2014年12月24日

文芸学科特別講義「小説を書き続けること」

12月12日(金)、文芸学科で特別講義「小説を書き続けることが行われました。
講義を担当するのは、文芸学科の卒業生でもある、小説家の綾崎隼さん。

綾崎さんは大学を卒業後、2009年に「夏恋時雨」で第16回電撃小説大賞選考委員奨励賞を受賞!
「蒼空時雨」に改題して2010年にメディアワークス文庫よりデビューしました。


小説は、映画や舞台と違い、紙とペン、もしくはパソコンやスマートフォンがあればすぐに書き始めることができますよね。
長さについても規定はありませんし、頭の中に浮かぶものを文字にして表現すればいいので、私にも書けるかも…?なんて思ってしまいそうです。
でも、文章だけで人々の心を掴むって、とても難しい表現の世界だと思います。
ことばから景色や音、声色、感情、匂い…あらゆるものを想像してもらえなければなりません。
私はブログを書く時、いい表現が思い浮かばなくて、よくつまずいてしまうんですよね…。
実際に活躍されている小説家の方は、一体どのように作品を生み出しているのでしょうか?

今回の講義では、綾崎さんの学生時代の話やデビューまでの道のり、小説を執筆する環境、そしてそれぞれの作品についての制作意図や狙いなどが語られました。
綾崎さんの作風は、恋愛を主題としながらも、全編に伏線を張り巡らせたミステリー的な要素を含むものが多いのが特徴です。

改題したというデビュー作「蒼空時雨」は、物語の冒頭から読む人の心を掴むために、あえて最初の方でトリックを披露してびっくりさせるという展開を描いたと言います。
また、女性読者の割合が高くなると推測した担当編集が、何人かの女性編集者にリサーチを行い、ヒロインの描き方に変更を加えたそうです!
やはり、いくらストーリーが魅力的でも、登場人物が愛されるキャラクターでなければ、読者の共感は得られませんものね!!

図書館を舞台にした「吐息雪色」の話も興味深いものでした。
幼い頃に両親を亡くし、妹と二人きりで生きてきたOLの女性が主人公で、ある日、市立図書館で司書に恋をするというあらすじです。
漫画や雑誌のコラムを読んでいて、”こんな作品が書きたい”と思い付いて表現した小説だそうです。
どうすればこんなに複雑な人間関係を繊細に表現できるのか?!と思うような設定も、上手くまとめられています。

また、上下巻ものになっている「赤と灰色のサクリファイス」、「青と無色のサクリファイス」は完全ミステリーもの。
この作品の工夫は、まず上巻で推理に必要な材料を全て出しておいて、読者に推理してもらうというもの。
さらに、犯人を当てるだけで終わりそうなミステリーものですが、実はもう一つタネを仕掛けたそうです!!
うーん、気になる!!!ぜひ、私も読みたいと思います。

講義を通じて感じたのは、綾崎さんの作品は単純なストーリーではなく、何重にも重なった物語の運びがループして、何度も読み返したくなる作品なのだなということです!!
あらすじがわかっていてもまた読みたくなる作品が、本当に良い小説ですよね。


教室には、綾崎さんの小説を何冊も持ち込む熱烈なファンの学生もちらほら!!真剣な眼差しでした!!
今はまだまだ読む側の学生たちも、これからどんどん書く側へと移っていくんだろうなと思うとワクワクします。
どんな作品が生まれるのでしょうか…?

投稿:島田(OUA-TV)


2014年12月18日

放送学科声優コース 実習発表会!

台風並みの寒波が大阪にも到来し、大学近隣も天候が荒れていました。
とても寒いですが風邪などひかないようにお気をつけください。
今年も残りわずか!!元気に年を越したいですね!!

さて、放送学科ではそれぞれのコース(制作、アナウンス、広告、声優)ごとに、学生たちが勉強してきたことを皆さんに発表する実習発表会というものがあります。
今日は声優コースの実習発表会におじゃまいたしました。

中に入るとお客さんがたくさんいる中で、10月に開催された本学主催のシンポジウム「朝日・大学シンポジウム 声優学概論 声は時代だ。」でも話題となった「金庫破りと刑事」が上演されていました。


オー・ヘンリーの短編小説「よみがえった改心」に脚色を加えたもので、市長となった元天才金庫破り・ジミー・バレンタインとそれを追う刑事・ベン・ブルースの物語です。
声優コースの発表は朗読劇となっており、普通のお芝居とは少し違います。
舞台の上にはマイクが三本。台本を持った学生達がかわるがわるマイクの前に立ち、音読するスタイルで役を演じます。
とてもテンポが良く、学生たちが次々と役を演じる様子は観ていて楽しいです。

舞台後半、誤って金庫の中に入ってしまった少女を救うよう、市民たちが市長に詰め寄るシーンがあります。
学生たちの息のあった声が鬼気迫るものでとてもリアルに感じました。
お芝居を学んでいる最中の大学生とは思えない素晴らしい芝居力でした!
寒い日に心暖まるお芝居を観に行くのもいいですね!

