2017年7月20日

動物芸術論「ライトアニマル」

先日ご紹介した、教養科目「動物芸術論」。
教養課程主任教授の若生謙二先生が担当され、若生先生による授業の他、定期的に動物写真、動物絵画、美術解剖学、動物彫刻、動物イラスト、動物映像のエキスパートを招いて、特別講義を行っています。

7月には、海洋生物イラストレーター・ライトアニマル代表の河合晴義さんがお越しになりました!!

 

河合さんが描くイラストは、研究者の目にも耐え得る、正確な描写が大変評価されています。


実は、海洋生物は陸上で活動する動物よりも、特徴を捉えることが非常に難しい生き物らしいです!
まず、海の中にいるので、実際の色とは違って見えます。
それなら陸に上げて見ればいいじゃないかと思うかも知れませんが、空気に触れると変色する生き物もいます。
その上、水槽で飼育されている生き物は、野生とは全く違う可能性もあるのだとか。
また、よく生き物を描く時に言われる「骨を見て描くと良い」という話も、水中にいる生き物には通用しないこともあるそうですよ。
ですので、足りない情報は、知識や想像、これまでの経験などで補って描かなければいけないのです。


観察することで見える、海洋生物の生態。
河合さんは、それぞれの生き物をしっかりと研究することで、それをイラストに活かされています。
図鑑に掲載するリアルなイラストはもちろん、マスコットキャラクターのような可愛らしい絵を描くことも。
しかし、どんなにデフォルメしても、指の数や模様の形など、どんな種類の生き物なのかがわかるよう、特徴は正確に表現することを心がけているそうです。


また、河合さんの取り組みは、イラストだけにとどまりません。
イラストでは表現できない、生き物の立体感を表現できないかと考えられたのが、「ライトアニマル」というものです。
ライトアニマルとは、本物の動物であるリアルアニマルに対して、光で表現した動物として名づけられました。


「LightWave 3D」や「ZBrush」といった3Dのソフトを使って制作されており、骨(ボーン)を組んで、その上に皮膚を表現し、まるで本物の海洋生物が目の前にいるかのような映像をつくり出しています!!
大きなスクリーンを使えば、実物大のクジラも表現することができるそうですよ!!


実際に、ライトアニマルのクジラを呼んでくださいました!
どんな瞳をしているのか、どんな凹凸がついているのかなど、じっくりと観察することができます。
本物のクジラをこんな間近で見る機会は、なかなかありませんよね。


ライトアニマルの特徴として、どんな生き物でも展示できることや、飼育下では見ることができない生態を知ることができる、場所を選ばないことなどが挙げられます。
また、水族館の運営のためには、どうしても生き物の死を避けることができませんが、ライトアニマルにはその心配もありません。
河合さんは、「生き物の大切さを伝えるためのツールとして、これからさらにリアルで立体的な海洋生物を表現していきたい」と話されました!!

「みなさんも、若い発想で新しいアートを見つけてみてください!」

素敵な講義を、ありがとうございました!!

 

投稿:島田(企画広報部事務室)