2013年3月9日

横尾和宏展 (美術学科07卒) ギャラリー風

8月23日から9月1日まで、横尾和宏さん (美術学科07卒)の展覧会が、ギャラリー風にて行われていました。 

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ヌラッとした画面とほのかに明るく浮かびあがったイメージから、エロティックな感触が伝わってきます。ほの暗い背景から奇妙な光で浮かびあがるイメージは、肉体の一部を想起させそれを描く筆跡は肉体の表面をなでるようにあります。

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ほの暗い背景とそれより少し明るさを増したイメージ、あるいは背景より暗く同じ暗さに溶け込もうとするイメージがみえます。「地と図」の関係をわずかな明暗で描き分け、また互いの内にもその同質な明暗が同居することにより、画面は僅かながら深みが作られています。その深みは遠近法のように目視で測れるものではなく、手触りの触覚感でそれを感じられるものとなっています。あたかも霧の中を手探りで何かを知覚するように、この絵画は制作されています。

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浮かびあがる肉体らしきものは柔らかな曲線しなやかな曲面で形作られ、背景との接点も曖昧なまま重力も感じず茫洋と浮遊しています。時折みせる赤黒いラインが茫洋とする空間に滲みながらも、画面に釘を刺すようにあり鑑賞者のまなざしを一瞬留めるように存在します。この赤黒い存在は何なのか、まなざしを多様な世界へ導くための徴でもあるような気がします。

深遠であり、また原初の形態に触覚的エロティシズムが感じられる絵画であったと思います。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室