2018年6月16日

動物芸術論 科学的に正確な動物表現とは…?

今年も、「動物芸術論」の授業にお邪魔してきました!

教養課程主任教授の若生謙二先生が担当され、昨年度から開講しているこの授業。
若生先生以外にも、動物絵画、動物写真、動物造形など、さまざまなジャンルで活躍される方がオムニバス形式で授業を行ってくださっています!
ブログ担当も昨年より何度か授業にお伺いしており、写真家の中村陽子さん彫刻家のはしもとみおさん海洋生物イラストレーター・ライトアニマル代表の河合晴義さんの授業を紹介させていただきました。
 

続いて今回私がお伺いしたのは、サイエンスイラストレーターの大内田美沙紀さんによる授業です!!

みなさんは、サイエンスイラストレーションってご存知ですか?
実は、科学界でイラストレーションは大きな役割を担っていて、好奇心を引き出したり、直感的な理解を促したり、詳細な情報を正確に伝達するために活用されています!
教科書や科学雑誌の挿絵などにも見られますよね。


大内田さんはワシントン大学で人類学を研究された後、コーネル大学鳥類学研究所やスミソニアン自然史博物館などでサイエンスイラストレーションのインターン、コントラクターの経験を積まれました。
そして現在は、京都大学iPS細胞研究所でサイエンスイラストレーター・コミュニケーターとして活動されています。
新種の昆虫や魚をイラストに起したり、化石などから科学的解釈で生きている姿を再現したり、シンポジウムなどのキービジュアルをデザインされることもあるそうです。

大内田さん曰く、サイエンスイラストレーターにとって「リサーチが命」だそう!
授業では、リサーチの有無で一体どれくらい表現に差がでるのか、実際に手を動かして体験しました。

まずは10分間動画を見ながら、5匹の金魚の違いがわかるように描写するという課題に挑戦。
私も参加してみましたが、金魚は水槽を泳ぎ回っているので、形を捉えるのにも一苦労でした。

 

続いて、今度は大内田さんから金魚を描くポイントが伝えられました。
金魚には背びれ、尾びれ、胸びれ、腹びれ、尻びれがあり、その位置や形によって特徴を捉えることができるのだそうです。
そこで今度は、知識を得た状態でもう一度同じように動画を見てイラストを描いてみることに。
すると、今度はある程度観察すべき箇所がわかっているので、1回目よりも本物に近い金魚を描くことができるようになりました!


同じく、羽ばたく鳥の動画で、翼を上に広げた状態と、下に広げた状態の2パターンのイラストにもチャレンジしました。
ここでも、鳥の翼についての知識を得た後の方が、より具体的に生態をイラストに表すことができました。

 

授業の最後には、「絵を描くためには、研究もしてみてください!」と伝えられた大内田さん。
サイエンスイラストレーターに限らず、どんな表現をするにしてもその対象のことをよく調べることが大切なのだと感じました!
ありがとうございました!!

 

投稿:島田(学生課)


2018年6月7日

茂本ヒデキチ先生 特別授業

昨日 6月6日は、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」でした。
「芒」は、稲や麦などイネ科の植物の先端にある棘状になった突起のこと。
そして「芒種」は”稲や麦などの穀物の種を撒く”という意味で、梅雨に入る頃と言われています。
近畿地方ではちょうど昨日、梅雨入りが発表されましたね。
これまでの初夏らしさとは一変して、これから蒸し暑さを感じるようになりそうです。
 

さて、春に授業がスタートして、早2ヶ月。
このブログでは、今年度からの新しい授業や、新任の先生方を紹介してきましたが、まだまだお伝えしたい授業がありますよ!

今日は、デザイン学科の茂本ヒデキチ先生の授業にお邪魔してきました! 

茂本先生は本学デザイン学科卒業生で、墨によるドローイングを得意とされ、既存の墨絵では描かれなかったモチーフをスピード感あるタッチで表現。
ユニバーサルスタジオジャパンの「USJクールジャパン2017」キャンペーンポスタービジュアルを担当された時には、シン・ゴジラやエヴァンゲリオンなどを迫力ある墨絵で表現されていたのが印象的でした。
この他にも、雑誌「TARZAN」の表紙イラストや、「東京2020」に向けたオリンピック・パラリンピックの競技を描いたイラストなど、さまざまな墨絵を手がけられています。
昨年度は、本学のオープンキャンパスでライブペイントを披露してくださったり、スカイキャンパスでは展覧会も開かれました。
そして、今年度よりデザイン学科客員教授に就任!!
墨絵を通して、学生たちにイラストレーションの表現について教えてくださいます。

 

今日は、茂本先生にとっての初回授業。
午前中は特別講演会が開かれ、講義形式で茂本先生のお仕事について紹介されました。

 