投稿:田中(OUA-TV)


2014年12月9日

キャラクター造形学科 特別講義「視点」!

12月1日(月)、キャラクター造形学科主催の特別講義「視点が行われました。

担当したのは、客員教授の吉良俊彦先生と、「神風動画」代表取締役の水崎淳平さん。


神風動画とは、アニメーションやCGに関する企画・制作を行っている企業です。
「ジョジョの奇妙な冒険」をはじめとするアニメーションのオープニング映像、Mr.ChildrenやEXILEといったアーティストのコンサートツアーの演出映像、ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの映像など、さまざまなジャンルの動画制作を手がけています!

一方の吉良先生は、「マンガデザイナーズラボ株式会社」のエグゼクティブ・プロデューサー。
マンガとデザインを結びつけた新しい広告スタイル”マンガデザイン”を提案し、数多くの広告を制作されています。
東武東上線開業100周年を記念した冊子の制作や、阪急百貨店うめだ本店の婦人服フロアとコラボレーションした「うめはんジェンヌキャラクター総選挙」など、マンガデザインを生かした広告を展開しています。

さて、今回の講義では、神風動画とマンガデザイナーズラボが制作した映像作品が数多く上映されました!!
マンガ原稿を使用して動画にしたユニークなCMや、動画のメイキングなども紹介。
メイキングを見ると、動きのタイミング合わせの仕方や、どのようなエフェクト(映像にかける効果のこと)を組み合わせれば作り込まれた映像に仕上がるのかがわかるので、とても面白いんですよ!


また、水崎さんが語るアニメーションを使った広告制作についてのお話もとても興味深いものでした!
みなさんは普段、どのような視点でものを見ているか、意識したことがありますか?
人の視点には特徴があって、いつも見慣れた風景などは脳内に記憶が残っていてある程度予想ができるため、とばして見るという習性があるそうです。
反対に0~3歳児は、見たことがないものばかり。
視界に映るものはどれも新鮮なので、大人の何倍も視点を増やして見ることに集中しています。
人を惹きつける映像を作るなら、予想のできない、脳内にまだない新しい世界を表現することが大切ということになります。


そこで、実写やリアルなCGでは出せないものが表現できるのが、アニメーションの魅力です!
例えば手前のものをより大きく見せたりして、パースを正確には描かない。
実際に光を当てた時にできる影ではなく、キャラクターを引き立たせるために影を入れる。
表現の幅は無限です!

今まで誰も見たことのない作品を追求する水崎さんの熱い講義でした!!
会場となった芸術情報センターAVホールは満員!
学生たちの視点を変える特別講義になったに違いありません。

投稿:島田(OUA-TV)


2014年11月6日

特別講義「テンペラ絵具と油絵具を併用する混合技法」

10月17日(金)、美術学科と大学院で絵画を学んでいる学生を対象に、特別講義『テンペラ絵具と油絵具を併用する混合技法』が開かれました。
この講義を担当されたのは、東京藝術大学名誉教授・金沢美術大学教授の佐藤一郎先生です。
佐藤先生は画家でありながら、絵画材料学、絵画技術学の研究者としても活躍されている方で、これまでにも多くの展覧会・著書・訳書・論文などを発表されています。

みなさんは絵具と言えば、どんな絵具に馴染みがありますか?大きく分けると、水性のものと油性のものがありますよね。
水性絵具の中には、アカシア樹脂を使用した透明水彩不透明水彩(ガッシュ、ポスターカラーなど)、アクリル樹脂を展色材とした水性アクリル絵具などがあります。
ちなみに小学生が図画工作で使用しているのは、マット水彩と呼ばれる透明水彩と不透明水彩の中間的な性能を持つ絵具です。
テンペラ絵具は水性絵具の一種で、タマゴ、カゼインといった乳化作用を持つ物質を固着材として利用している絵具です。
絵具が乾けばすぐに塗り重ねていくことができ、数日間乾燥すると水に溶けなくなるのが特徴です。

