの作品です。2つの作品のどちらもが“女性”を強くイメージさせる作品で「no title」となっています。作品名による先入観を排除しています。花が施された位置や細かな襞の形状は女性器を連想させる作品です。

そして最後は鈴木翔さんと倉田篤志さんが共同制作された作品『百景園』です。コケを施したいかにも日本的な印象とともにユーモアを兼ね備えた作品です。シンプルで柔らかな曲線はプロダクトの作品として成立しそうです。
大学院 工芸展
もう片方の作品は水盤を使った作品です。水面から離陸できる飛行機のような機械の大きなプロペラが回転しその振動が水盤に複雑な形の波紋を作り出します。機械の水上の動きが安定してくると、波紋は定常波となり水面が美しい表情になります。
アストロ温泉 百景園
と、観てきた「大学院 工芸展」。毎年、工芸学科の卒業制作も見応えがありますが、大学院生の作品展はそれぞれの学生さんを作家としてみて、作品の変遷を見届けるというか、その歴史を知るという点で面白いですね。

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2008年11月26日

「さよなら」だなんて、言うなよ…。

アートストリーム2008エルマガジン賞”受賞、The Sixへの参加など大活躍中の「アストロ温泉」が何故「さよなら」だなんて・・・。
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
現在、体育館ガーデンギャラリーでは『さよなら、アストロ温泉』が開催中です。まさか、これが見納めなのか?そして何故ポスターがこのビジュアルなのか?
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
会場はガラス面を暗幕で塞ぎ、真っ暗な中で展開するアストロ温泉ワールド。観光局長のスズキ氏によると、ディスコ風な空間を目指したのだとか。
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
丸いサーキットをグルグル駆け抜けるミニ四駆がコース上に仕掛けられた電飾のスイッチ入れていくの作品など新作も登場しています。
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
そして今まで謎に包まれていたアストロ温泉のジオラマの展示などアストロ温泉ファン必見です。へー、アストロ温泉の周辺はこうなっていたのか!
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
そんなアストロ温泉がなんと求人活動を始めています。「アストロ温泉観光局局員、急募!!」。広報部長のタカギさんの卒業に伴い「急募」なのだそうです。雇用条件、待遇などは今回の会場に設置されている求人案内にてご確認ください。
アストロ温泉 Talente2009 ブリーゼタワー TheSIX
これから年末に向け東京で開かれる「The SIX」への参加、西梅田・ブリーゼブリーゼで開かれる「via art OSAKA 2008」、来年にはドイツ・ミュンヘンでの「Talente2009」への出展などなど、とにかく忙しくなってきたアストロ温泉。えっ、ミュ、ミュ、ミュンヘンですかぁ?!つ、ついに海外進出なんですね。そりゃぁ、人でも必要ですね。

そのミュンヘン行きの作品「百景園」が隣のギャラリーで開催中の「大学院 工芸展」に出品されています。コチラも是非ご覧アレ。こんなに活発に活動しているのにホントに「さよなら」なんですか?センチメンタルになった人は体育館ギャラリーへ。

●「さよなら、アストロ温泉」
 2008年11月25日(火)→11月28日(金)
 11:00-19:00
 総合体育館ガーデンギャラリーにて

●大学院 工芸展
 2008年11月24日(月・祝)→11月28日(金)
 総合体育館ギャラリーにて

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