そして午後には、デザイン学科イラストレーションコース2年生を対象にワークショップを開催!
学生たちは、茂本先生指導のもと、人間の肉体をモチーフにして、墨絵に挑戦しました。

 

最初は恐る恐る筆を動かしていた学生たちですが、茂本先生からコツを教わると、何枚も完成させていきました。
大胆に力強い筆遣いをする学生もいれば、先端の毛を使って繊細な表現に挑む学生も!
墨は個性が出やすい画材なので、同じ紙、同じ筆を使っていても、描いた人によって全く違った表情を見せるのが面白いですね。

茂本先生は、そんな学生たちの作品1つひとつにアドバイスされました。

学生から「墨絵でミスをした時どうされますか?」という質問が飛び出すと、
「ライブペイントをする時は、間違えて描いたところは影にしたりして誤魔化しています。でも、仕事で依頼されたイラストを描く時は、少しでも気に入らないと描き直します。」とのこと。
茂本先生のイラストは一度筆を下ろすと1枚5分くらいで描き上げてしまうそうですが、納得がいくまで100枚でも描き直すのだとか。
そうしてじっくり時間をかけて、あの魅力的なイラストが完成するんですね。
ただし、気に入らない箇所があっても途中で絵を放棄はせず、必ず1枚描き上げてから次の紙に移るのだそうですよ。
 
 

今後も、モチーフを変えて墨絵のワークショップを予定されているほか、学内でライブペイントも実施したいと話してくださった茂本先生。
これからの授業展開にも、注目です♪

 

投稿:島田(学生課)


2018年6月5日

OUA-TV実習スタート!!

今日は、放送学科制作コースの授業をご紹介します。
制作コースでは、放送業界で通用する即戦力を身につけるため、テレビやラジオの番組づくりを学びます。

2年生の「制作実習Ⅰ」では、「ラジオ」「ドラマ」「ドキュメンタリー」「スタジオ」「中継」の実習から、前期で1つ・後期で1つを選び、制作に挑戦。
そして3年生の「制作実習Ⅱ」では、「ラジオ」「ドラマ」「ドキュメンタリー」「スタジオ」、そして今年度からスタートした「OUA-TV」の5つから1つ選択し、1年間かけて、より専門的な実習に取り組みます。
 

私が先日お邪魔したのは、新しくスタートした「OUA-TV実習」!

この実習では、大阪芸術大学テレビ事務室OUA-TV)で制作しているアート情報番組「大阪芸大テレビ」のコンテンツを企画・撮影・編集します。
「大阪芸大テレビ」は現在、奈良テレビ放送、サンテレビジョン、テレビ和歌山でオンエア中。
地上波での放送基準を満たした作品制作に挑みます!


この日は、授業を担当されている放送学科講師の井口俊宏先生に加わり、テレビ事務室でカメラマン等の業務に就かれている北條宏哉さんが特別指導!
北條さんは、大手テレビ技術プロダクションにおいて、スポーツやイベント中継、報道、バラエティー、ドキュメンタリーなどのENG(※)を担務。
2016年よりフリーランスとなり、テレビ番組撮影からVP制作まで幅広く活躍されています!
※ENG(Electronic News Gathering)は、直訳すると「電子的ニュース取材」という意味になりますが、一般には持ち運べるカメラでの取材体制のことを表します。


今回は、「1つの場所でカットを稼ぐ」「1つの被写体でカットを稼ぐ」というテーマで、北條さんが実際に撮られた番組の映像を見ながら、撮影のノウハウが伝えられました!


大学の課題は時間をかけて取材しても問題ありませんが、プロで現場に出ると取材時間が決められていることが少なくありません。
限られた時間の中でたくさんカットを稼ぐには、やみくもにあちこち動き回るより、1つの被写体を色んなサイズアングルカメラワークで撮影したり、1つの場所から撮れるカットをたくさん見つけ出すのが効率的なんだそうです。
ただし、単に数を稼げばいいという訳ではなく、映像で伝えたい企画に合った、編集で使えるカットでなければ意味がありません。(んん~難しい!!)

時間に追われる中で、何に重みを置くのか、その「重みづけ」がENGの撮影ではとても重要なんです。
「例えばカフェの紹介なら、お店の外観が10カットあるより、美味しいスイーツが10カットあった方が、その魅力を伝えることができますよね」と北條さん。わかりやすい!
 

授業の後半は、北條さんの話を踏まえて、中継車の紹介映像(約1分)の制作にチャレンジ!
「まずは、映像の粗構成を考えて、その撮影に必要となる機材を選ぶこと!」と井口先生から指導があり、2つの班に分かれて打ち合わせが始まりました。

 

その間に私も、静止画ですが、カットのパターンを考えて中継車の周りをウロウロしていました。

しかし、なんだかしっくり来る構図ができず…


「バランス良く撮れないんです」と北條さんに尋ねると、素早くカットを決めてくださいました!