そして、油性絵具はその名の通り、乾性油を固着材に用いた絵具のこと。
油絵具の他に、なども油性絵具に属します。
油絵具は、乾性油が酸化して硬化することで定着します。
他の絵具に比べてツヤがあり、長時間そのツヤを保てるという特徴があります。

さて、前置きが長くなりましたが、この講義のテーマは、そんなテンペラ絵具(水性絵具)油絵具(油性絵具)を併用する技法です。
まずは絵具の発明から、それぞれの絵具がどのような素材でできていて、どのような性質で、どんな表現ができるのかについて話されました。
また、「人が色を認識するためには、目と物(不透明)の間に必ず空気(透明)がある」と話され、絵画を描くにあたってよりリアルな質感を表現するためには、【不透明】と【透明】両方が必要だということが伝えられました。
混合技法では、テンペラ絵具の不透明さで明るい性質、油絵具の透明さで暗い性質をひとつの画面内で表現することができます。
でも、水と油は交わらないのが自然のルール。
普通は水性絵具と油性絵具を併せて使うことは、あまり好ましくありません。
なぜテンペラ絵具と油絵具の相性がいいのかというと、テンペラ絵具に用いている卵メディウム(卵黄・卵白に乾性油、ワニス、防腐剤を加えたもの)に含まれているレシチンという成分が、水溶性の物質と油溶性の物質の仲立ちをする作用を持っているそうです。
テンペラ絵具を水の含んだ筆で描くと、水分が蒸発して、油絵具に限りなく近い成分になるらしいです。
そして、油絵具はワニスを多く用いた調合溶き油で溶いて使いますが、そのワニスの上にテンペラ絵具を乗せると両者はしっかり接着します。

日本をはじめとした東洋では、油画というと油絵具のみで描くケースがほとんど。
ですが、西洋ではこのような混合技法が盛んに行われているそうです。
多種類の絵具を使うと、絵にコクが出て、より深い作品が生まれるようです。
私たちはついつい一種類の絵具で絵を描いてしまいがちですが、それぞれの絵具の特性を知った上で上手く組み合わせることで、今までになかった表現にたどり着くことができるかも知れませんね!!

投稿:島田(OUA-TV)


2014年10月22日

声は時代だ。

今日は、放送学科声優コースの実習科目「演技表現技法」の様子をご紹介します!
この授業を担当しているのは、放送学科教授の杉山佳寿子先生と同学科の平野正人先生。
どちらのクラスも、今月は大阪で開催される「朝日・大学シンポジウム 声優学概論 声は時代だ。」に向けて、朗読劇の練習に励んでいました!!

まずは杉山先生のクラス。
このクラスの演目は「金庫破りと刑事」です。
オー・ヘンリーの短編小説「よみがえった改心」に脚色を加えたもので、平穏な生活を手に入れた天才的な金庫破りと刑事の物語。
昨年も上演されたこの作品、中でも私が見どころだと思うのは、市民たちが市長を讃える「市長はえらい!市長はえらい!市長は素晴らしい!」という掛け声です。
作中に何度もこのフレーズが登場するのですが、杉山先生の指揮に合わせて掛け声が飛び交うので、まるで合唱のようです!

続いて、平野先生のクラスの様子です。
こちらは「遙かなる車窓」という演目を朗読します。
犬養道子の「アメリカン・アメリカ」が原作で、当時不治の病とされていた結核という病気にかかってしまった道子を主人公に物語が進みます。
声優というのは、実にさまざまな感情表現の力が要されます。
病気を宣告する時の医者の声、宣告された道子の返答、体験したことがなくても、まるで体験したかのようなリアルな感情を声にしなくてはいけません。
声の出し方によって、同じセリフでも全く違って聞こえるから不思議でした!

シンポジウムには、放送学科声優コースの学生たちの他に、杉山先生をはじめとしたプロの声優として活躍されている教授陣も登場します!
大阪公演の申し込みは終了してしまいましたが、現在は東京公演の参加申し込みを受け付けていますので、近くにお住まいの方や、大阪からでも駆けつけたいという方は、ぜひご参加ください!!

「朝日・大学シンポジウム 声優学概論 声は時代だ。」
大阪公演 平成26年9月8日(月)~10月4日(土)

投稿:島田(OUA-TV)