(全然違うのがお分かりいただけるでしょうか!?)

「スポーツカーのような車は人間の目線で見て美しく見えるようデザインされていることが多いですが、中継車のような車はどっしり感を伝えたいので、しゃがんで撮影するのが一つの見せ方ですよ」とのこと。
こういったスタンダードなカットが決められるようになったら、その味付けとしてトリッキーなカットを増やしていくと良いそうです!


「大阪芸大テレビ」では、学生たちが授業で制作した映像も、すでにオンエアされていますよ!今後も注目です!!
地上波の放送にも通用する作品が早くたくさん制作できるよう、がんばれ学生たち!!

 

私もブログ取材を通して、構図の綺麗なカットが撮影できるよう、精進して参ります!

 

投稿:島田(学生課)


2018年5月31日

オオゴシトモエ先生による模型演習

今日のブログは、キャラクター造形学科からの投稿記事をご紹介します★

キャラクター造形学科フィギュアアーツコースにて開講の「模型演習」にて、面白い特別講義が行われました。


普段は池上陽二先生によって、フィギュア造形に関わる様々な素材、技術について学ぶこの授業ですが、この日はプロモデラーのオオゴシトモエ先生による“接着剤”についての技術演習となりました。

 

学生たちは実際にプラモデルを組み立てつつ、様々な種類の接着剤とその特性について楽しく学べた様子です。
今後も「模型演習」では、フィギュア制作に必要な知識や技術をガッツリと学習していく予定です。
今回授業で使用した接着剤ですが、株式会社GSIクレオス様より、学生の為に、とご提供いただきました。そして、スタジオユーワ様よりプラモデル「プラモザル」「プラモニャル」をご提供いただきました。
本当にありがとうございます!!


(キャラクター造形学科)

今年度より本学で教鞭をふるわれている、オオゴシ先生!
モデラーとして活動の傍ら、プラモデルのナビゲーターとして多くの模型教室も開催され、ものづくりの楽しさを広める活動を積極的に行っていらっしゃいます。
これからの授業展開にも、期待です♪

 

投稿:島田(学生課)


2018年5月28日

小田隆先生「美術解剖学」

みなさんは人物を描く時、何頭身で描きますか?
私は…ご覧のように、3頭身くらいで描くことが多いです。
デフォルメしたキャラクターは、手の大きさや足の長さなどの比率を自分で決められるので、自由に描きやすいんです。
ところが、実際の人間のプロポーションに寄せて描くと、肩幅が狭かったり腕が短かったりと、少しでも比率が違えばすぐにバランスが悪く見えてしまいます。
この人体描写の難しさは、絵を描く人なら経験したことがあるはず。
 

そんな方にぜひ受けていただきたいのが、専門関連科目(美術学科は専門教育科目)で開講されている「美術解剖学」です!
この授業では、骨格や筋肉の構造を知り、人体描写の制作に役立つ知識を身につけます。


授業を担当されているのは、今年度より教養課程准教授に就任された、小田隆先生。
小田先生は画家・イラストレーターとして活躍され、博物館のグラフィック展示や図鑑の復元画、絵本、科学普及書など多数制作されています。

 
私がお伺いした日のテーマは、「プロポーション」。
日本語に訳すと、「比率」という意味です。

頭身の計算方法は、頭頂部からあごの先端までを頭部の長さとして、「身長÷頭部の長さ=頭身」。
身長175cmで頭が25cmなら、175÷25=7頭身になります。
「8頭身美人」という言葉がありますが、実際に8頭身の人はなかなかいないそうで、こちらの骨格模型も平均的な7頭身でつくられていました。
(ちなみに私も測ってみたら、大体7頭身でした。)

 

写真は左から、胸骨手の骨(手根骨+中手骨+指骨)、尺骨上腕骨脛骨大腿骨足の骨(足根骨+中足骨+指骨)、腸骨頭蓋骨です。

授業では、これらの骨がどれくらいの比率でできているのか、比べてみることに。
例えば、足の大きさは、頭の長さとほぼ同じくらい。
手は足よりも少し小さくなります。
肩幅は、大体頭2つ分くらい。
また、大腿骨と脛骨だと大腿骨の方が長いのですが、脛骨に足の骨(高さ)を足すと、ちょうど大腿骨と同じくらいになります。

 

なかなか骨を分解して比べる機会はないですね!

さらに、身体を7頭身とした時のちょうど3番目くらいに臍が来ることや、腕を下げると手首と恥骨の高さが同じくらいの位置になることなども教えていただきました。

 
 

前期にはこのような骨について学び、後期は筋肉について教えてくださるとのこと。
絵を描く学生だけでなく、舞台芸術学科のように身体表現を学ぶ学生にも好評のようです!

授業が終わった後も、先生への質問が後を絶たず、学生たちの関心が深まる素敵な授業でした♪

 

投稿:島田(学生課)